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第三章【陰陽師編】
間場 凛
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今……なんて……?
確かに聞こえた。『間場 凛』
この名前には覚えがある。貸出中だった召喚本の貸出主の名前が確か『間場 凛』んでもって俺の考えはこうだ。
──間場 凛は召喚士もしくは悪魔──
いったいどんな奴なんだと気になり始め、俺は急いで決勝進出者の居る控え室に向かった。
係員にサタコと天神さんの知り合いだと話をすると、すんなり中に入れてくれた。アイドルじゃない訳で、警備もそんなに厳重では無い。
俺が係員に先導され暗幕を潜ると、そこには四人の美少女が待っていた。
「お、恭! やったぞ! 決勝に進んだぞ! どうだ見たか!」
「凶さん私も頑張りました! 褒めて下さい!」
飛び跳ねて喜ぶサタコと顔を赤らめるシルシルに囲まれ、やんややんやと騒いでいると、不意に名前を呼ばれた。
「佐藤恭くん……だよね?」
振り向くとそこには、銀髪のゆる巻きヘアーが目を引く美少女が居た。
歳は俺より少し上だろうか? 知的な赤い眼鏡と、落ち着きのある雰囲気がそう思わせた。
しかし今確かに俺の名前を……
「間場さん、何故凶さんの名前を知っているんですか?」
シルシルの放った直球の質問に室内は沈黙に包まれ、それを打ち破るかのように一つ息を吐き、間場 凛は口を開く。
「私はずっと君達を探していたんだよ。ある目的の為にね」
「俺達を……探してた?」
「ある目的とはなんですか?」
少し引き気味の俺とは対照的に、グイグイ前に出るシルシル。その鼻先を、人差し指でツンと押さえる間場 凛の姿は余裕たっぷりの大人の女だ。
「ふふっ、じゃあ賭けをしよっか。君達がこのコンテストで私に勝ったらなぁんでも教えてあげる、というのはどうかな?」
「も、もし俺達が負けたらどうなる?」
そうだ。負けた時はどうなる。俺達はノーリスクだなんてそれは賭けじゃない、ただの酔狂だ。間場 凛だって、何か考えがあって話を切り出したのだろう。
「んー、そうだな」
白々しく考え込む素振りを見せる間場 凛は、あたかも今思いついたかのように大きく手を叩く。
「サタコちゃんとケット・シーの所有権を頂く、と言うのはどうかな?」
コイツ……一体どこまで知っているんだ。それと、賭けのレートが釣り合ってねぇぞ!? こんなん鼻から賭けに……
「「その話、受けて立ちましょう(立つぞ)」」
サタコとシルシルが声を揃えて「受けて立つ」と答えた。メラメラと闘志が湧き上がっている背景が目に見える。
「お、おい何熱くなってんだよ! こんなん賭けにすらなってね……」
「「口出し無用です(だ)!!」」
おーい……冷静になってくれよ……
「決まりだね。じゃあ決勝まで時間があるから、私は少し外を見て回るよ。せっかくの学園祭だからね」
約束を取り付け終わると、間場 凛は暗幕を潜り外に出て行ってしまい、その姿をサタコとシルシルは、唸り声をあげ見送った。
「お、おい! 大丈夫かよ!? あんな約束しちまってよ!?」
しかしどうだ? 勝つ可能性はどの位あるだろうか。間場 凛は確かに美少女だった。十人居れば八、九人はそう答えるだろう。対するサタコ、シルシルも負けず劣らずの美少女。一見、二対一で有利にも見えるがこれはあくまで個人戦だ。
「あわわわわわ……ど、どうするのだ恭ぉぉ……」
「今更慌ててんじゃねぇって!」
ったく……
「だ、大丈夫です凶さん。絶対に負けませんから。それに、彼女も本気では無いと思います。私には見えたんです、冗談よって笑う彼女の未来の顔が……それでついカッとなってしまって……その……すみません……」
「え?」
考えてみればそうだ。彼女がどこまで知っているかは分からないが、かなり深い所まで知っているのは確かだ。
俺達は離れれば生きていけないんだ。別に死体が欲しい訳じゃあるまいし、サタコとシーを奪うなら、俺達もセットじゃねぇとおかしいもんな。
「とにかく、私は負けられんのだ。ちゃんと応援するのだぞ? 恭」
「お前もがっちりロリコンのハートを掴めよ」
「とにかく決まったものは仕方がありません、当たって砕けましょう!」
お願いだから砕けないでほしい。その眠そうな目が余計に不安になるぜ。
俺にはもう一つ不安があった。これは仮定の話なのだが、間場 凛が召喚士または悪魔だった場合だ。
そう『イカサマ』の存在だ。
これをやられては勝てる勝負も勝てなくなる。しかし負けた時の保険にも成りうる存在であり、扱いが難しい。
「なぁサタコ、この近くに悪魔っているのか?お前達の他に」
「ふむ。感じないな、近くにいれば臭いで気づく筈だ」
「そうか、ありがとうな」
考えすぎなのか? 間場 凛にとっては喋ってもいい内容で、勝ってもサタコ達を貰うつもりは無い。公平な賭けだったのか?……よし、そう考えよう。ナイスだ佐藤恭! 考えすぎたら禿げるらしいからな。
■■■■
そして時間は流れ、いよいよ美少女コンテストの決勝戦が始まる。
