しぇいく!

風浦らの

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第二章【越】

新たなスタート

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    ■■■■

    夏休みが終わり、新学期が始まる頃──、
    念珠崎女子卓球部も新たなスタートを切る。

    「えー……この度、新部長に任命されました興屋まひると申します。えー……力及ばぬながらも尽力を尽くし……」
    「まっひー先輩、硬いですよー」

    乃百合の茶化しに部員達の笑いがおきた。

    「こういうの苦手だって言ってんだろ!    と言うか、お前達が面白半分で投票するからこんな事になっちまったんだろーが!    それともなにか?    乃百合、まだ根に持ってやがんのか?」

    乃百合は勝てば県大会といった場面で、チームメイトであるまひるとぶつかり、結果ストレート負けを喫して県大会行きを阻まれていたのだ。

    「別にそんな事思ってないですよ!   トーナメントなんだから、そんな事もありますってば」
    「ま、ならいいんだけどよ。あの時は「大人気ない」だの「血も涙もない」だの煩かったからな」

   そう言って今度はまひるが部員の笑いを誘った。ともあれ、厳選な投票の結果新部長には興屋まひるが選ばれ、副部長にはまひるの権限で藤島桜が選ばれた。
   念珠崎は元々部員の少ないチームだが、三年生の抜けた穴は大きい。三年生が五人居たため、残った部員は僅かに七人。

    興屋まひる(二年生)
    原海香(二年生)
    藤島桜(二年生)
    常葉乃百合(一年生)
    六条舞鳥(一年生)
    小岩川和子(一年生)
    田中深月(一年生)

    この戦力で次の十一月の新人戦を迎えなければならない。特に顧問の先生は、団体戦には六人で挑む主義を持っている為、一人一人のレベルアップが求められている。
    シングルスに出た選手をダブルスに回さない事にはメリットもある。それは、怪我や疲れの影響を最小限に抑える事ができるという事。
    前回の築山文の様に怪我をすればどうなるか。関翔子の様な粘り強い選手の後に連戦は不利か。それは考えるまでも無い。
    そして何より、レギュラーになれる枠が四人であるより、六人である方がチームのモチベーションが高く保てるからだ。

    「よっしゃ!   じゃー早速練習始めっか!    わっ子は俺と特別メニューな」
    「は、はいっ!   宜しくお願いします!」

    和子は素人上がりの為、朝は乃百合達と部活中は同じくペンホルダーを扱うまひるに、付きっきりで指導を受けていた。その甲斐あって、ここ最近メキメキと実力を付けてきている。まさに今が一番の伸び盛りであり、出来なかった事が出来るようになってきて、一番楽しい時期であろう。

    「練習後ドライブ講習会やるよー。興味ある人は練習後残っててねー」
    「はいっ!はーい!行きます!」

    海香は乃百合の強い希望もあって、ドライブの撃ち方を教える講習会を開く事になっていた。
    三年生が抜けた後、立場が人を変えたのか海香もまた一つ大人になっていた。

     藤島桜もまた、虎視眈々とレギュラーの座を狙っている。夏前にアンチラバーに変えた藤島桜は、その力を十分に発揮出来ぬまま地区予選で敗退してしまったが、アンチラバーの使い方もここ最近では板に着いてきた。ドライブを得意とする海香をあっと言わせるシーンも少なくない。

    乃百合とブッケンも毎日のランニングと朝練を欠かす事なく続けていて、その成長スピードは留まることを知らず、新たな技やテクニックをどんどん吸収してものにしていった。

    田中深月もそんな同期に刺激を受けて、のんびりな性格ながらも着実に力を付けている。

    人数こそ少ない念珠崎チームだが、レギュラーメンバーが四人残っている事と、楽しみな人材がいる事は大きな強みではある。そして──、

    「おっ、やってるねー」

    体育館の扉を開き、築山文と大山朱美が顔を出した。手には袋に詰めた、差し入れのスポーツドリンクがぶら下げられている。

    引退後も三年生はこうやって代わるがわるに練習を見に来てくれる。そして受験の息抜きとばかりに、時たま対戦を申し込んできたりするのだった。
    それが嬉しくて有難くて、部員達の練習の原動力となっていた。
    
   ──目指すは新人戦──

    念珠崎チームは新たなチームとなり再び動き出す。



    
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