虐められ抜いた私が悪役令嬢に転生し援軍を得て、婚約破棄してきた王子をざまぁし最高の男と結ばれるまで。

専業プウタ

文字の大きさ
23 / 55

23.ハンカチをプレゼントしてください。

しおりを挟む
「おはようございます。イザベラ様」

「ご機嫌よう、イザベラ様」
ララアと教室に入ると、周りが一斉に私を見た。

この視線が敵意ではないと分かっていても、中学時代、私が登校してくると一斉にみんなが自分を見たのと同じで一気に吐き気がする。
私は彼らにとって他国の次期王妃なのだから、虐めてくるはずがないと心では分かっているのにどうにもならない。

「イザベラ、顔が真っ青だよ。外、行こうか」
私の隣にいるララアが耳元で囁いてくる。

「いえ、ご心配おかけして申し訳ございません。席につきましょう」
ララアが心配そうに見ているが、私は目に力をいれ大丈夫だとアピールした。




その時、教室の後ろの扉が開く音がして、周りが騒ぎ出した。

「ライアン王子殿下、いかがなさいましたか?」
1人の生徒が言った声に振り向くと、ライアン王子殿下が教室に入ってきて私の元まで来た。

「イザベラ様、今日は3年生の教室を見学しましょう。イザベラ様は3年生になる時はライ国に戻ります。3年生のルイ国のアカデミーの授業は特殊なのです。一度、是非ライ国の次期王妃としてご見学くだささい」

ライアン王子が私にはっきりした大きな声で言うのは、周りに聞かせるためだろう。
私がストレスで嘔吐したことにも彼は気がついていたらしいので、助けに来てくれたのかもしれない。
とりあえず、ここで彼の好意を無視するのは失礼にあたるだろう。

「はい、よろしくお願いします。ライアン王子殿下」
彼がエスコートしようと差し出してきた手に私は手を重ねて教室を出た。

「3年生の教室は2階です。階段を上がりますので、気をつけてください」

私は本当に3年生の教室に行くことが分かり、緊張してきてしまった。
彼はよく細かいことを察してくれるので、外に一時避難させてくれると思っていたのだ。

そのような期待を自分がしていたことに、気がつくと少し吐き気が引いた。
中学時代とは違う、ここでは私に手を差し伸べてくれる人がいることを既に私は知っている。

「私、そこまで具合悪そうに見えますか? 流石に階段は上がれますよ」

「悪そうに見えましたけれど、少し回復しましたね。アカデミーに通うくらいの年代の子が苦手だとおっしゃっていたではないですか。一度、3年生の教室に来てください。可哀想なことに既におじさんみたいな見た目の学生もいます。1年生の教室にいるより嫌な記憶が蘇らないかもしれません」

「お気を遣って頂きありがとうございます」

「イザベラ様、私の願いを2つ聞いてください。1つはクラスにいるエリス・ギータ侯爵令嬢の弱みを見つけてください。昨日、話した一匹狼の女性です。彼女は兄上の婚約者候補なのですが、叩いても埃が出ません。彼女は次期王妃として選出されながら、「残念ライアン王子と結婚してください」となっても文句さえ言わなそうな感情を感じない人です。でも、彼女の父親のギータ侯爵は、そのような事態になれば絶対うるさく抗議してきます」

「ライアン王子殿下は、彼女と結婚することは嫌だと思っていないのですね。もう、1つのお願いは何ですか?」

「ギータ侯爵令嬢は邪魔になりそうもない女性なので、結婚相手としては合格です。しかし、彼女の父親のギータ侯爵は一人娘の彼女を大事にしているので、次期王妃に選出された娘が私と婚約するとなったら納得しないでしょう。イザベラ様の観察眼に期待しています。私はあなたは優れた観察眼を持つ女性だと思っています。それから、もう1つのお願いは、もうすぐ狩猟大会があります。兄上に王家の家紋とイニシャルの入ったハンカチをプレゼントしてください。昨夜から、兄上の私に対して当たりがキツイです。おそらく私があなたと接触したことで、無自覚に嫉妬しているのでしょう。イザベラ様がハンカチをプレゼントすれば、機嫌がなおるかもしれません」

「ハンカチをプレゼントすると言うことは、好意を伝えることになるのですよね。他国に婚約者がいる私がそのようなことをして、問題にはなりませんか?」

なんだか前世のバレンタインデーのようだと思った。
サイラス様に好きだと伝えるのは難しいけれど、ハンカチを渡すことで想いを伝える手段があるなら私もやってみたい。

「みんなが見ている前でプレゼントしたら大問題になります。もちろん、狩猟大会の前日に王宮で2人きりの時にプレゼントしてください。では、教室に入りますよ」
3年生の教室の前に来て、一気に緊張してくる。

「皆様、今日はライ国の次期王妃になられるイザベラ・ライト公爵令嬢が3年生の教室をご見学されます。ルイ国の貴族として恥じぬ姿をお見せください」
教室に入ると1年生の教室とは全く違う形態であることに驚いた。

会議室のような形式に机と椅子が配置してある。
きっと、これからディベートのようなものをするのだろう。

「エリス・ギータと申します。イザベラ様、席までご案内します」
緑色のショートカットの髪に緑色の瞳をしたギータ侯爵令嬢は、前世にはいない見た目でいかにも異世界の人だった。
一匹狼だと聞いていて、教室の端で黄昏ているような女性を想像していた。

しかし、彼女は明らかに周りから一目置かれ、他国の来賓である私が来たらすぐに接待できる王妃になるに相応しい方だと感じた。
サイラス様と彼女が並んでいる姿が思い浮かんでしまい、私は胸が苦しくなった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約破棄だ!と言われ実家に帰ったら、最推しに餌付けされます

黒猫かの
恋愛
王国の第一王子クレイスから、衆人環視の中 で婚約破棄を言い渡されたローゼン侯爵令嬢ノエル。

婚約者は無神経な転生悪役令嬢に夢中のようです

宝月 蓮
恋愛
乙女ゲームのモブに転生したマーヤ。目の前にいる婚約者はそのゲームの攻略対象だった。しかし婚約者は悪役令嬢に救われたようで、マーヤそっちのけで悪役令嬢に夢中。おまけに攻略対象達に囲まれている悪役令嬢も転生者で、何だか無神経発言ばかりで少しモヤモヤしていしまうマーヤ。そんな中、マーヤはゲームには関係ない隣国の公爵令息と仲良くなり……!? 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)

放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」 公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ! ――のはずだったのだが。 「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」 実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!? 物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる! ※表紙はNano Bananaで作成しています

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

処理中です...