『ただ今より、美少女コンテスト決勝戦を行いますッッ!!』
確かに聞こえた。『間場 凛』
この名前には覚えがある。貸出中だった召喚本の貸出主の名前が確か『間場 凛』んでもって俺の考えはこうだ。
──間場 凛は召喚士もしくは悪魔──
いったいどんな奴なんだと気になり始め、俺は急いで決勝進出者の居る控え室に向かった。
係員にサタコと天神さんの知り合いだと話をすると、すんなり中に入れてくれた。アイドルじゃない訳で、警備もそんなに厳重では無い。
俺が係員に先導され暗幕を潜ると、そこには四人の美少女が待っていた。
「お、恭! やったぞ! 決勝に進んだぞ! どうだ見たか!」
「凶さん私も頑張りました! 褒めて下さい!」
飛び跳ねて喜ぶサタコと顔を赤らめるシルシルに囲まれ、やんややんやと騒いでいると、不意に名前を呼ばれた。
「佐藤恭くん……だよね?」
振り向くとそこには、銀髪のゆる巻きヘアーが目を引く美少女が居た。
歳は俺より少し上だろうか? 知的な赤い眼鏡と、落ち着きのある雰囲気がそう思わせた。
しかし今確かに俺の名前を……
「間場さん、何故凶さんの名前を知っているんですか?」
シルシルの放った直球の質問に室内は沈黙に包まれ、それを打ち破るかのように一つ息を吐き、間場 凛は口を開く。
「私はずっと君達を探していたんだよ。ある目的の為にね」
「俺達を……探してた?」
「ある目的とはなんですか?」
少し引き気味の俺とは対照的に、グイグイ前に出るシルシル。その鼻先を、人差し指でツンと押さえる間場 凛の姿は余裕たっぷりの大人の女だ。
「ふふっ、じゃあ賭けをしよっか。君達がこのコンテストで私に勝ったらなぁんでも教えてあげる、というのはどうかな?」
「も、もし俺達が負けたらどうなる?」
そうだ。負けた時はどうなる。俺達はノーリスクだなんてそれは賭けじゃない、ただの酔狂だ。間場 凛だって、何か考えがあって話を切り出したのだろう。
「んー、そうだな」
白々しく考え込む素振りを見せる間場 凛は、あたかも今思いついたかのように大きく手を叩く。
「サタコちゃんとケット・シーの所有権を頂く、と言うのはどうかな?」
コイツ……一体どこまで知っているんだ。それと、賭けのレートが釣り合ってねぇぞ!? こんなん鼻から賭けに……
「「その話、受けて立ちましょう(立つぞ)」」
サタコとシルシルが声を揃えて「受けて立つ」と答えた。メラメラと闘志が湧き上がっている背景が目に見える。
「お、おい何熱くなってんだよ! こんなん賭けにすらなってね……」
「「口出し無用です(だ)!!」」
おーい……冷静になってくれよ……
「決まりだね。じゃあ決勝まで時間があるから、私は少し外を見て回るよ。せっかくの学園祭だからね」
約束を取り付け終わると、間場 凛は暗幕を潜り外に出て行ってしまい、その姿をサタコとシルシルは、唸り声をあげ見送った。
「お、おい! 大丈夫かよ!? あんな約束しちまってよ!?」
しかしどうだ? 勝つ可能性はどの位あるだろうか。間場 凛は確かに美少女だった。十人居れば八、九人はそう答えるだろう。対するサタコ、シルシルも負けず劣らずの美少女。一見、二対一で有利にも見えるがこれはあくまで個人戦だ。
「あわわわわわ……ど、どうするのだ恭ぉぉ……」
「今更慌ててんじゃねぇって!」
ったく……
「だ、大丈夫です凶さん。絶対に負けませんから。それに、彼女も本気では無いと思います。私には見えたんです、冗談よって笑う彼女の未来の顔が……それでついカッとなってしまって……その……すみません……」
「え?」
考えてみればそうだ。彼女がどこまで知っているかは分からないが、かなり深い所まで知っているのは確かだ。
俺達は離れれば生きていけないんだ。別に死体が欲しい訳じゃあるまいし、サタコとシーを奪うなら、俺達もセットじゃねぇとおかしいもんな。
「とにかく、私は負けられんのだ。ちゃんと応援するのだぞ? 恭」
「お前もがっちりロリコンのハートを掴めよ」
「とにかく決まったものは仕方がありません、当たって砕けましょう!」
お願いだから砕けないでほしい。その眠そうな目が余計に不安になるぜ。
俺にはもう一つ不安があった。これは仮定の話なのだが、間場 凛が召喚士または悪魔だった場合だ。
そう『イカサマ』の存在だ。
これをやられては勝てる勝負も勝てなくなる。しかし負けた時の保険にも成りうる存在であり、扱いが難しい。
「なぁサタコ、この近くに悪魔っているのか?お前達の他に」
「ふむ。感じないな、近くにいれば臭いで気づく筈だ」
「そうか、ありがとうな」
考えすぎなのか? 間場 凛にとっては喋ってもいい内容で、勝ってもサタコ達を貰うつもりは無い。公平な賭けだったのか?……よし、そう考えよう。ナイスだ佐藤恭! 考えすぎたら禿げるらしいからな。
■■■■
そして時間は流れ、いよいよ美少女コンテストの決勝戦が始まる。
『ただ今より、美少女コンテスト決勝戦を行いますッッ!!』
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