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38.たった1人の信じてくれた人。(ルブリス視点)
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「国王陛下、信じてもらえないかも知れまんが、私は悪魔に心を洗脳されていました。イザベラを憎み、フローラを愛するように精神を操作されていたのです。私はイザベラ・ライト公爵令嬢との婚約を解消するつもりはございません」
「ルブリス、お前は気でも狂ったのか? それとも、それ程に浅はかな人間だったのか?悪魔に心を洗脳?ライト公爵の娘と婚約しているからこそ、自分の地位が揺るぎなくなっていると理解できなかったのか?今更、全てを失いそうになって慌てて作った理由がそれなのか?ライト公爵令嬢を蔑ろにしてきた理由が、悪魔の洗脳などでは通るまい。王太子にはエドワードを指名する。ライト公爵家に愛想を尽かされたら終わりだ」
国王陛下は今日の卒業パーティーでの話を既に把握しているのだろう。
「信じられない話ですよね。私もそう思います。しかし、イザベラは信じてくれました。私は彼女を手放す気はありません」
生まれた時から、次期国王になるルブリス・ライとして育てられた。
だから、次期国王にならないルブリス・ライを想像できない。
気が狂ったとしか思えない言葉を、父でさえ信じられないという。
それを信じてくれるという、イザベラをどうして私が手放すことができるのか。
「ライト公爵令嬢がお前の言葉を信じたのか? 彼女はお前のことが好きだったようだしな、彼女の心を手に入れられるのであれば、お前が次期国王だ」
イザベラが私を追いかけていたのは正式な婚約前だけだ。
正直、着飾ることばかりに夢中で人の噂話ばかりしている彼女が苦手だった。
婚約の顔合わせで会った時、彼女は別人のようになっていた。
私に怯えるような雰囲気を見せるだけではなく、私を拒絶するような感じがした。
何よりも今までやりたい放題に見えた彼女が、恐る恐る私の目を見つめ感情を読み取ろうとしているのが気になった。
あの時、私は初めて人に興味を持った。
その感情を妨害するかのように、イザベラに対する嫌悪感が脳を侵略してきた。
彼女をその嫌悪感の赴くままに攻撃したのは自分だ。
嫌悪感があるからと言って、彼女を「物言わぬ人形」呼ばわりした。
「兄上、イザベラ様との婚約は彼女のためを思うなら破棄してあげるべきだと思いますよ。フローラ様は良いのですか?3年間の在学中、兄上と彼女と恋仲だったことは誰もが知るところです。イザベラ様はルイ国のサイラス王太子殿下と心を通わせております。兄上も、自分の心に誠実になることに注力したらどうでしょうか?フローラ様がお好きなんでしょ、今更イザベラ様に纏わりつくのはみっともないですよ」
弟のエドワードは私を引き摺りおろして、自分が王位につきたいのだろう。
卒業パーティーまで、彼は国王になる自分を支える為に日々努力しているのだと勘違いしていた。
「信じられないかも知れないが、フローラを愛するように洗脳されていたんだ。エドワードは卒業パーティーで100人の人間がいたら99人がフローラではなくイザベラを選ぶと言ったね。イザベラは言葉に言い表せないくらい唯一無二の女性だ。100人の人間がいたら全員彼女を選ぶ。私が、彼女を選べずに蔑ろにしたのは、フローラを愛するよう精神をおかされていたからなんだ。これからは間違えずに、私はイザベラだけを愛すると誓う」
イザベラだけを愛したいというのは私の心からの叫びだった。
それでも今までにしたイザベラを傷つけただろう自分の言葉は全て覚えていて私を苦しめた。
イザベラは私に嫌悪感を抱いているはずなのに、慰めるように私のあり得ない言葉を信じると言ってくれたのだ。
そのような彼女が嫌悪感を抱くよう洗脳されていたとはいえ、ナイフのような言葉で自分を攻撃してきた私に好意を寄せてくれるわけがない。
せめて婚約を解消せず一生彼女を側に置ければ、ゆっくりと自分の気持ちを伝えることはできる。
優しい彼女ならば愛を伝え続ければ、愛を返そうとするはずだ。
「精神をおかされていただなんて、間違っても人に言わないほうが良いです。狂っていると思われかねません。兄上、イザベラ様に今更まとわりついても、兄上がライト公爵家の後ろ盾欲しさに近づいてきてるとしか思われないですよ。彼女に権威目当てではなく、本当に愛していることを伝える為にも婚約を破棄してあげてはどうでしょう」
父だけではなく、いつも身近にいたエドワードさえ私の真実は信じてもらえなかった。
私自身も信じられないような真実を信じてくれたのがイザベラだ。
「エドワード、どうして、こんなに近くに敵がいたことに気が付かなかったのだろう。いつから私を追い落とそうと思っていたんだ?イザベラは私との婚約が破棄になったら、ルイ国の次期国王サイラス・ルイのものになるだろう。国王にもならない私が勝てる相手ではない。適当なことを言って、自分が国王になることしか考えていないお前はいつから私の敵だったんだ?」
「いつから敵と言われれば、生まれた時からでしょうか。長子相続などと言うくだらないルールの為に、2年遅れて生まれた僕は出生時から、あなたの臣下になる運命しかありませんでした。どんなに努力を重ねようと国王にもなれない無意味な王族である人間の気持ちなど、あなたには理解できないでしょう。最後くらいスマートに王族らしく、王位相続権を放棄したらどうですか? 王族が一貴族令嬢にプライドも捨てて纏わりつくのは、みっともないですよ」
