27 / 160

27.近況を報告しました

しおりを挟む

「ん、なんだ?」

 ドロイドさんとの会議が終わり、屋敷に戻ると、門前には複数台の馬車が並んでいた。

「あの紋章は……」

 ドア部分に刻まれていた紋章を見る限り、王城の馬車のようだった。
 なんか一台だけとんでもなく豪華な馬車が置いてあるが……

「客人か……?」

 馬車の間を通り、そのまま屋敷の中へ。

「ただいま~」

「あっ、ランス! お帰りなさい」

「おお、ランス殿ではないか。お邪魔しているぞ」

「ふぉ、フォルト陛下!?」

 玄関先にはソフィアとフォルト国王陛下の姿が。
 そしてそのすぐ近くには傍付の騎士数名が剣を据えて立っていた。

(あの馬車はそういうことだったのか……)

 そう思いながら二人の元に駆け寄ると、俺はすぐに立膝をついて挨拶を。

「ご無沙汰しております、陛下。こんな見苦しい恰好で陛下の御前に姿をお見せしてしまったことをお許しください」

 というのも今の服装は完全休日スタイル。
 普段は冒険者スタイルなのだが、今日はクエストを受ける予定はなかったのでかなり貧相な服装に。

 陛下の前に出るには無礼もいいところだった。

 だが陛下は姿勢を低くすると、すぐに顔を上げるように言ってきた。

「いやいや、顔を上げてくれランス殿。今の私は王としてではなく、一人の父親としてここへ来たのだ。対等な関係として振る舞ってほしい」

「た、対等だなんて……」

「それに、今の私にとってランス殿はもはや息子みたいなものだからな! はっはっは!」

「む、息子……」

(一体陛下の目に俺はどのように映っているのだろうか……)

 気になるところだが……

「陛下。それよりも今日はどのようなご用件で?」

 と、ここまで来た理由を尋ねてみる。
 
 まさかなんか問題があったんじゃ……? という不安を抱えながら返答を待っていると、陛下は笑みを見せながら、

「いや、用はないのだが、少し二人のことが気になってな。こうして訪問させてもらったわけだ」

「そうだったんですか……」

「まぁ真意としてしましては、ソフィア様が王城から旅立ったその夜から不安であまり寝付けなかったというのが詰まるところ本当の動機なのですが……」

「あ、アリシアさん!?」

 いつの間にか背後に立っていたメイド長のアリシアさん。
 それよりも不安で寝付けなかったって……

「お、おいこらアリシア! 娘の前で余計なことを言うのではない!」

 顔を真っ赤にして慌てるフォルト国王。
 それをさも面白そうに見ながら、

「あら、申し訳ございません。私としたことが余計なことを……」

 なんだ? アリシアさんって結構ドSだったりする?

 しかも国王陛下相手にって……この人もしかして立場的には陛下よりも上だったりするのか?

(それに娘のことが不安で寝付けなかったって……)

 王城の時に初めて会った時もそうだったけど、本当にソフィアのことを愛しているんだな……。
 ちょっと親バカ要素は強めだけど……。

「ご、ゴホン! それよりもアリシア、茶を入れてくれ。少し二人と話をしたい」

 咳払いで紛らわしつつ、陛下はアリシアに要求をする。

「かしこまりました。では、客間へとご案内させていただきます。ランス様とソフィア様もご一緒に」

「分かったわ」

「は、はい」

 というわけで俺はアリシアさんの案内のもと、客間へと連れていかれることとなった。


 ♦


「ふぅ……やはりアリシアの入れてくれる紅茶は美味だな」

「ありがとうございます、陛下」

 紅茶を一口含み、絶賛すると陛下は再び開口する。

「いきなり訪ねてしまってすまないな、二人とも」

「気にしないでください、お父様」

「ソフィアの言う通りです。陛下とあらばいつでも歓迎いたしますよ」

「ははは! そう言ってくれるのは嬉しいことだ。ありがとう」

「それで、お話とは?」

 何が飛び出すか分からないので、ちょっと身を構える。

「別にたいした話はない。さっきも言った通り、二人の近況を知りたくてな。あれから数日経つが、もし不満な点があるのなら聞いておきたかったのだ。あ、あと娘の顔が見たかったという理由もある」

