元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)

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第5章 おっさん、優勝を目指す

第122話 取引


 遅れてしまい申し訳ありません!久々の投稿になります!

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「どうぞ、好きなところに腰をかけてください」
「……長居するつもりはありませんので、私はここで結構です」
「そうかい? まぁどっちでもいいんだけど」

 ここは建物内にある応接室。
 私はルーカスに導かれ、ここへ案内された。

「さてと……話はなんだったかな?」

 たいそうご立派な革製の椅子にドサッと腰をかけそう呟くルーカス。
 周りにはかなり高価な絵画や彫刻物が所狭しと並べられ、天井には多種の宝石による装飾が施されたシャンデリアがあった。

「レイナード先生のことです。先生が殺されるというのはどういうことですか?」
「ああ、そうだったね。だがその前に君にはある提案を飲んでもらうよ」
「……その提案とはなんです?」

 何を強要されるかという不安が心臓の鼓動をアップテンポにする。
 
 でも全ては真意を聞くため。

 覚悟はできているつもりだ。

 私はグッと身構える。
 ルーカスは少し間を置くと、その提案とやらを話し始めた。

「そんなに身構えなくても別に大したことじゃないさ。君にはレイナード先生をここに連れてきてほしいんだ」
「先生を……ここへ?」
「そう。少しあの人には話したいことがあってね。どうかな? 難しい話ではないだろう?」
「……なぜですか? レイナード先生に何の御用が?」
「ん~それはちょっと言えないかな。ちょっとした大人の事情って奴だよ。ま、君にような一般生徒が口を挿んでいいようなことじゃないとだけ言っておくよ」

 ルーカスは続ける。

「で、どうかな? この要件を飲んでくれるかい?」
「飲んでくれるかいと言う前に貴方は元から飲ませるつもりだったのでしょう?」
「ふふ、流石は学年主席の優等生だね。中々鋭い勘をしている」
「お褒めに預かり、光栄です」
「それで? 返答は?」

 ルーカスは机に肘を立て、聞いてくる。

 もちろん、答えは決まっている。

 当人のいないところで私なんかが勝手に決めていいものかと思う節もあったが、今は仕方ない。

 未来で起こるであろう最悪の事態に備えるために今は細かいことなんか気にしていられない。
 
 私はルーカスの目をしっかりと見つめると、即答した。

「……分かりました、約束しましょう。決勝競技が終わった後、ここに来るように先生には伝えておきます」
「ありがとう、フィオナさん。じゃあ、そういうことでこの話は終わるとして次は君の話を――」
「ルーカス様、今宜しいでしょうか?」

 と、その時。
 部屋の外から何者かの声が聞こえてくる。

「おっと、使用人の方かな? 悪いね、フィオナさん。ちょっと席外すよ」
「はい」
 
 そう言ってルーカスは一旦部屋の外へ。
 そして数分後、ルーカスは再び部屋へと戻ってきた。

「ごめんね、フィオナさん。待たせた上にこういうことを言うのもあれなんだけど、急用ができちゃってね。今すぐ行かないといけなくなっちゃったんだ」
「今すぐ? 先生の話はどうなるんです?」

 約束が違うと言わんばかりの私の反応にルーカスは、

「その話は必ずするよ。君にはまた連絡する。それまで少し待っていてくれないか?」
「本当に……話してくれるんですね?」
「もちろんだ。こう見ても僕は約束には堅実な男でね。今まで交わした約束を一度も破ったことがないんだ。だから安心してほしい」

 本当に信じていいのか?

 私の心中ではそんな迷いが渦巻いていた。

 でも、この人が嘘を言っているようにも思えなかった。
 
「分かりました。不本意ですが、今は貴方を信じます。ですが、その間にレイナード先生の身にもしものことがあったら……」
「あったら?」
「……いいえ、何でもないです。では、ご連絡のほどお待ちしています。ルーカス生徒会長」

 私はそう最後に一言だけ述べると、「失礼します」と言って部屋を出る。

(ルーカス・アルモンド。まったく先の読めない人だ……)

 何が起こるかは分からない。
 警戒しておかなければ。

 私は心にそう誓うと、屋敷を後にしたのだった。
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