エドワードの本心を聞いて、真っ暗な闇の中に落とされたような気分になった。
その闇に一筋の光が差し込んでいて、その先にイザベラが見えた。
「ルブリス、お前は気でも狂ったのか? それとも、それ程に浅はかな人間だったのか?悪魔に心を洗脳?ライト公爵の娘と婚約しているからこそ、自分の地位が揺るぎなくなっていると理解できなかったのか?今更、全てを失いそうになって慌てて作った理由がそれなのか?ライト公爵令嬢を蔑ろにしてきた理由が、悪魔の洗脳などでは通るまい。王太子にはエドワードを指名する。ライト公爵家に愛想を尽かされたら終わりだ」
国王陛下は今日の卒業パーティーでの話を既に把握しているのだろう。
「信じられない話ですよね。私もそう思います。しかし、イザベラは信じてくれました。私は彼女を手放す気はありません」
生まれた時から、次期国王になるルブリス・ライとして育てられた。
だから、次期国王にならないルブリス・ライを想像できない。
気が狂ったとしか思えない言葉を、父でさえ信じられないという。
それを信じてくれるという、イザベラをどうして私が手放すことができるのか。
「ライト公爵令嬢がお前の言葉を信じたのか? 彼女はお前のことが好きだったようだしな、彼女の心を手に入れられるのであれば、お前が次期国王だ」
イザベラが私を追いかけていたのは正式な婚約前だけだ。
正直、着飾ることばかりに夢中で人の噂話ばかりしている彼女が苦手だった。
婚約の顔合わせで会った時、彼女は別人のようになっていた。
私に怯えるような雰囲気を見せるだけではなく、私を拒絶するような感じがした。
何よりも今までやりたい放題に見えた彼女が、恐る恐る私の目を見つめ感情を読み取ろうとしているのが気になった。
あの時、私は初めて人に興味を持った。
その感情を妨害するかのように、イザベラに対する嫌悪感が脳を侵略してきた。
彼女をその嫌悪感の赴くままに攻撃したのは自分だ。
嫌悪感があるからと言って、彼女を「物言わぬ人形」呼ばわりした。
「兄上、イザベラ様との婚約は彼女のためを思うなら破棄してあげるべきだと思いますよ。フローラ様は良いのですか?3年間の在学中、兄上と彼女と恋仲だったことは誰もが知るところです。イザベラ様はルイ国のサイラス王太子殿下と心を通わせております。兄上も、自分の心に誠実になることに注力したらどうでしょうか?フローラ様がお好きなんでしょ、今更イザベラ様に纏わりつくのはみっともないですよ」
弟のエドワードは私を引き摺りおろして、自分が王位につきたいのだろう。
卒業パーティーまで、彼は国王になる自分を支える為に日々努力しているのだと勘違いしていた。
「信じられないかも知れないが、フローラを愛するように洗脳されていたんだ。エドワードは卒業パーティーで100人の人間がいたら99人がフローラではなくイザベラを選ぶと言ったね。イザベラは言葉に言い表せないくらい唯一無二の女性だ。100人の人間がいたら全員彼女を選ぶ。私が、彼女を選べずに蔑ろにしたのは、フローラを愛するよう精神をおかされていたからなんだ。これからは間違えずに、私はイザベラだけを愛すると誓う」
イザベラだけを愛したいというのは私の心からの叫びだった。
それでも今までにしたイザベラを傷つけただろう自分の言葉は全て覚えていて私を苦しめた。
イザベラは私に嫌悪感を抱いているはずなのに、慰めるように私のあり得ない言葉を信じると言ってくれたのだ。
そのような彼女が嫌悪感を抱くよう洗脳されていたとはいえ、ナイフのような言葉で自分を攻撃してきた私に好意を寄せてくれるわけがない。
せめて婚約を解消せず一生彼女を側に置ければ、ゆっくりと自分の気持ちを伝えることはできる。
優しい彼女ならば愛を伝え続ければ、愛を返そうとするはずだ。
「精神をおかされていただなんて、間違っても人に言わないほうが良いです。狂っていると思われかねません。兄上、イザベラ様に今更まとわりついても、兄上がライト公爵家の後ろ盾欲しさに近づいてきてるとしか思われないですよ。彼女に権威目当てではなく、本当に愛していることを伝える為にも婚約を破棄してあげてはどうでしょう」
父だけではなく、いつも身近にいたエドワードさえ私の真実は信じてもらえなかった。
私自身も信じられないような真実を信じてくれたのがイザベラだ。
「エドワード、どうして、こんなに近くに敵がいたことに気が付かなかったのだろう。いつから私を追い落とそうと思っていたんだ?イザベラは私との婚約が破棄になったら、ルイ国の次期国王サイラス・ルイのものになるだろう。国王にもならない私が勝てる相手ではない。適当なことを言って、自分が国王になることしか考えていないお前はいつから私の敵だったんだ?」
「いつから敵と言われれば、生まれた時からでしょうか。長子相続などと言うくだらないルールの為に、2年遅れて生まれた僕は出生時から、あなたの臣下になる運命しかありませんでした。どんなに努力を重ねようと国王にもなれない無意味な王族である人間の気持ちなど、あなたには理解できないでしょう。最後くらいスマートに王族らしく、王位相続権を放棄したらどうですか? 王族が一貴族令嬢にプライドも捨てて纏わりつくのは、みっともないですよ」
エドワードの本心を聞いて、真っ暗な闇の中に落とされたような気分になった。
その闇に一筋の光が差し込んでいて、その先にイザベラが見えた。
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