「な、なるほど……」

 最後のがぶっちゃけ本音なんだろうけど、突っ込まないようにする。
 
 でも良かった。特に深刻な内容じゃなくて……

「で、どうなのだ? 上手くできているのか?」

「はい。わたしはいつもランスによくしていただいています。実はもうクエストでモンスターの討伐もしてきたんですよ!」

「ほう、そりゃスゴイ! ソフィアも戦ったのか?」

「まぁ……ほとんどランスの手助けがあって成功できたようなものですが……」

「いや、ソフィアは十分に戦っていたよ。むしろ俺が驚かされたくらいだよ」

「そ、そんなことは……ランスのおかげですよ」

 ソフィアは少し顔を赤らめながら、嬉しそうに微笑んだ。
 その他にもこれまでソフィアと共にあったことを陛下に話すと、ご満悦そうに笑みを見せた。

「はっはっは! そうかそうか! なら良かった! 実は少し心配だったのだ。パパに会えない寂しさでソフィアが泣いているんじゃないかとな」

「お、お父様! もう子供じゃないんですから、それはないです!」

「お、そうか? 昔はすこーし私と離れただけでも大泣きしていたのに」

「昔は昔、今は今です!」

 恥ずかしそうに顔を真っ赤にして憤怒するソフィア。
 憤怒と言ってもソフィア自身、優しい子だから怒り方もかなりゆったりとしていた。

「まぁまぁ、そう怒るな。ガハハハハ!」

「むぅ~~~」

 ソフィアは少し不満そうにぷくーっと頬を膨らませる。
 
 すげぇ可愛い。

 でも実は寂しくて泣いていたのは陛下の方だったり……とか口が裂けても言えない。

 そんなこと言ったら俺の首は疾風迅雷の如く天に舞うことになるだろうからな。

「あ、そうそう。そういえばランス殿に伝えておこうと思っていたことがあった」

 と、フォルト国王の切り出しで話は新たな話題へ。
「何でしょうか」という俺の質問に陛下は何の躊躇いもなく――

「ランス殿。もし貴殿が良ければ、うちの娘と婚約してはくれないだろうか?」

「おお、婚約ですかぁ……………………は?」

 陛下のその一言で先ほどまでの和気あいあいとした空気は一変。
 まるで時が止まったかのように沈黙の時間は続いた。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

精霊に愛された錬金術師、チートすぎてもはや無敵!?

あーもんど
ファンタジー
精霊の愛し子で、帝国唯一の錬金術師である公爵令嬢プリシラ。 彼女は今日もマイペースに、精霊達と楽しくモノ作りに励む。 ときどき、悪人を断罪したり人々を救ったりしながら。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆三人称視点で本格的に書くのは初めてなので、温かい目で見守っていただけますと幸いです◆

蒼炎の公爵令嬢 〜追放された私は、最強冒険者と共に真実の力に目覚める〜

雛月 らん
ファンタジー
「お前は出来損ないだ」——家族に見捨てられた令嬢が、最強の冒険者と出会い、真の力に目覚める異世界ファンタジー! 公爵家に生まれたエリアナは、幼い頃から魔法の制御ができず、家族から冷遇されてきた。 唯一の味方は執事のポールだけ。 人前で魔法を使わなくなった彼女に、いつしか「出来損ない」の烙印が押される。 そして運命の夜会—— 婚約者レオンハルトから、容赦ない言葉を告げられる。 「魔法も使えないお前とは、婚約を続けられない」 婚約破棄され、家からも追放されたエリアナ。 だが彼女に未練はなかった。 「ようやく、自由になれる」 新天地を求め隣国へ向かう途中、魔物に襲われた乗り合い馬車。 人々を守るため、封印していた魔法を解き放つ——! だが放たれた炎は、常識を超えた威力で魔物を一掃。 その光景を目撃していたのは、フードの男。 彼の正体は、孤高のS級冒険者・レイヴン。 「お前は出来損ないなんかじゃない。ただ、正しい指導を受けなかっただけだ」 レイヴンに才能を見出されたエリアナは、彼とパーティーを組むことに。 冒険者ギルドでの魔力測定で判明した驚愕の事実。 そして迎えた、古代竜との死闘。 母の形見「蒼氷の涙」が覚醒を促し、エリアナは真の力を解放する。 隠された出生の秘密、母の遺した力、そして待ち受ける新たな試練。 追放された令嬢の、真の冒険が今、始まる!

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

処理中です...