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第9話 ②母親と妹、凋落
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「エミリアも私の可愛い孫だっ!!」
「そ、そんな……」
グランツの鬼気迫る表情と怒声に、マリアンが気圧されていると、応接室の扉が開かれた。
「どうしたの? 大きな声が響いて来ましたわよ?」
アデリーナがちょうど帰宅したところだった。
彼女は応接室にグランツの姿を見つけると、能天気に声をかける。
「あら、お爺様。ごきげんよう。お爺様がいらっしゃるなんて珍しいですわね?」
そして、ふと思い出したように言葉を続けた。
「あっ! ちょうど良かったですわ! あのエミリアが着けていた時計、あるでしょ?」
「時計?」
アデリーナのあまりの能天気ぶりに、一瞬怒りを忘れる。
「そう、エミリアの時計。あれ、私にも頂戴? アイツは自分で作ったなんて言っていたけれど、嘘よね?」
「いや、アレは――」
グランツが否定しようとするが、アデリーナはお構いなしに続ける。
「アイツにだけあげるなんてズルイわ~。ねぇ、私にも作ってよ? エミリアのなんかよりも、もっともっと良い物を!」
「ま、待て! マリアンもだが、アデリーナ! お前も、エミリアがいなくなったというのに何とも思わないのか?」
「えっ? どうして?」
「どうしてって……」
アデリーナの自分勝手な言動に、グランツが戸惑う。
「アイツなんか追い出されて清々するわ」
「エミリアに嫌がらせされていたって?」
「え? ええ。アイツは学院に通っているくせに、毎日のようにわざわざ王立学園まで来て酷い事をするのよ?」
「酷い事?」
「そう! 最初は私の悪口をご学友に吹き込む程度だったかしら? それがエスカレートしていって汚い言葉で罵ってきたり、張り紙をされていた事もあったかしら? そして、ゴミや泥水を掃き散らされたりもしましたわね。あげくに汚らしい平民のクソガキをけしかけて襲われそうにもなった事があるわ」
アデリーナは、エミリアにされたとされる事をつらつらと諳んじた。
マリアンもそれにいちいち「まぁ!」だの「酷い!」だのと相槌を打っていく。
グランツは、そんな2人に呆れつつも話を続ける。
「毎日のように?」
「ええ! 毎日ですわ。いくら私がアイツの婚約者だったヤミル様と親しくしているからって、酷いですわ。あんなヤツ、ヤミル様から婚約破棄されて当然よっ!」
「婚約破棄まで……」
「でも、ご心配頂かなくて大丈夫よ? 私が代わりにヤミル様の婚約者になったのですもの。レロヘス家は安泰よ」
(他家まで巻き込むとは……なんと恥知らずな事を!)
「お前の言いたい事はそれだけか? アデリーナ」
「えっ? ええ。ですから、私に時計を――」
「うるさいっ! よくもそのような嘘をつらつらと並べて、身内を陥れることができたものだ」
アデリーナはグランツの剣幕に圧されるが、なんとかこの場を言い逃れようともがく。
「う、嘘だなんて。お爺様、私にはご学友という証人も……」
「何が証人だっ! エミリアは、毎日私の工房に通って暗くなるまで一緒におったわっ! お前が嘘をついていることぐらい最初から分かっていたんだ」
「いっ! 嫌がらせをした後にお爺様のところへ行ったのですわ」
「そんな事は無い! エミリアが一人で工房まで来るのは危ないから、ウチの職人が迎えに行っておった! 学院から工房に直接来ておるわ!」
「そ、それは平民でしょう? そうだ! エミリアに唆されたのですわ! 平民ですもの騙されたのね。こちらは貴族の証人ですよ? どちらが信用されるか一目瞭然ですわ」
(親が親なら子も子か……。こいつらには何を言っても無駄かもしれん)
アデリーナは小さい頃から母親べったりで、グランツには寄り付きもしなかった。
成長してからは母親の思想を引き継ぎ、平民から叙爵したグランツを単なる成金と見做し、金蔓としか考えていない。
「はぁ」
グランツがため息をついてその場を立ち去ろうとする。
