49 / 55
49.雪の女王の指輪の正体。
しおりを挟む
「覆面騎士のような方々で王子殿下を囲ってもらいましょう。殿下も平民のような装いをしてください、それでも高貴なオーラは消えないので王子殿下の訪問は話題になると思います」
王子が礼服で登場しては、公式行事と思われる。
かといって黒いローブを着てお忍びのような格好で街を出歩いては、気を遣われてニュースにならないかもしれない。
ルブリス王子殿下が、平民の街を自然に視察し、周囲から親しみを持ってもらうことが重要なのだ。
しかし、暗殺者など危険に遭遇する可能性も考えると護衛は必ず必要だ。
「覆面騎士とは何のことだ?」
「何と表現して良いのかわからなかったのですが、以前エドワード王子と買い物に街に行った時に、騎士服を着ないで護衛している方がいるから安全だと言っていたのを思い出したのです」
「いつ、エドワードと買い物などにいったのだ?婚約者の私とは5年の間、どこも行かず数えられる程の言葉しか交わしていないのに」
「ルブリス王子殿下との婚約の顔合わせの後、落ち込んでいる私を元気づけようとエドワード王子殿下が街に連れて行ってくれたのです」
私はあの時サイラス様と出会ったのだ。
眩しいほどに美しい彼を見て、私とは相容れない光の住人だと思った。
そんな夢の存在のような彼が今、私を好きだと言ってくれているのだ。
「今、サイラス王太子殿下のことを考えているのか?イザベラ、仕事に集中してくれないか?街に出る時は、薬指にある華美な指輪は外した方が良いぞ。贅沢な生活をしているような人間に、心を打ち解けられるとは思わないからな。エドワードは私をその頃には追い落とそうとしていたのだな。もう、人間不信になりそうだ」
私はサイラス様のことを考えていたことがバレてしまい、思わず顔が熱くなった。
「姉上、その指輪はルイ王家の王妃に代々受け継がれてきたものです。姉上がその指輪をつけることで、サイラス王太子殿下との婚約が成立していることを周囲にアピールできます。エドワード王子の強みの一つに友好国であるレイラ王女との婚約があります。しかしルイ国にとって次期王妃になる姉上の存在は、ライ国に嫁いでくるレイラ王女よりもルイ国での発言力があると皆は捉えるでしょう。ルブリス王子殿下が元婚約者としての姉上と権力バランスを整えるために別れたのであり、喧嘩別れしたのではないとのアピールできます。2人が共に自国の環境整備に取り組んでいる姿勢を見せられれば、ルイ国から氷を配布してもらった時のように今後もルイ国の支援が受けられると平民は期待するかもしれません」
「この雪の女王の指輪は、王妃様が嵌めていたものです。サイラス様から頂いたのが嬉しくて、すっかり忘れていました。王妃様は現役でいらっしゃるのに、私が今この指輪を持っていて良いのでしょうか」
「既に姉上の指にピッタリということは、姉上の指のサイズに調整されています。サイラス王太子殿下は姉上を妻にし王妃にするという意思を強く伝えたくて、母君に指輪を譲ってくれるよう頼んだのではないでしょうか?」
夢のように素敵なサイラス様から指輪をもらって、舞い上がってしまっていた。
そこに隠されたメッセージを思うと、私は嬉しくて胸が熱くなる。
「雪の女王の指輪というのか? ダイヤモンドの周りにサファイアが施してあって、いかにもな名前だな」
「違います。私が勝手にこの指輪をそう呼んでいただけです。今見るとまるでサファイアはサイラス様の澄んだ青い瞳で、ダイヤモンドは彼の光輝く銀髪に見えてきました」
「イザベラ、仕事をしている時にサイラス王太子殿下のことを考えるのは禁止だ。王室護衛騎士を私服で警備に当たらせれば良いということだな? 明日にでも街に行こう」
「ルブリス王子殿下、あれほど平民街が嫌だと言っていたのに、急にどうしたのですか?」
「さあ、どうしたんだろうな。でも、今はすぐにでも街に出て仕事に取り組みたい気持ちになっている」
私とカールはルブリス王子殿下の変化に顔を見合わせた。
王子が礼服で登場しては、公式行事と思われる。
かといって黒いローブを着てお忍びのような格好で街を出歩いては、気を遣われてニュースにならないかもしれない。
ルブリス王子殿下が、平民の街を自然に視察し、周囲から親しみを持ってもらうことが重要なのだ。
しかし、暗殺者など危険に遭遇する可能性も考えると護衛は必ず必要だ。
「覆面騎士とは何のことだ?」
「何と表現して良いのかわからなかったのですが、以前エドワード王子と買い物に街に行った時に、騎士服を着ないで護衛している方がいるから安全だと言っていたのを思い出したのです」
