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第5章 おっさん、優勝を目指す
第123話 呼び出し
お待たせして申し訳ありません!
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時は戻って決勝競技前日。
フィオナ・ミラーフィールドはある場所へと向かっていた。
そう、例の屋敷へと出向いた時に交わした約束。
その呼び出しがされたのである。
場所は王都南西にある小さな酒場。
そこで前の話の続きをすると、ルーカス・アルモンドより連絡があった。
「……ここね」
街の最南端にあるその酒場はどちらかというとバーみたいな店構えで細い路地を入った所にあった。
古びた扉からかなり前からある老舗のバーであることが分かる。
私はそっと扉を開け、店内へ。
すると目の前のカウンター席に座っている人物が一人、私の目に入った。
その人物は薄茶の液体の入ったグラスを転がしながら、カウンターテーブルに肘をつけていた。
「やぁ、数時間ぶりだね」
ハットを被り、サングラスをかけた男が声をかけてくる。
聞き覚えのある声だ。
「ルーカス生徒会長……ですか?」
見栄えだけでは分からなかったので一応確認。
すると男はハットとサングラスを取ると、コクリと頷いた。
「そうだよ、フィオナさん。すまないね、一応此処に来るのはお忍びってことになっているもんだから」
「それにしても学生らしからぬ格好ですね。しかもこんなところ……未成年者が入れるような場所ではないと思うのですが?」
「ははははっ! 確かにそうだね。でも、ここなら落ち着いて話せるだろう? 貸し切りだから人も来ないし、盗聴される心配もない」
「……私は逆に落ち着かないんですが」
このレトロで大人の雰囲気が溢れる店内は世間知らずの私にとっては刺激が強かった。
こんな場所、映画とかでしかみたことなかったし。
だがそれに反してルーカスは物凄く落ち着いていた。
「不満だったかい? まぁ、確かに真面目なフィオナさんにとっては少々刺激が強すぎたかな?」
「……そんなことより、早く本題に入ってください。これ以上、長引くとクラスのみんなや先生が心配するんで」
「まぁまぁそう焦らないで。時間はまだあるんだから」
そう言ってルーカスは薄茶色の液体の入ったグラスを口元に持っていくと、グイッと飲み干す。
(うっ、なにこの匂い……アルコール?)
鼻につくようなこの匂い。
前に化学の実験の時に嗅いだ匂いと同じ匂いだった。
「……まさか、今飲んでいたのってお酒ですか?」
「ん? ああ、そうだよ。俺は生粋のウイスキー好きでね。これでも結構な種類のウイスキーを飲んできたもんだ。モルト・スコッチ・アイリッシュ・ウェルシュ……一番好きなのはスコッチだね。特にオン・ザ・ロックスで飲むのが一番好きなんだ」
「……別にそんなこと聞いてません。それにお酒は20を越えてからって法律で決まっているのですが?」
「あははは、手厳しいね。ま、キミの言う通りだ。絶対にマネしちゃだめだよ?」
「……」
というか、それ以前に何を言っているのかさっぱり分からなかった。
スコッチ? アイリッシュ? 犬の名前みたいな言葉が出てきてたけど……。
「そ、それより早く本題に移ってください。私はお酒のことを聞くためにわざわざこんなところまで来たんじゃないんです」
話をそらそうとするのですぐに路線を戻す。
ルーカスは手に持ったグラスをポンと置くと、
「……まぁ、そう怒らないで。約束は守るから。それに、こう言った話をする時はシラフの方がいいだろう?」
「……」
「ま、そろそろ酔いも回ってきたことだし、本題に入るとしますかね」
ルーカスは少し赤く染めた頬に手を当て、肘をつく。
そして少し間を開けた後、話を切り出した。
「フィオナさん。聞く前に一つだけ、約束してほしいことがある」
「約束してほしいこと?」
フィオナの視線はルーカスにガッチリ固定される。
「これから言うことは、他言無用でお願いしたいんだ。何故なら――」
ルーカスは一旦止め、再び続ける。
「この話は国の最重要機密情報。いわゆる……禁忌規定に基づくものだからだ」
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