そのグランツの姿に、マリアンは慌てて声をかけた。
「待ちなさいよっ!」
「お母様?」
「話はまだ終わってないわよ? リンクスの収入と領地からの税収だけでは、私達の生活はできないのよ? いいの?」
マリアンがグランツに食って掛かる。
「良いも何も、それはお前達の身から出た錆だ。私は関知しない」
「なっ! 私は、平民のリンクスと結婚してあげたのよ?」
「結婚してあげた?」
「そ、そうよ? 父親が一代貴族で、自分は平民になるしかなかったリンクスと結婚してあげて、貴族にしてあげたのは私よっ?」
マリアンは何の曇りもない瞳でそう言ってのける。
事実、前レロヘス子爵は、甘やかして育てた一人娘に余計な心配はさせまいと、財政的な苦境に陥っている事も話していなかったし、マリアンの機嫌を損ねないような言い回しで縁談を進めていた。
「お前……御両親から何も聞かされていないのか?」
「な、何をよ? それに、私にもアデリーナにも『お前』だなんて、失礼でなくて?」
「はぁぁ」
また黙って立ち去ろうとするグランツに、アデリーナの「お爺様! 時計!」と言う声が邪魔をした。
「あの時計は、エミリアが自分で作った世界でたった一つと言ってもいい時計だ。正真正銘エミリアのモノだ!」
その後もマリアンやアデリーナが声をかけ追いかけるが、グランツは今度こそレロヘス家から立ち去った。
夜になって、レロヘス家では学園から帰ったクリスと、王城から戻ったリンクスも加わって話し合いがなされた。
そこにはグランツ・オロロージオからの、事の経緯と“正式な”援助停止の書面も届けられていた。
「あなたっ! こんな事になって、どうするのよ! あなたの父親のせいで……アデリーナが可哀そうじゃない!」
マリアンがリンクスに喚く。
「どうするも何も……。どうしても私でなければならない仕事があったので、出仕して仕事を片付けて帰ってみれば……。どうしてこんな事になっているんだ?」
リンクスは、本当であれば大事な愛娘の事なので何をおいてもエミリアを探したかったし、実際昨日は多くの人員を動員して探させていた。
しかし、エミリアはそれをも上回る早さで王都を離れていたので、見つけられないでいた。
今日もリンクス自ら先頭に立って捜索に当たりたかったが、職務上どうしても外せない用件があり、城に出仕し急いで済ませて戻ってみれば事態は悪化。
そして、使用人に任せていた捜索にも手応えは無し。
「どうしてもこうしても、あなたの父親――あの平民上がりが、エミリアなんかの肩を持つからに決まっているでしょっ!」
「平民上がりだって? 君はどうしてそんな言い方ができるんだ」
「だってそうでしょう? ちょっと時計作りが上手だったからって、国王様から爵位を頂いただけなのに、格上貴族で生まれながらの貴族である私に無礼な振る舞いをするのよ? 身の程を弁えなさいっていうのよ!」
マリアンは甘やかされて育ち、世間の事には疎いままだ。時計作りがどれほどの経験を要する緻密な作業であるか、また、グランツの成した功績の偉大さ等も『平民のする事』と、甘く見ていた。
リンクスについても、グランツの叙爵後に王立学園に中途で通い始め、猛烈な努力の末に優秀な成績を修め、城勤めでも宰相の補佐官に就くなど出世頭であることなどまるで解っていない。「城勤めなどと言う程度の低い仕事なんかして……」と、貴族社会からも外れた思考から、リンクスをも見下してさえいる。
「そんな奴の息子だから、あなたもいつまでも城でこき使われるのよっ!」
「お言葉ですが、母上。父上は王城で立派な仕事をなさっているのです。そのような言い方はあんまりです!」
「クリス……」
クリスは、自分でも王立学園に通い勉学に励んでいるので、父親の学生時代の努力や現在の地位に才覚のみで上り詰める事の偉大さを解かっていた。
マリアンは、クリスのリンクス擁護に勢いを削がれたが、それでも続ける。
「で、ですから! このままではアデリーナが可哀そうです! あなたがどうにかして来なさいよ! 場合によってはグランツを殺してでも――」
バチーンッ!
