10 / 21
10.心中
スバルが差し出して来た菊に似た青臭い香りの花には見覚えがあった。
何となく花の色が黄色いだけで恐怖を感じてしまう。
(まあ、まだ結婚生活始まったばかり、そこまで怯える事もないか⋯⋯)
私はそっと花束をサイドテーブルに置いた。
窓の外を見つめていると、スバルがテーブルに食事を並べている。
「もしかして、手料理?」
「ケータリングだよ。料理って女の人がするものでしょ」
ふっと少し笑ったスバルは静かに料理を並べ続けた。
専業主婦として彼と結婚してる時には気にならなかったが、彼は家事を女の仕事だと思っている。
共働きなら家事分担について話すべきだが、何となく今その話をするのは危険な気がした。
テーブルの上にはレストランで並ぶような鮮やかな料理。
今は彼が私の為に料理を用意したことに感謝を示すべきだ。
「スバル、素敵なディナーを用意してくれてありがとう。野菜のゼリー寄せ? 見てるだけで楽しいね」
ゼリー寄せの中にオクラを見つけた。
ネバネバした食感が幼虫みたいで苦手だとスバルは言ってたはずだ。
(もしかして、食べる気はない?)
急に不安が押し寄せてくる。
意に沿わない行動をしたから、彼が既に私に対して殺意を抱いている気がしたからだ。
彼が冷やしたワイングラスを二つを冷蔵庫から出してくる。
「結婚祝いで貰ったペアグラス、使ってみようか」
回帰前も登場したブランドもののクリスタルのワイングラス。
彼の職場の看護師たちが送ってくれたらしい。
「そうね」
私はスバルに笑いかけると、窓際に近づく。
花火が始まる時刻まであと二十秒だ。
暗雲が立ち込めていて風も強い今日。季節的にも天候的にも花火が見られたことに私は奇跡を感じた。
過去の私はスバルとの始まりがとても良いものになりそうで嬉しかった。
「花火がそんなに待ち遠しい? 花火が見られる部屋だってサプライズしたかったんだけどな」
「⋯⋯この部屋に入った時から、方角的に見られるかなと思ってたの。この花火大会が今年から十月になるというのは、結構ニュースでやってたよ」
「⋯⋯」
スバルが無言になる時は不機嫌になった時だ。
彼は自分の考えてたサプライズが出来なかった事に腹を立てている。
自分の思う通りの言動をしないと不機嫌になる彼との時間は吊り橋を渡っているような感覚だ。
キッチンで赤ワインを注ぐスバルが窓ガラスに映っている。
以前の私は彼が得意げにこの部屋を見せて来た時に、風景が綺麗だとはしゃいで見せた。
本当はタワマンに住んでいると知った時、いかにも成金という感じで苦手なタイプではないかと不安になった。
昔から私はマウント気質の成金が一番気が合わない。
実際、スバルと私は価値観が合っていなかった。
(それとなく価値観の不一致を強調すれば離婚できるかも!?)
ーー離婚の原因第一である価値観の不一致
私は彼自ら私と離婚したいと言い出すように誘導してみる事にした。
「私、タワマンって苦手だな。小さな土地の中に沢山の人が住んでいるって、この土地は誰のものなのって思っちゃう。エレベーターに乗る時間も長いよね」
「⋯⋯僕は好きだな。窓の外を見ていると街の明かりが小さくて、何もかもがちっぽけだったって思える」
窓に映った彼の顔が悲しそうで私は罪悪感に苛まれる。
自分の好きなものを否定されるのは嫌だろうし、パートナーが新居にケチをつけるなんて最悪だ。
ーーでも、彼は私を殺す人。
「子供は早めに作ろうね。私、もうアラサーだし、早い方が体も楽⋯⋯」
窓ガラス越しに映ったスバルの行動に私は一瞬固まった。
赤ワインが入れられたグラスの中に、小瓶から透明の液体を入れている。
(二つのグラスに入れられた液体は何?)