「いつ、エドワードと買い物などにいったのだ?婚約者の私とは5年の間、どこも行かず数えられる程の言葉しか交わしていないのに」
「ルブリス王子殿下との婚約の顔合わせの後、落ち込んでいる私を元気づけようとエドワード王子殿下が街に連れて行ってくれたのです」
私はあの時サイラス様と出会ったのだ。
眩しいほどに美しい彼を見て、私とは相容れない光の住人だと思った。
そんな夢の存在のような彼が今、私を好きだと言ってくれているのだ。
「今、サイラス王太子殿下のことを考えているのか?イザベラ、仕事に集中してくれないか?街に出る時は、薬指にある華美な指輪は外した方が良いぞ。贅沢な生活をしているような人間に、心を打ち解けられるとは思わないからな。エドワードは私をその頃には追い落とそうとしていたのだな。もう、人間不信になりそうだ」
私はサイラス様のことを考えていたことがバレてしまい、思わず顔が熱くなった。
「姉上、その指輪はルイ王家の王妃に代々受け継がれてきたものです。姉上がその指輪をつけることで、サイラス王太子殿下との婚約が成立していることを周囲にアピールできます。エドワード王子の強みの一つに友好国であるレイラ王女との婚約があります。しかしルイ国にとって次期王妃になる姉上の存在は、ライ国に嫁いでくるレイラ王女よりもルイ国での発言力があると皆は捉えるでしょう。ルブリス王子殿下が元婚約者としての姉上と権力バランスを整えるために別れたのであり、喧嘩別れしたのではないとのアピールできます。2人が共に自国の環境整備に取り組んでいる姿勢を見せられれば、ルイ国から氷を配布してもらった時のように今後もルイ国の支援が受けられると平民は期待するかもしれません」
「この雪の女王の指輪は、王妃様が嵌めていたものです。サイラス様から頂いたのが嬉しくて、すっかり忘れていました。王妃様は現役でいらっしゃるのに、私が今この指輪を持っていて良いのでしょうか」
「既に姉上の指にピッタリということは、姉上の指のサイズに調整されています。サイラス王太子殿下は姉上を妻にし王妃にするという意思を強く伝えたくて、母君に指輪を譲ってくれるよう頼んだのではないでしょうか?」
夢のように素敵なサイラス様から指輪をもらって、舞い上がってしまっていた。
そこに隠されたメッセージを思うと、私は嬉しくて胸が熱くなる。
「雪の女王の指輪というのか? ダイヤモンドの周りにサファイアが施してあって、いかにもな名前だな」
「違います。私が勝手にこの指輪をそう呼んでいただけです。今見るとまるでサファイアはサイラス様の澄んだ青い瞳で、ダイヤモンドは彼の光輝く銀髪に見えてきました」
「イザベラ、仕事をしている時にサイラス王太子殿下のことを考えるのは禁止だ。王室護衛騎士を私服で警備に当たらせれば良いということだな? 明日にでも街に行こう」
「ルブリス王子殿下、あれほど平民街が嫌だと言っていたのに、急にどうしたのですか?」
「さあ、どうしたんだろうな。でも、今はすぐにでも街に出て仕事に取り組みたい気持ちになっている」
私とカールはルブリス王子殿下の変化に顔を見合わせた。
11
あなたにおすすめの小説
婚約者は無神経な転生悪役令嬢に夢中のようです
宝月 蓮
恋愛
乙女ゲームのモブに転生したマーヤ。目の前にいる婚約者はそのゲームの攻略対象だった。しかし婚約者は悪役令嬢に救われたようで、マーヤそっちのけで悪役令嬢に夢中。おまけに攻略対象達に囲まれている悪役令嬢も転生者で、何だか無神経発言ばかりで少しモヤモヤしていしまうマーヤ。そんな中、マーヤはゲームには関係ない隣国の公爵令息と仲良くなり……!?
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)
放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」
公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ!
――のはずだったのだが。
「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」
実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!?
物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる!
※表紙はNano Bananaで作成しています
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる