【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第一巻

★〇学生デビューしたいか?

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 揚げ出し豆腐を作っていた。

 あのあとメッセージアプリに「私もちょっとだけ遅くなるけど、晩御飯時ぐらいには帰るから」と返信されていた。

 ――間がいいな。

 買い物行って、そっから作るとなるとやはりそれなりに時間はかかるから。

 まず先に、別の段取りからとりかかる。
 さつまいもを薄くスライスして、レンジを使って水を抜く。

 で、放置。

 次に豆腐にはられている水を抜いてパッケージから皿に移し、そこからまたまた「手抜きな方法」、レンジでだいたい1分ちょい。さらに水を抜く。

 あんまり上手には作れないから形が崩れてしまうんだけど、片栗粉の皿の上をできるだけ丁寧に転がす。
 油はあらかじめ温めておいてと。

 コンロの火加減が良いかどうかは、先ほどのさつまいもで見る。

 さつまいもを先ほどの片栗粉の皿の上を、これは割と雑に転がして、油の中に投入。

 いわゆる「いい感じにパチパチ」脂が鳴ればそれでいい。極める気がないのでホンマに野生の感だけ。

 さつまいものチップスが完成。

 次に本番の豆腐を油に投入する。

 そして樹里はだし汁ではなく、あんかけで食べるのが好き。中身はこれまた手抜きで『白だし』を使う。入れすぎは注意。夜中までのどが渇くから。

 後は水溶き片栗粉で仕上げてと。

 そして昨日のネギを小口切りにして、生姜を擦る。

 そこに樹里神様が帰ってきた。多分部屋にかばんを置きに入るような音がした。

 そしてリビングダイニングの扉が開くなり、

「うわっ、たまらん、ネギと生姜のええ匂いする~」
「おかえり~」
「ただいま~」

 制服のままニコニコしながらこちらに来てくれた。様子を見に来てくれたようだ。

「さつまいものチップスできているから、先に食べといてや」

 さらにニヤッと笑った樹里、

「やるな、あにぃ。昨日の汚名返上やなあ」

 実に簡単な返上である。
 樹里は多分、相手は男か女かは分からないけど、軽めのアポをこなしてきた気がする。
 少し心の奥が、チクリとする……

 ――まあ、いいや。

「ごちそうさま~、おいしかった~豆腐の衣カリッカリやったし、あんもネギと生姜が絡んで良かったわ」

「はーい、ありがと」樹里神様ご機嫌。『あのあんで食べるのがええねんなあ、出汁だけやとサラサラしすぎてて、ネギと生姜合わせ食いしようとしたら結構飲みながら食べなあかんやん。だけどあんやったら、トロッとしてるからな』だって。

 ネギと生姜が不用意に流れ落ちないってか。

 樹里はまだ席を立たず、制服のまま麦茶をコップに注いで飲む。

「うん? 辛かったか?」
「いや、そんなことないよ、普通にちょうどよかったし」

 僕的にも辛すぎることはなかったから、多分大丈夫。

「着替えへんの?」
「このまま風呂に行くし、その時にいっきに着替えよかなーって」

 家での樹里は、足癖が悪いので、
 制服の短めプリーツスカートでくつろがれると、少々目のやり場に困ることがある。

 まあしょっちゅう僕ら二人の時は見えているし、見えたからといって何ともないといえば何ともないのだが。ほら、今も片膝を立ててスマホ見ながら椅子に座っているから……

「樹里さ、女子も高校デビューってしたいもんかな」

 ちょっと田中さんのことを思い出して、ついつい樹里に聞いてみた。
 質問の仕方やら相手やら何やら色々間違っている気はするねんけど。

「プッ。なんやそれ?」

 一瞬ほんのちょっとだけ、詰まらせる程度に吹いたけど、目線は相変わらずスマホで、お茶を飲んでいる。

 樹里に聞いたのが間違いだな。こいつはこのまま天然ものだから。
 僕も食べ終わったので、自分の皿を片付けようとした。



「……自分のことをどう思っているか、じゃないかな」

「え?」

 スマホ、お茶のコップは口元そのままに話しだす。

「今の自分が嫌いだったら、デビューしたいんちゃうかな。あるいは女子やったら『あんな人になりたい』っていうような友達が近くにおったりしたら、勝手にデビューしようとするんちゃうかな」


 自分が嫌い、かあ。

 まあ僕の中学校のときのは『いきりたかった』『格好つけたかった』
 やけどなあ。

 自分が嫌いとか、そういう感情だったかすら覚えていない。
 とにかく格好つけて注目浴びて、イキリたかった、かな。中学二年生のちょうど今頃からだったかな──

 ただはっきりと言えることは、

「現状不満足、か」
「そう」

 僕はとりあえず自分の器をシンクに持っていき、その後に樹里のをもらい受けにきた。樹里はまだスマホから目を話さず、じっとしている。


 あれ? ブーッ、ブーッって鳴ってるのかな樹里のスマホ……まあいいや、電話に出る気配はない。何らかの受信なのかも。

 もう片手は、お茶のまだ少しあるコップを机において、空いた器を重ねて行っている。
 器用なやつ。

「でも僕らの年でさ、現状満足なやつってそうそうおらんのちゃうか」

 スクールカーストが高いやつらだったらそうなのかもしれない……そう考えたら樹里は確実そうだろう。


 しかし、樹里はなにか違うことで上の空っぽいぞ? うん──?

「あ、こいつ、もうあかんなあ……」

 うん? 僕? じゃないよね。樹里はスマホ見て言ってるし。

 まとめられた樹里の洗い物をテーブルからシンクに運び、水で流す。その後は食洗機へ。

「あーもう、めんどい。切ろ切ろっ」
「なに言ってんねん?」

 少し笑いながら訊いてみたが、だいたい察しはつく。

 メッセージアプリを誰かとしているんだが、相手の要求のハードルが高くなってきたようだ。

「さっき会った男よ。面倒臭なってきた」

 ――はい、また一人撃沈サヨーナラー♪


 スマホをテーブルの上において樹里は座ったままグーッと伸びをする。

 また一人撃沈させて、「任務完了」といったところだろうか。

 思わず笑えるが、これが男が自分なら笑えない。いや逆に笑うしか無いから、笑って後で泣いてるかも……

「だいたい夜会おうとしてくる時点で下心見え見えやっちゅうねん、だからこういう男調子乗せないためにもな、学校終わりにファミレスとかで会って、あとさよなら~しとくのがええねん」

 な、なるほど……さすがもう、お断りのプロですな。

 そう思いながらテーブルを、樹里の前も拭いてあげる。

 キレイな布巾で拭いたからだろうか、テーブルにペタッと横顔をくっつけて上体を覆いかぶせる。

「は~あ、私も変わりたいわ」
「はあ、樹里がか?」
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