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王子の秘密
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クリスは生後まもないころから光に囲まれていた。なので皆にも見えていると思っていた。だが、色とりどりの光が目の前にいようと横切ろうと、誰も反応を示さないことに気付き、動揺した。
どうしよう、僕にだけ見えてるんだ、これ………何だろ、もしかして精霊?
と思った瞬間、光は嬉しそうにクルクル回った。存在を認識したからか、精霊はクリスにいたずらするようになった。シンプルに転ばすだけだが、地味に恥ずかしい。だが、自分が転ぶのはある特定の人たちに限られることに気付く。王子である自分の周りに居る人数は決して多くないが。その中でも一番転ぶのは兄の目の前だった。
「クリス、大丈夫?」
まだ幼い弟の世話を焼くのが楽しいのか、危なげなく受け止める。実際、自分に甘えていると思っている兄は嬉しそうだった。次に多いのは護衛騎士。でも数名いる中でクリスが転ぶのはごくわずか。日によってはまったく転ばないのだ。その違いは何なのか、クリスは考える。
やがて、属性鑑定の日を迎えると、兄に自分の秘密と見解を伝えた。
「つまり、クリスには精霊が見えていて、転ぶのは精霊がこの人は安全だと教えてくれてるってこと?」
「うん、たぶん。だって僕が一番転ぶのにい様の前だし、護衛も全員じゃないし、そうかな…と。」
それを聞いた兄はちょっと検証してみようか、とクリスの護衛をとっかえひっかえしてみた。なるほど、同じ護衛の前でしか転ばない。それは害意のない者を選別しているともいえる。
「自分の味方を精霊が教えてくれるなんて、クリスがうらやましいよ。」
そうか、そう思えば精霊に感謝しかない。でも所構わず転ばすのは止めてほしいとダメもとでお願いしてみると、大事なところでは転ばなくなった。が、味方ではない、もしくは害意があるかもしれない者の前では必要以上に緊張するようになってしまい、周りには人見知りだと思われてしまった。
「うん、そのままでいいんじゃないかな?かわいいクリスに変な虫が付くといけないしね。」
兄バカだった。
どうしよう、僕にだけ見えてるんだ、これ………何だろ、もしかして精霊?
と思った瞬間、光は嬉しそうにクルクル回った。存在を認識したからか、精霊はクリスにいたずらするようになった。シンプルに転ばすだけだが、地味に恥ずかしい。だが、自分が転ぶのはある特定の人たちに限られることに気付く。王子である自分の周りに居る人数は決して多くないが。その中でも一番転ぶのは兄の目の前だった。
「クリス、大丈夫?」
まだ幼い弟の世話を焼くのが楽しいのか、危なげなく受け止める。実際、自分に甘えていると思っている兄は嬉しそうだった。次に多いのは護衛騎士。でも数名いる中でクリスが転ぶのはごくわずか。日によってはまったく転ばないのだ。その違いは何なのか、クリスは考える。
やがて、属性鑑定の日を迎えると、兄に自分の秘密と見解を伝えた。
「つまり、クリスには精霊が見えていて、転ぶのは精霊がこの人は安全だと教えてくれてるってこと?」
「うん、たぶん。だって僕が一番転ぶのにい様の前だし、護衛も全員じゃないし、そうかな…と。」
それを聞いた兄はちょっと検証してみようか、とクリスの護衛をとっかえひっかえしてみた。なるほど、同じ護衛の前でしか転ばない。それは害意のない者を選別しているともいえる。
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兄バカだった。
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