瞬間、父が入眠剤の多量摂取で死んだという不自然さを思い出した。
確実性を求める父が、そんな死に方を選ぶのが変だ。
オーバードーズで意識不明になるだけで、死ねない可能性もある。
そもそも、父が自死したというのも疑わしい。
自死するなら、確実に死ねる毒薬を選ぶ。
私の方にゆっくりと歩いて来ながら、ワイングラスを差し出すスバル。
私は震える手で彼からワイングラスを受け取った。
「子供はいらない。醜い顔が遺伝すると困るからね」
「えっ?」
私はまじまじとスバルの顔を見つめた。
誰が見ても美しいと感じる美貌、それならば彼が醜いと言っているのは私の顔?
「私、不細工かな。そんな美人な方ではないと思うけど、化粧落としても見られる顔ではあるはずだよ」
私の言葉に彼が吹き出す。
屈託なく笑う彼の笑顔も美しい。
「違う違う。僕が整形なんだよ。子供の頃は不細工だからって酷くいじめられたんだ」
私は過去に彼が一度も明かさなかった秘密をあっさりと語ってきて不安を覚えた。
まるで、人殺しが犯行前に自白をし出しているようだ。
「そうなの? でも、それは虐める方が悪いよね。ルックスが良いから幸せになれる訳じゃないし、見た目が悪くても自分を卑下するべきじゃないよ」
瞬間、頭の中に古い記憶が蘇る。
公園の端の木の下で三人の中学生に囲まれて嘔吐している男の子。
私が「今、お医者さん呼んであげる」と言いながら、具合が悪そうなその子に近付くと中学生たちは逃げていった。
口の周りに土がついていた男の子は食べ物ではないものを食べさせられていた。
私は男の子が恥ずかしそうにしたので、イジメに気が付かないフリをした。
それから、私は「うちは売る程ケーキがある」と言ってその子の手を引いて⋯⋯。
(あの時の男の子が、まさかスバル?)
「⋯⋯そろそろ、乾杯しよっか」
スバルが私ワイングラスを掲げる。
その二つのグラスには怪しい液体が沈澱していた。
ワイングラスを促されるまま、合わせると同時に辺りが明るくなる。
「あっ、花火!」
私は花火に気を取られて、ワインを飲まないフリをする。
すると乾杯したのに、スバルもワインに口づけようとしない。
ガシャン!
私はワザと自分のワイングラスを床に落とした。
赤ワインが血のように床に広がる。
「⋯⋯ごめん、花火に気を取られてワイングラスを落としちゃった」
「そう。じゃあ、新しいのを入れ直してくるよ」
スバルは自分のワイングラスには口をつけず、そのままキッチンの方へ歩いて行く。
「ねえ、スバル。花火は紫色を作るのが一番難しいの。炭酸ストロンチウムと酸化銅を混ぜるんだ」
私は彼が知識を披露したい人だと知っていた。
この話はスバルが回帰前に私に披露したネタ。
本当は私も知っていたけれど、初めて知ったリアクションをした。
今、私は動揺している。ただ、前と同じ行動をとらない事でスバルの考えを探る事に必死だった。
「黄色い花火を見るとチタンだ。白色はアルミニウム。じゃあ、花火鑑賞がどうして始まったかは知ってる?」
スバルが得意げに知識を披露しながら尋ねてくる。
「花火鑑賞は死者を弔うことから始まったのよね。花火鑑賞は江戸時代から始まり明治時代には派手になっていったの」
これもスバルが回帰前私に披露した豆知識だが、私は既に知ってその時も初めて聞いたフリをした。
「戦時中だけは火薬が爆弾に使われ花火は無くなっていた。今は、また花火を見ることができて平和の象徴になっているんだ」
スバルが私に会話を返してくる。
珍しくキャッチボールできているスバルとの会話。
彼の気分を害さないように無知なフリをしていたが、自然体で向き合った方が上手くいったのかもしれない。
そんな甘い考えが一瞬浮かび、私は首を振った。
彼は人を殺せる人で、先程もワインに怪しい液体を仕込んでいた。
整形美容外科ならば、麻酔薬がある。
致死量飲めば死に至るはずだ。
そして、今、スバルは私と同時に毒を飲もうとしていた。
私は自分の推理を組み立て始めた。
彼はずっと片想いだと、叶わぬ恋を嘆くように私を以前絞殺した。
もしかしたら、私を殺した後に自分も死んでいたのかもしれない。
ーースバルの狙いは『心中』
