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27.近況を報告しました
しおりを挟む「ん、なんだ?」
ドロイドさんとの会議が終わり、屋敷に戻ると、門前には複数台の馬車が並んでいた。
「あの紋章は……」
ドア部分に刻まれていた紋章を見る限り、王城の馬車のようだった。
なんか一台だけとんでもなく豪華な馬車が置いてあるが……
「客人か……?」
馬車の間を通り、そのまま屋敷の中へ。
「ただいま~」
「あっ、ランス! お帰りなさい」
「おお、ランス殿ではないか。お邪魔しているぞ」
「ふぉ、フォルト陛下!?」
玄関先にはソフィアとフォルト国王陛下の姿が。
そしてそのすぐ近くには傍付の騎士数名が剣を据えて立っていた。
(あの馬車はそういうことだったのか……)
そう思いながら二人の元に駆け寄ると、俺はすぐに立膝をついて挨拶を。
「ご無沙汰しております、陛下。こんな見苦しい恰好で陛下の御前に姿をお見せしてしまったことをお許しください」
というのも今の服装は完全休日スタイル。
普段は冒険者スタイルなのだが、今日はクエストを受ける予定はなかったのでかなり貧相な服装に。
陛下の前に出るには無礼もいいところだった。
だが陛下は姿勢を低くすると、すぐに顔を上げるように言ってきた。
「いやいや、顔を上げてくれランス殿。今の私は王としてではなく、一人の父親としてここへ来たのだ。対等な関係として振る舞ってほしい」
「た、対等だなんて……」
「それに、今の私にとってランス殿はもはや息子みたいなものだからな! はっはっは!」
「む、息子……」
(一体陛下の目に俺はどのように映っているのだろうか……)
気になるところだが……
「陛下。それよりも今日はどのようなご用件で?」
と、ここまで来た理由を尋ねてみる。
まさかなんか問題があったんじゃ……? という不安を抱えながら返答を待っていると、陛下は笑みを見せながら、
「いや、用はないのだが、少し二人のことが気になってな。こうして訪問させてもらったわけだ」
「そうだったんですか……」
「まぁ真意としてしましては、ソフィア様が王城から旅立ったその夜から不安であまり寝付けなかったというのが詰まるところ本当の動機なのですが……」
「あ、アリシアさん!?」
いつの間にか背後に立っていたメイド長のアリシアさん。
それよりも不安で寝付けなかったって……
「お、おいこらアリシア! 娘の前で余計なことを言うのではない!」
顔を真っ赤にして慌てるフォルト国王。
それをさも面白そうに見ながら、
「あら、申し訳ございません。私としたことが余計なことを……」
なんだ? アリシアさんって結構ドSだったりする?
しかも国王陛下相手にって……この人もしかして立場的には陛下よりも上だったりするのか?
(それに娘のことが不安で寝付けなかったって……)
王城の時に初めて会った時もそうだったけど、本当にソフィアのことを愛しているんだな……。
ちょっと親バカ要素は強めだけど……。
「ご、ゴホン! それよりもアリシア、茶を入れてくれ。少し二人と話をしたい」
咳払いで紛らわしつつ、陛下はアリシアに要求をする。
「かしこまりました。では、客間へとご案内させていただきます。ランス様とソフィア様もご一緒に」
「分かったわ」
「は、はい」
というわけで俺はアリシアさんの案内のもと、客間へと連れていかれることとなった。
♦
「ふぅ……やはりアリシアの入れてくれる紅茶は美味だな」
「ありがとうございます、陛下」
紅茶を一口含み、絶賛すると陛下は再び開口する。
「いきなり訪ねてしまってすまないな、二人とも」
「気にしないでください、お父様」
「ソフィアの言う通りです。陛下とあらばいつでも歓迎いたしますよ」
「ははは! そう言ってくれるのは嬉しいことだ。ありがとう」
「それで、お話とは?」
何が飛び出すか分からないので、ちょっと身を構える。
「別にたいした話はない。さっきも言った通り、二人の近況を知りたくてな。あれから数日経つが、もし不満な点があるのなら聞いておきたかったのだ。あ、あと娘の顔が見たかったという理由もある」
「な、なるほど……」
最後のがぶっちゃけ本音なんだろうけど、突っ込まないようにする。
でも良かった。特に深刻な内容じゃなくて……
「で、どうなのだ? 上手くできているのか?」
「はい。わたしはいつもランスによくしていただいています。実はもうクエストでモンスターの討伐もしてきたんですよ!」
「ほう、そりゃスゴイ! ソフィアも戦ったのか?」
「まぁ……ほとんどランスの手助けがあって成功できたようなものですが……」
「いや、ソフィアは十分に戦っていたよ。むしろ俺が驚かされたくらいだよ」
「そ、そんなことは……ランスのおかげですよ」
ソフィアは少し顔を赤らめながら、嬉しそうに微笑んだ。
その他にもこれまでソフィアと共にあったことを陛下に話すと、ご満悦そうに笑みを見せた。
「はっはっは! そうかそうか! なら良かった! 実は少し心配だったのだ。パパに会えない寂しさでソフィアが泣いているんじゃないかとな」
「お、お父様! もう子供じゃないんですから、それはないです!」
「お、そうか? 昔はすこーし私と離れただけでも大泣きしていたのに」
「昔は昔、今は今です!」
恥ずかしそうに顔を真っ赤にして憤怒するソフィア。
憤怒と言ってもソフィア自身、優しい子だから怒り方もかなりゆったりとしていた。
「まぁまぁ、そう怒るな。ガハハハハ!」
「むぅ~~~」
ソフィアは少し不満そうにぷくーっと頬を膨らませる。
すげぇ可愛い。
でも実は寂しくて泣いていたのは陛下の方だったり……とか口が裂けても言えない。
そんなこと言ったら俺の首は疾風迅雷の如く天に舞うことになるだろうからな。
「あ、そうそう。そういえばランス殿に伝えておこうと思っていたことがあった」
と、フォルト国王の切り出しで話は新たな話題へ。
「何でしょうか」という俺の質問に陛下は何の躊躇いもなく――
「ランス殿。もし貴殿が良ければ、うちの娘と婚約してはくれないだろうか?」
「おお、婚約ですかぁ……………………は?」
陛下のその一言で先ほどまでの和気あいあいとした空気は一変。
まるで時が止まったかのように沈黙の時間は続いた。
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