これまでの結婚生活で、いかなる我儘や理不尽な要求にも冷静になって対応してきたリンクスであったが、このマリアンの発言は、彼女が言い終わるまでも無く平手打ちで制した。
「そ、そんな……」
グランツの鬼気迫る表情と怒声に、マリアンが気圧されていると、応接室の扉が開かれた。
「どうしたの? 大きな声が響いて来ましたわよ?」
アデリーナがちょうど帰宅したところだった。
彼女は応接室にグランツの姿を見つけると、能天気に声をかける。
「あら、お爺様。ごきげんよう。お爺様がいらっしゃるなんて珍しいですわね?」
そして、ふと思い出したように言葉を続けた。
「あっ! ちょうど良かったですわ! あのエミリアが着けていた時計、あるでしょ?」
「時計?」
アデリーナのあまりの能天気ぶりに、一瞬怒りを忘れる。
「そう、エミリアの時計。あれ、私にも頂戴? アイツは自分で作ったなんて言っていたけれど、嘘よね?」
「いや、アレは――」
グランツが否定しようとするが、アデリーナはお構いなしに続ける。
「アイツにだけあげるなんてズルイわ~。ねぇ、私にも作ってよ? エミリアのなんかよりも、もっともっと良い物を!」
「ま、待て! マリアンもだが、アデリーナ! お前も、エミリアがいなくなったというのに何とも思わないのか?」
「えっ? どうして?」
「どうしてって……」
アデリーナの自分勝手な言動に、グランツが戸惑う。
「アイツなんか追い出されて清々するわ」
「エミリアに嫌がらせされていたって?」
「え? ええ。アイツは学院に通っているくせに、毎日のようにわざわざ王立学園まで来て酷い事をするのよ?」
「酷い事?」
「そう! 最初は私の悪口をご学友に吹き込む程度だったかしら? それがエスカレートしていって汚い言葉で罵ってきたり、張り紙をされていた事もあったかしら? そして、ゴミや泥水を掃き散らされたりもしましたわね。あげくに汚らしい平民のクソガキをけしかけて襲われそうにもなった事があるわ」
アデリーナは、エミリアにされたとされる事をつらつらと諳んじた。
マリアンもそれにいちいち「まぁ!」だの「酷い!」だのと相槌を打っていく。
グランツは、そんな2人に呆れつつも話を続ける。
「毎日のように?」
「ええ! 毎日ですわ。いくら私がアイツの婚約者だったヤミル様と親しくしているからって、酷いですわ。あんなヤツ、ヤミル様から婚約破棄されて当然よっ!」
「婚約破棄まで……」
「でも、ご心配頂かなくて大丈夫よ? 私が代わりにヤミル様の婚約者になったのですもの。レロヘス家は安泰よ」
(他家まで巻き込むとは……なんと恥知らずな事を!)
「お前の言いたい事はそれだけか? アデリーナ」
「えっ? ええ。ですから、私に時計を――」
「うるさいっ! よくもそのような嘘をつらつらと並べて、身内を陥れることができたものだ」
アデリーナはグランツの剣幕に圧されるが、なんとかこの場を言い逃れようともがく。
「う、嘘だなんて。お爺様、私にはご学友という証人も……」
「何が証人だっ! エミリアは、毎日私の工房に通って暗くなるまで一緒におったわっ! お前が嘘をついていることぐらい最初から分かっていたんだ」
「いっ! 嫌がらせをした後にお爺様のところへ行ったのですわ」
「そんな事は無い! エミリアが一人で工房まで来るのは危ないから、ウチの職人が迎えに行っておった! 学院から工房に直接来ておるわ!」
「そ、それは平民でしょう? そうだ! エミリアに唆されたのですわ! 平民ですもの騙されたのね。こちらは貴族の証人ですよ? どちらが信用されるか一目瞭然ですわ」
(親が親なら子も子か……。こいつらには何を言っても無駄かもしれん)
アデリーナは小さい頃から母親べったりで、グランツには寄り付きもしなかった。
成長してからは母親の思想を引き継ぎ、平民から叙爵したグランツを単なる成金と見做し、金蔓としか考えていない。
「はぁ」
グランツがため息をついてその場を立ち去ろうとする。
そのグランツの姿に、マリアンは慌てて声をかけた。
「待ちなさいよっ!」
「お母様?」
「話はまだ終わってないわよ? リンクスの収入と領地からの税収だけでは、私達の生活はできないのよ? いいの?」
マリアンがグランツに食って掛かる。
「良いも何も、それはお前達の身から出た錆だ。私は関知しない」
「なっ! 私は、平民のリンクスと結婚してあげたのよ?」
「結婚してあげた?」
「そ、そうよ? 父親が一代貴族で、自分は平民になるしかなかったリンクスと結婚してあげて、貴族にしてあげたのは私よっ?」
マリアンは何の曇りもない瞳でそう言ってのける。
事実、前レロヘス子爵は、甘やかして育てた一人娘に余計な心配はさせまいと、財政的な苦境に陥っている事も話していなかったし、マリアンの機嫌を損ねないような言い回しで縁談を進めていた。
「お前……御両親から何も聞かされていないのか?」
「な、何をよ? それに、私にもアデリーナにも『お前』だなんて、失礼でなくて?」
「はぁぁ」
また黙って立ち去ろうとするグランツに、アデリーナの「お爺様! 時計!」と言う声が邪魔をした。
「あの時計は、エミリアが自分で作った世界でたった一つと言ってもいい時計だ。正真正銘エミリアのモノだ!」
その後もマリアンやアデリーナが声をかけ追いかけるが、グランツは今度こそレロヘス家から立ち去った。
夜になって、レロヘス家では学園から帰ったクリスと、王城から戻ったリンクスも加わって話し合いがなされた。
そこにはグランツ・オロロージオからの、事の経緯と“正式な”援助停止の書面も届けられていた。
「あなたっ! こんな事になって、どうするのよ! あなたの父親のせいで……アデリーナが可哀そうじゃない!」
マリアンがリンクスに喚く。
「どうするも何も……。どうしても私でなければならない仕事があったので、出仕して仕事を片付けて帰ってみれば……。どうしてこんな事になっているんだ?」
リンクスは、本当であれば大事な愛娘の事なので何をおいてもエミリアを探したかったし、実際昨日は多くの人員を動員して探させていた。
しかし、エミリアはそれをも上回る早さで王都を離れていたので、見つけられないでいた。
今日もリンクス自ら先頭に立って捜索に当たりたかったが、職務上どうしても外せない用件があり、城に出仕し急いで済ませて戻ってみれば事態は悪化。
そして、使用人に任せていた捜索にも手応えは無し。
「どうしてもこうしても、あなたの父親――あの平民上がりが、エミリアなんかの肩を持つからに決まっているでしょっ!」
「平民上がりだって? 君はどうしてそんな言い方ができるんだ」
「だってそうでしょう? ちょっと時計作りが上手だったからって、国王様から爵位を頂いただけなのに、格上貴族で生まれながらの貴族である私に無礼な振る舞いをするのよ? 身の程を弁えなさいっていうのよ!」
マリアンは甘やかされて育ち、世間の事には疎いままだ。時計作りがどれほどの経験を要する緻密な作業であるか、また、グランツの成した功績の偉大さ等も『平民のする事』と、甘く見ていた。
リンクスについても、グランツの叙爵後に王立学園に中途で通い始め、猛烈な努力の末に優秀な成績を修め、城勤めでも宰相の補佐官に就くなど出世頭であることなどまるで解っていない。「城勤めなどと言う程度の低い仕事なんかして……」と、貴族社会からも外れた思考から、リンクスをも見下してさえいる。
「そんな奴の息子だから、あなたもいつまでも城でこき使われるのよっ!」
「お言葉ですが、母上。父上は王城で立派な仕事をなさっているのです。そのような言い方はあんまりです!」
「クリス……」
クリスは、自分でも王立学園に通い勉学に励んでいるので、父親の学生時代の努力や現在の地位に才覚のみで上り詰める事の偉大さを解かっていた。
マリアンは、クリスのリンクス擁護に勢いを削がれたが、それでも続ける。
「で、ですから! このままではアデリーナが可哀そうです! あなたがどうにかして来なさいよ! 場合によってはグランツを殺してでも――」
バチーンッ!
これまでの結婚生活で、いかなる我儘や理不尽な要求にも冷静になって対応してきたリンクスであったが、このマリアンの発言は、彼女が言い終わるまでも無く平手打ちで制した。
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