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英文の敵②
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人払いをし、部屋に二人きりになったのを確認してから、周瑛は語り始めた。
“国に災いが降りかかる時、力ある者が皇位を継げば、異界より仙女を呼び寄せることが出来る。仙女は摩訶不思議な力をもって国を救う”
「先ほど陛下もおっしゃっていましたが、神仙への祈祷など形だけの儀式なのです。その儀式で仙女を呼び寄せたのは、歴史上英雄と讃えられてきた皇帝のみ。あなた様を呼んだ陛下は英雄の素質ありと民衆に認められ、権力が磐石なものとなる」
しかしながら、と周瑛は声色をガラッと変えた。
「それを面白く思わない者もいる……その筆頭が、皇太后陛下です」
なんだか面倒くさい話しになりそうだ、と雪香は予感した。
そしてその予感は的中する。
「皇太后陛下は二人の皇子をお生みになりました。一人は第二皇子、現皇帝陛下です。そしてもう一人は第三皇子、英陽殿下」
「血のつながった息子が皇帝なら万々歳じゃないの?」
疑問がそのまま口をついて出た雪香に、周瑛は深く頷いた。
「そう思われるのが普通です。しかし、皇太后陛下が帝位につけたかったのは第三皇子でした。即位されてからの陛下は常にお命が危険に晒されております」
「ええ!自分の息子を殺そうとしてんの!?」
「ある理由から、皇太后陛下は皇帝陛下を憎んでいらっしゃるのです」
信じられなかった。
兄弟間で親からの愛情に偏りがあるという話を聞いたことがあるが、これはそんなレベルではない。
愕然とする雪香に、周瑛はさらに言った。
「仙女を召還した皇帝は、仙女と同等の神通力を得ることが出来ます。一度得た神通力は、仙女と皇帝どちらかが死ぬまではなくなりません」
「死ぬまで……ってことは、皇太后が私を殺して皇帝の神通力を奪う可能性がある?」
「ご理解が早くて助かります」
ほっとしたように笑う周瑛だが、雪香はまったく笑えなかった。
いきなり異世界に飛ばされた挙げ句、すぐに暗殺の心配をしなければならないのだ。
「神通力を失った皇帝は歴史上何人かいますが、いずれも民衆の支持を失い、最期は惨いものです。即位を止められなかった以上、皇太后陛下は必ずやあなた様を狙い皇帝陛下のお力を削ごうとすることでしょう」
“国に災いが降りかかる時、力ある者が皇位を継げば、異界より仙女を呼び寄せることが出来る。仙女は摩訶不思議な力をもって国を救う”
「先ほど陛下もおっしゃっていましたが、神仙への祈祷など形だけの儀式なのです。その儀式で仙女を呼び寄せたのは、歴史上英雄と讃えられてきた皇帝のみ。あなた様を呼んだ陛下は英雄の素質ありと民衆に認められ、権力が磐石なものとなる」
しかしながら、と周瑛は声色をガラッと変えた。
「それを面白く思わない者もいる……その筆頭が、皇太后陛下です」
なんだか面倒くさい話しになりそうだ、と雪香は予感した。
そしてその予感は的中する。
「皇太后陛下は二人の皇子をお生みになりました。一人は第二皇子、現皇帝陛下です。そしてもう一人は第三皇子、英陽殿下」
「血のつながった息子が皇帝なら万々歳じゃないの?」
疑問がそのまま口をついて出た雪香に、周瑛は深く頷いた。
「そう思われるのが普通です。しかし、皇太后陛下が帝位につけたかったのは第三皇子でした。即位されてからの陛下は常にお命が危険に晒されております」
「ええ!自分の息子を殺そうとしてんの!?」
「ある理由から、皇太后陛下は皇帝陛下を憎んでいらっしゃるのです」
信じられなかった。
兄弟間で親からの愛情に偏りがあるという話を聞いたことがあるが、これはそんなレベルではない。
愕然とする雪香に、周瑛はさらに言った。
「仙女を召還した皇帝は、仙女と同等の神通力を得ることが出来ます。一度得た神通力は、仙女と皇帝どちらかが死ぬまではなくなりません」
「死ぬまで……ってことは、皇太后が私を殺して皇帝の神通力を奪う可能性がある?」
「ご理解が早くて助かります」
ほっとしたように笑う周瑛だが、雪香はまったく笑えなかった。
いきなり異世界に飛ばされた挙げ句、すぐに暗殺の心配をしなければならないのだ。
「神通力を失った皇帝は歴史上何人かいますが、いずれも民衆の支持を失い、最期は惨いものです。即位を止められなかった以上、皇太后陛下は必ずやあなた様を狙い皇帝陛下のお力を削ごうとすることでしょう」
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