今世で叶わぬ恋に苦しむ二人が選ぶ最終手段として、文豪が選んできた方法。
花で想いを伝えるロマンチストな彼が選びそうな手段だ。
私は動揺を抑えながら、サイドテーブルに置いてある黄色い花束を手に取った。
「これってマリーゴールドよね。花言葉って何か知ってる?」
どこか見覚えがあると思ったが、春の花で歌にもなったマリーゴールドだ。
「『絶望』⋯⋯アポロンに想いを寄せていた水の妖精のクリスティの父親が「嫉妬」から、レウトコエを生き埋めにしてしまったんだ。 そして、後悔の念に駆られた水の妖精、クリスティの体がマリーゴールドへと変化したことが『絶望』という花言葉の由来」
ワインを流しに捨てたスバルがゆっくりと私に近付きながら語りかけてくる。
(ああ、私、殺されるんだ)
直感的にスバルは今、私を殺そうとしていると理解した。
自分の思っているような相手でなかったから、殺そうというのか。
出会ったばかりでプロポーズしてきて、相手の気持ちが追いついてないのが理解できていない。
ニコニコと彼の博識を誉めて、彼の好き嫌いを把握し、彼を愛する努力をし続けても私は前回結婚一年で殺されたのだ。
本当の自分を出したら、どうやら入籍初日で殺される運命だったらしい。
本当に身勝手な男で反吐が出る。
私は慌てて扉の方へと走り出すが、進路を塞がれた。
「私と離婚して! 私たちは合わないよ!」
声が震えるけれど、キッパリと別れの意思を伝えた。
(殺さないで、ただ離婚してよ!)
何となく花の色が黄色いだけで恐怖を感じてしまう。
(まあ、まだ結婚生活始まったばかり、そこまで怯える事もないか⋯⋯)
私はそっと花束をサイドテーブルに置いた。
窓の外を見つめていると、スバルがテーブルに食事を並べている。
「もしかして、手料理?」
「ケータリングだよ。料理って女の人がするものでしょ」
ふっと少し笑ったスバルは静かに料理を並べ続けた。
専業主婦として彼と結婚してる時には気にならなかったが、彼は家事を女の仕事だと思っている。
共働きなら家事分担について話すべきだが、何となく今その話をするのは危険な気がした。
テーブルの上にはレストランで並ぶような鮮やかな料理。
今は彼が私の為に料理を用意したことに感謝を示すべきだ。
「スバル、素敵なディナーを用意してくれてありがとう。野菜のゼリー寄せ? 見てるだけで楽しいね」
ゼリー寄せの中にオクラを見つけた。
ネバネバした食感が幼虫みたいで苦手だとスバルは言ってたはずだ。
(もしかして、食べる気はない?)
急に不安が押し寄せてくる。
意に沿わない行動をしたから、彼が既に私に対して殺意を抱いている気がしたからだ。
彼が冷やしたワイングラスを二つを冷蔵庫から出してくる。
「結婚祝いで貰ったペアグラス、使ってみようか」
回帰前も登場したブランドもののクリスタルのワイングラス。
彼の職場の看護師たちが送ってくれたらしい。
「そうね」
私はスバルに笑いかけると、窓際に近づく。
花火が始まる時刻まであと二十秒だ。
暗雲が立ち込めていて風も強い今日。季節的にも天候的にも花火が見られたことに私は奇跡を感じた。
過去の私はスバルとの始まりがとても良いものになりそうで嬉しかった。
「花火がそんなに待ち遠しい? 花火が見られる部屋だってサプライズしたかったんだけどな」
「⋯⋯この部屋に入った時から、方角的に見られるかなと思ってたの。この花火大会が今年から十月になるというのは、結構ニュースでやってたよ」
「⋯⋯」
スバルが無言になる時は不機嫌になった時だ。
彼は自分の考えてたサプライズが出来なかった事に腹を立てている。
自分の思う通りの言動をしないと不機嫌になる彼との時間は吊り橋を渡っているような感覚だ。
キッチンで赤ワインを注ぐスバルが窓ガラスに映っている。
以前の私は彼が得意げにこの部屋を見せて来た時に、風景が綺麗だとはしゃいで見せた。
本当はタワマンに住んでいると知った時、いかにも成金という感じで苦手なタイプではないかと不安になった。
昔から私はマウント気質の成金が一番気が合わない。
実際、スバルと私は価値観が合っていなかった。
(それとなく価値観の不一致を強調すれば離婚できるかも!?)
ーー離婚の原因第一である価値観の不一致
私は彼自ら私と離婚したいと言い出すように誘導してみる事にした。
「私、タワマンって苦手だな。小さな土地の中に沢山の人が住んでいるって、この土地は誰のものなのって思っちゃう。エレベーターに乗る時間も長いよね」
「⋯⋯僕は好きだな。窓の外を見ていると街の明かりが小さくて、何もかもがちっぽけだったって思える」
窓に映った彼の顔が悲しそうで私は罪悪感に苛まれる。
自分の好きなものを否定されるのは嫌だろうし、パートナーが新居にケチをつけるなんて最悪だ。
ーーでも、彼は私を殺す人。
「子供は早めに作ろうね。私、もうアラサーだし、早い方が体も楽⋯⋯」
窓ガラス越しに映ったスバルの行動に私は一瞬固まった。
赤ワインが入れられたグラスの中に、小瓶から透明の液体を入れている。
(二つのグラスに入れられた液体は何?)
瞬間、父が入眠剤の多量摂取で死んだという不自然さを思い出した。
確実性を求める父が、そんな死に方を選ぶのが変だ。
オーバードーズで意識不明になるだけで、死ねない可能性もある。
そもそも、父が自死したというのも疑わしい。
自死するなら、確実に死ねる毒薬を選ぶ。
私の方にゆっくりと歩いて来ながら、ワイングラスを差し出すスバル。
私は震える手で彼からワイングラスを受け取った。
「子供はいらない。醜い顔が遺伝すると困るからね」
「えっ?」
私はまじまじとスバルの顔を見つめた。
誰が見ても美しいと感じる美貌、それならば彼が醜いと言っているのは私の顔?
「私、不細工かな。そんな美人な方ではないと思うけど、化粧落としても見られる顔ではあるはずだよ」
私の言葉に彼が吹き出す。
屈託なく笑う彼の笑顔も美しい。
「違う違う。僕が整形なんだよ。子供の頃は不細工だからって酷くいじめられたんだ」
私は過去に彼が一度も明かさなかった秘密をあっさりと語ってきて不安を覚えた。
まるで、人殺しが犯行前に自白をし出しているようだ。
「そうなの? でも、それは虐める方が悪いよね。ルックスが良いから幸せになれる訳じゃないし、見た目が悪くても自分を卑下するべきじゃないよ」
瞬間、頭の中に古い記憶が蘇る。
公園の端の木の下で三人の中学生に囲まれて嘔吐している男の子。
私が「今、お医者さん呼んであげる」と言いながら、具合が悪そうなその子に近付くと中学生たちは逃げていった。
口の周りに土がついていた男の子は食べ物ではないものを食べさせられていた。
私は男の子が恥ずかしそうにしたので、イジメに気が付かないフリをした。
それから、私は「うちは売る程ケーキがある」と言ってその子の手を引いて⋯⋯。
(あの時の男の子が、まさかスバル?)
「⋯⋯そろそろ、乾杯しよっか」
スバルが私ワイングラスを掲げる。
その二つのグラスには怪しい液体が沈澱していた。
ワイングラスを促されるまま、合わせると同時に辺りが明るくなる。
「あっ、花火!」
私は花火に気を取られて、ワインを飲まないフリをする。
すると乾杯したのに、スバルもワインに口づけようとしない。
ガシャン!
私はワザと自分のワイングラスを床に落とした。
赤ワインが血のように床に広がる。
「⋯⋯ごめん、花火に気を取られてワイングラスを落としちゃった」
「そう。じゃあ、新しいのを入れ直してくるよ」
スバルは自分のワイングラスには口をつけず、そのままキッチンの方へ歩いて行く。
「ねえ、スバル。花火は紫色を作るのが一番難しいの。炭酸ストロンチウムと酸化銅を混ぜるんだ」
私は彼が知識を披露したい人だと知っていた。
この話はスバルが回帰前に私に披露したネタ。
本当は私も知っていたけれど、初めて知ったリアクションをした。
今、私は動揺している。ただ、前と同じ行動をとらない事でスバルの考えを探る事に必死だった。
「黄色い花火を見るとチタンだ。白色はアルミニウム。じゃあ、花火鑑賞がどうして始まったかは知ってる?」
スバルが得意げに知識を披露しながら尋ねてくる。
「花火鑑賞は死者を弔うことから始まったのよね。花火鑑賞は江戸時代から始まり明治時代には派手になっていったの」
これもスバルが回帰前私に披露した豆知識だが、私は既に知ってその時も初めて聞いたフリをした。
「戦時中だけは火薬が爆弾に使われ花火は無くなっていた。今は、また花火を見ることができて平和の象徴になっているんだ」
スバルが私に会話を返してくる。
珍しくキャッチボールできているスバルとの会話。
彼の気分を害さないように無知なフリをしていたが、自然体で向き合った方が上手くいったのかもしれない。
そんな甘い考えが一瞬浮かび、私は首を振った。
彼は人を殺せる人で、先程もワインに怪しい液体を仕込んでいた。
整形美容外科ならば、麻酔薬がある。
致死量飲めば死に至るはずだ。
そして、今、スバルは私と同時に毒を飲もうとしていた。
私は自分の推理を組み立て始めた。
彼はずっと片想いだと、叶わぬ恋を嘆くように私を以前絞殺した。
もしかしたら、私を殺した後に自分も死んでいたのかもしれない。
ーースバルの狙いは『心中』
今世で叶わぬ恋に苦しむ二人が選ぶ最終手段として、文豪が選んできた方法。
花で想いを伝えるロマンチストな彼が選びそうな手段だ。
私は動揺を抑えながら、サイドテーブルに置いてある黄色い花束を手に取った。
「これってマリーゴールドよね。花言葉って何か知ってる?」
どこか見覚えがあると思ったが、春の花で歌にもなったマリーゴールドだ。
「『絶望』⋯⋯アポロンに想いを寄せていた水の妖精のクリスティの父親が「嫉妬」から、レウトコエを生き埋めにしてしまったんだ。 そして、後悔の念に駆られた水の妖精、クリスティの体がマリーゴールドへと変化したことが『絶望』という花言葉の由来」
ワインを流しに捨てたスバルがゆっくりと私に近付きながら語りかけてくる。
(ああ、私、殺されるんだ)
直感的にスバルは今、私を殺そうとしていると理解した。
自分の思っているような相手でなかったから、殺そうというのか。
出会ったばかりでプロポーズしてきて、相手の気持ちが追いついてないのが理解できていない。
ニコニコと彼の博識を誉めて、彼の好き嫌いを把握し、彼を愛する努力をし続けても私は前回結婚一年で殺されたのだ。
本当の自分を出したら、どうやら入籍初日で殺される運命だったらしい。
本当に身勝手な男で反吐が出る。
私は慌てて扉の方へと走り出すが、進路を塞がれた。
「私と離婚して! 私たちは合わないよ!」
声が震えるけれど、キッパリと別れの意思を伝えた。
(殺さないで、ただ離婚してよ!)
あなたにおすすめの小説
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる
椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。
その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。
──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。
全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。
だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。
「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」
その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。
裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
本を返すため婚約者の部屋へ向かったところ、女性を連れ込んでよく分からないことをしているところを目撃してしまいました。
四季
恋愛
本を返すため婚約者の部屋へ向かったところ、女性を連れ込んでよく分からないことをしているところを目撃してしまいました。
「妹の方が可愛い」と不倫夫に捨てられた私。どうぞ借金まみれの実家ごと引き取って。私が肩代わりしていた負債、すべてお二人に引き継いでおきました
唯崎りいち
恋愛
「お前より妹の方が可愛い」
不倫した夫は私を追い出し、略奪した妹と笑った。
どうぞ、その「可愛い妹」と地獄までお幸せに。
私が肩代わりしていた実家と店の多額の借金、すべてお二人に引き継いでおきましたから。
「財布」を失った元夫と、逃げ場を失った妹。
身の丈に合わない贅沢を望んだ寄生虫たちの、惨めな末路を特等席で眺めさせていただきます。