虐められ抜いた私が悪役令嬢に転生し援軍を得て、婚約破棄してきた王子をざまぁし最高の男と結ばれるまで。

専業プウタ

文字の大きさ
10 / 55

10.私を好きになってください。

しおりを挟む
私たちは丸2日間馬車に揺られて、雪に囲まれたルイ王国に着いた。

「信じられない。私がエドワード王子を好きなことを知っていて、レイラお姉様は彼と婚約したの ?わーん!」

 到着して初めに迎えてくれた、私と同じ10歳のララア王女はサイラス王太子殿下の報告を聞くなり大泣きして部屋に篭ってしまった。
 
 「姉妹で好みが似ていたのですね。レイラは特にエドワード王子への恋心を明かしていなかったので、ララアにとっては騙し討ちにあった気分でしょう。私もエドワード王子に再会したレイラの態度を見て、初めて彼女の気持ちに気がつきました。でも、こういったものは早い者勝ちですよね」

 サイラス王太子殿下は笑顔でそういうと、私の手を引いて王宮を案内してくれた。
 
 「不思議です。一夫多妻制のライ国が王子が2人なのに、一夫一妻制のルイ国は6人もの王子と王女がいるのですね」
 私は自分が前世で2人兄弟だったからか、6人も兄弟がいる状況自体が不思議な感じがした。
 
 「両親がいつまでたっても仲良しなのです。母上が王妃について以来、妊娠しっぱなしなので実家の公爵家から怒られました。それで、やっと子作り終了です。ララアはレイラとは全く違い幼いので、妹だとでも思って接してください。アカデミーには同学年で入学しますが、彼女はあなたに迷惑をかけるかもしれません。悪気はないと思うのですが、自分の気持ちに正直すぎるところがある子です」
 
 「とても素敵な方だと思いました。仲良くなりたいです。私も彼女のように自分の気持ちを正直に出せるようになりたいです」

私は大好きな王子様が姉と婚約したことに周りを気にせず泣き出したララア王女を思い出して、可愛いと思ってしまった。
 
 「イザベラ、私の前ではなんでも言ってください。隠している悲しいことも、あなたを作っている何もかもを私に見せて欲しいです」

 突然私を抱き寄せてきた、サイラス王太子殿下に驚いた。
 
 私は今10歳の体だが、心は18歳だ。
 なんだか何もかもわからなくなるくらい、私は彼に惹かれていると思う。
 
 「ライ国のイザベラ・ライト公爵令嬢。初めまして、ライアン・ルイと申します。兄上、何を考えているか教えてくださいますか?先ほどライ国から彼女を誘拐したことへの抗議の文書が来ました。戦争を起こす気なのですか?我が国に勝機はあります。しかし、緊迫した状況になったら、ライ国で人質になっているレイラの安全は保証されませんよ」
 私に軽く挨拶をすると、ライアン様はすぐにサイラス王太子殿下を勢いよく問い詰め出した。
 私は自分が誘拐されたという状態になっていることと、レイラ王女が危険な状況になっていることに怖くなって震え出してしまう。
 
 「ライアン、あなたはレイラを過小評価しすぎです。彼女は状況判断に非常に優れています。彼女を人質にしたことで、危険になっているのはライ国ですよ」

 サイラス王太子殿下の凛とした声に思わず彼の顔を見る。
 私と話すときは優しい声に甘ったるい顔をしている気がするけれど、今の彼は間違いなく君主の顔をしていた。
 
 「今は言えない策があってしたことなのですね。分かりました。ここは、ひとまず兄上を信じます。イザベラ・ライト公爵令嬢。国家間の政争に巻き込まれて辛いでしょうが、いつでも頼ってください」

 ライアン王子はそう言って、笑いかけると去っていった。
 銀髪に青い瞳をしたサイラス王太子に似て、柔らかい感じのする方だ。
 
 「良い感じに勘違いしてくれましたね。どうやら、今まで真面目にやってきたお陰でイザベラを強引に連れてきたことさえルイ国のためだと思ってくれたようです。衝動的にあなたを誘拐してきてしまったことは、秘密にしといてください。彼は今年アカデミーに入学しました。イザベラが入学する頃には生徒会長として、あなたをサポートしてくれると思います。彼はしっかり者なので、困ったことがあったら頼ってください」
 
 「私にも何かできることはありますか?人質の仕事を教えてください」
 
 「イザベラ、対外的にはあなたは人質ですが、ここでは自分を人質とは思わないでください。私の兄弟は皆察しが良いので、私があなたに接する態度を見てあなたをルブリス王子から奪い妻にするつもりだと気がつくと思います。そして、彼らは人の価値を見抜く力を持っています。だからイザベラが自然に振る舞っているだけで、あなたを認め敬ってくるとおもいますよ」
 
 「私、サイラス王太子殿下の妻になるのでしょうか?」
 ライ国のルブリス王子の婚約者である私が彼の妻になるということは可能なのだろうか。

 それに大人っぽいサイラス王太子が、少女のような私を妻にしようと連れてきたというのを彼の兄弟が信じると彼が確信しているのが不思議だった。
サイラス王太子は私の中身が18歳の女性だと知っているが、周りから見れば幼い10歳の少女だからだ。
 
 「私はイザベラと一緒になりたいと思っています。イザベラの心を得られるよう、これから努力していきますね。私を好きになって欲しいというのが、私がイザベラにして欲しい唯一のことです」

 既に私は彼を好きになっていると言いたかった。
 しかし、それを言ってしまうと何かがはじまりそうで怖くなってしまい私は押し黙った。
 
 私には男の人と心を通わせた経験もない。
 その上、彼の妻になるということは将来的にルイ国の王妃になることを意味する。
 人前で話すことさえままならない自分が、このような堂々とした王族の一員になる自信がない。
 
 
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

処理中です...