25年の後悔の結末

専業プウタ

文字の大きさ
34 / 35

34.恵麻との決別。

しおりを挟む
あれから、2ヶ月がたった。
私と侑李は今日渡米する。
風の噂によると誠一と恵麻は離婚したらしい。

はっきり言って、私にはもうどうでも良い2人だ。
早く彼らを捨てておけば良かったとさえ思う。

「ゆっくりするように言ったのに、お前勉強ばかりしてたな」

空港で侑李が私の左手の薬指を撫でながら揶揄うように言ってくる。
私の左手の薬指は侑李によって再建されて、結婚指輪が光っていた。

私は入籍して、今は早瀬侑李となっている。

「教師として仕事ができると思ったら、嬉しくて」
私はアメリカで日本人学校の教師をする予定だ。
そのための勉強を日本でしていた。

「まりな、教師になる夢、作家になる夢も叶えような。俺の隣でまりなの願いは全部叶えよう」

侑李が愛おしそうに私を見つめてくる。

「愛する人のお嫁さんになる夢はもう叶いました。それから、もう1つ夢ができました」

私が言った言葉に侑李が興味津々になっている。

「もう1つの夢ってなんだ? もしかして、俺たちの愛の結晶が今まりなのお腹の中にいたりする? 」

愛おしそうに私のお腹を撫でてくる侑李にはバレていたようだ。

「正解です! 私は愛する侑李の子を幸せにする夢をもちました」

侑李が嬉しそうに笑ったと思うと、キスをしようとしているのか顔が近づいてきた。
ここは空港でたくさんの人がいるので恥ずかしいけれど、私は思わず目を瞑って彼のキスを待った。

「侑李先輩、その女に騙されてはいけません! 」
私は聞き慣れた恵麻の声に思わず目を開けた。
そこには自分が正義とばかりに勝ち誇った恵麻がいた。
(もう、彼女とは関わりたくないのに⋯⋯)

「聞いてください、侑李先輩。まりなは大人しそうに見えて、男性関係が奔放な女です。そのお腹の子も絶対に侑李先輩の子ではありません。高校の頃から援助交際をしていたような女ですよ」

私は侑李先輩に訴えるように言う恵麻にため息が漏れた。

私の前で堂々と嘘を吐くなんて、本当に私は舐められている。
それとも嘘ばかりつきすぎて恵麻の中で何が本当か分からなくなってしまっているのかもしれない。

「もう、いい加減にしてくれよ。君の顔見るだけで吐き気がするんだ」
侑李が本当に呆れたように言っていて、恵麻がその言葉に衝撃を受けている。

恵麻はその可愛らしい容姿から、男性からは表面上甘い言葉ばかり投げられていた。
だから、侑李先輩の塩対応には慣れていないのだろう。

彼が恵麻を批判した25年前、私は恵麻を庇い彼を批判した。
私がこのような虚言癖持ちの女と関わっていたことで、侑李も嫌な思いはしてきたはずだ。
私は25年前もおかしいのは恵麻の方だと分かっていた。

「恵麻、あなたとは終わりよ。本当に、もうあなたとは関わりなくないの!」

「何言ってるの? 私とまりなは赤ちゃんの頃からの友達じゃない」

「友達ってお互い想い合ってる関係よね? 私は40年あなたと友達だった瞬間なんて一度もないわ。私を陥れて楽しむのも、もう終わりにしなさい。もう、うんざりよ」

先程まで、私を非難するでっちあげを高らかに言っていた恵麻が私に縋ってくる。
私は40年間ではじめて彼女を思いっきり突き放した。

「何言ってるの? まりな。侑李先輩なんて、モテるんだから、きっとすぐ捨てられるよ。私と一緒に老後はシェアハウスしようって言ったじゃない」

私の腕にしがみついて来ようとする恵麻を思いっきり振り解く。
それを私の拒絶ととった恵麻は今度は侑李にしがみつこうとした。

「まりなは20年以上も誠一と付き合ってたんですよ。散々他の男に汚された女なんです。しかも、誠一が私が可愛いからって、まりなから乗り換えようとして私は断ったのに結婚までさせられました。侑李先輩助けてください。
私は被害者なんです」

「可愛い、どこが? 君は俺が知っている人間の中で最も醜いよ。俺のまりなに2度と関わらないでくれ!」

侑李は吐き捨てるように言い放ち、恵麻を追い払い私を抱きしめた。

私は今まで恵麻に弄ばれてきた自分の人生を振り返り胸が苦しくなった。
恵麻より、私の話を聞いて、誰よりも私のことを愛してくれる人を求めていた。
それが、波長もあって中身は大好きなのに無駄にイケメンだったことで私が引け目を感じてしまった侑李だ。

「侑李、もう行きましょう。彼女と言葉を交わす時間があるのなら、あなたと言葉を交わしたいです。もう、あなたが好きなことを私は隠すつもりがありません」

私が言った言葉に侑李が驚いた顔をする。
私はいつも恵麻の前では侑李を遠ざけようと淡々とした態度をとるようにしていたから珍しいのだろう。
でも、この2ヶ月は彼とびっくりするくらい甘い時間を過ごしたのだから早くこの私にも慣れて欲しい。

「まりな、いっぱいこれから話そう。まだ、人生は折り返し地点にも立ってないんだから」
侑李は世界に私しかいないような目で私を見てくる。
呆然とした恵麻を放置して、私たちは飛行機に乗り込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

こんな婚約者は貴女にあげる

如月圭
恋愛
アルカは十八才のローゼン伯爵家の長女として、この世に生を受ける。婚約者のステファン様は自分には興味がないらしい。妹のアメリアには、興味があるようだ。双子のはずなのにどうしてこんなに差があるのか、誰か教えて欲しい……。 初めての投稿なので温かい目で見てくださると幸いです。

私が、良いと言ってくれるので結婚します

あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。 しかし、その事を良く思わないクリスが・・。

伯爵令嬢の婚約解消理由

七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。 婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。 そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。 しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。 一体何があったのかというと、それは…… これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。 *本編は8話+番外編を載せる予定です。 *小説家になろうに同時掲載しております。 *なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

処理中です...