それでも私は恋したい!

さくら

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通勤バスから始まった。

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「明日香さんは、自閉スペクトラム症ですね。」
それを聞いた母親は泣き崩れた。

花田    明日香は、とても変わっていた。
人の話は理解できない、常に耳ふさぎをしている、人の目を見れない、勉強が極端に出来ない。
それは、自閉症の特徴だった。

時はたち、明日香は高校生。今日も防音イヤーマフを付けて通学していた。
「明日香さんおはよう!」
「おはようございます…。」
先生に挨拶をして、特別支援学級の教室に入る。
イヤーマフを外し、耳栓に変えて本を読み進める。
「…。」
「明日香ちゃん!」
何度呼ばれてたのか分からない目で明日香が声のした方を向く。
「ああ、泉さん来てたのか。」
「随分前から呼んでたよ!気づかないんだもん。」
「ごめん、これに夢中で。」
本を見せる。
「ああね。」

その帰り。
突然、音が大量に入ってくる。明日香は、耳を塞いだ。
「ヘッドホンなんかするんじゃないよ!」
おばさんが怒っていた。明日香は泣きそうになりながら耳を塞ぐ。
「その子、障害があるんだよ。やめなって。」
少年の声がし、イヤーマフが返される。
「おばさんの事気にしなくていいからね。」
そう言うと、おばさんに向き直る。
「耳が敏感なんだよ。見ただけでわかる事じゃないか。」
おばさんはそそくさと降りていった。
「大丈夫だった?」
「…うん。ありがとう。」
「いえいえ。うちの学校、特別支援学級あるからさ、イヤーマフの事は知ってたんだ。」

少年と別れ、帰路に着く明日香。
「誰だろう。彼にお礼をしたい。」
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