元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)

文字の大きさ
85 / 127
第4章 おっさん、祭りに参加する

第83話 設営準備開始!

しおりを挟む

 魔技祭までちょうど一週間にまで迫った。俺たちは1年A組はあれから総合競技の方の磨きにシフトし、順調に戦い方を吸収しつつあった。
 ガルシアもあの特訓以降、周りとの連携が見違えるほど変わった。口調と態度は相変わらずなものの以前と比べるとだいぶ上手くやっているようだった。
 これは彼の中にあった負の思念が解消されたという証明だ。まだ全て取り除かれたわけではないと思うが今までみたいに一人で暴走、なんてことはもうないだろう。

 そして気が付けば魔技祭までもう一週間にまで近づいてきた。今日も早朝から魔技祭へ向けての訓練をしようと率先して演習場へと行くA組生徒の姿もあり、クラスの士気は高まりつつあった。
 
 そんな中、俺含む教師陣たちは魔技祭に向けての準備に取り掛かっていた。

「はぁ……なんでオレたちがこんなことを」
「文句言わないのレイナード。フィーネ学園長に言われたでしょ?」
「そうですよ先生。これに参加しないとクラスポイントが減点されちゃうって……」
「……言われても分かってる。はぁ……」

 ため息が止まらない。
 というかなぜ俺たち教師までこんなことをしなければならないんだ。聞くところによると毎年会場の設営は生徒たちが中心となって行い、メイン会場であるコロシアム内部などの大規模なセットアップは専門業者に頼むというのか通例らしい。
 だが今回は生徒たちの練習不足だという要望を多数受け取り、今年から生徒ではなく教師と業者が会場のセットを行うこととなった。
 確かに練習期間が少ないというのは大きな問題ではあった。生徒たちの間でもその不満は高まっていたようだ。
 
 でも……

「代わりに教師が犠牲になる羽目になるとは……まだ仕事溜まってるのに」
「仕事なら私が手伝いますから。いつもそうじゃないですか」
「うん……まぁ……」
「わ、わたしもお手伝いしますよ! 今自分、個人的な仕事はないんで」
「す、すまん……」

 もうなんだかんだ言ってレーナとハルカに手伝ってもらうというのが当たり前の日常になっていた。
 俺も前よりは仕事スピードが上がったとはいえまだまだ未熟だ。毎度毎度申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「よいしょっと。じゃあ先生、早く終わらせて仕事に戻りましょ。A組のみんなのこともあります」
「ああ、そうだな」

 教師ごとに役割が決まっており、それが終われば退散できるという話だった。
 俺とレーナとハルカは作業スピードをどんどん上げていく。

「頑張ってますねぇ~レイナード先生」

 いきなり話しかけてきたのは自称有能魔術講師以下略の男だった。

(あぁ……今一番会いたくない奴に会っちゃったよ)

 面倒くさいのでため息交じりに、

「あの……どちら様ですかね?」
「ふふふふ、まぁそう言わないでくださいよ。私が来たことによって疲れも吹っ飛んだことでしょう」
「は? 何言ってんだお前」

 こいつも相変わらず接しづらい男だ。いつもこんなテンションなのはある意味凄い。しかも最近ではそのテンションの高揚さに拍車がかかり、もう狂人とも言えるほどにまでなっていた。
 話すだけで疲れる、まさに典型的な害悪だ。
 それでも生徒からは一定の人気を誇っているのだから不思議なものだ。ま、こいつのアドバンテージの約8割は顔なんだろうな恐らく。
 
「お前、もう作業は終わったのか?」
「作業……? 私は作業はしませんよ」
「は? どういうことだ?」

 疑問な表情を浮かべる俺にラルゴはニヤッと笑いながら、

「ふっふっふ。実は私、今度の魔技祭のメインMCに選ばれたんですよ」
「お前が……司会者?」
「そうです。フィーネ学園長に提案されましてね。出演料は出すのでぜひやってほしいと」

(そ、そんな仕事があったなんて聞いてないぞ)

 聞くと魔技祭関連の仕事アルバイトは非常に給料が高く、特にアロナードの教師陣はいい働き口を紹介してくれるため皆ひっそりと副業として裏仕事をしているらしい。
 中には俺の一か月の給料の倍貰える仕事もあった。ちなみに魔技祭全日程を参加した給料総額と比較しての事だ。もちろんこれはバイトなので日付の指定とどれだけ働くかは決めることができる。

 どうやらこのバイトか設営作業を行うかのどちらかを選べば減点対象にはならないそうだ。
 
(クソッ、フィーネめ。そんなこと一度も言っていなかったぞ)

 大体は見当がつく。この事実を知れば俺が金の方に目が行くには明白だ。
 それは誰にでも言えることだろう。ちなみにこの件については一部の者にしか公表していないという。
 もし皆がこのことを知れば給料が発生する方に行くのは当たり前だ。となるとこっちの方の人手がなくなってくる。
 その均衡を保つために俺には知らせなかったのだろう。

 だがラルゴには教えて俺に教えないとは納得がいかない。俺だって頑張っているのだ。
 それはあまりにも不公平の極み。

(後で問い詰めてみる必要があるな)

 その時だ。

「せんせい! レイナードせんせーい!」
「ん?」

 背後から走ってくるのは演習用の強化服に身を包んだリーフのだった。
 何やら凄く慌てている様子だ。

「どうしたんだ?」
「はぁ……はぁ……フィオナが、フィオナが!」
「フィオナがどうしたんだ?」

 俺はこの時、少しばかり嫌な予感が脳裏を過った。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」 女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。 この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。 『勇者道化師ベルキッド、追放される』 『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...