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エピソード2
プラグドイン2/2
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今だ瓦礫のまま放置されている、アンプラグドの本部ビルがあった場所。
ここはアンプラグド事件の際に、マリーの自爆によりビルは跡形もなく廃墟そのものであった。
そして、何の因果か、その場所にロングコートを着た二人の男が対峙する。
一人はマードック。
そして、もう一人。
黒髪で壮年ながらも筋肉の隆起がコートの上からもはっきりとわかるほどに鍛えられた体躯。
アンプラグドのリーダー、マクシミリアン。
彼も当然ブーステッドヒューマンである。
「マードックか……久しぶりだな。わざわざ私を追ってくるとは、首輪付きはご苦労なことだ……」
マクシミリアンは花束を瓦礫に投げると手で十字を切り、祈りを済ます。
「マクシミリアン、迂闊だったな。まさかアースシックスにのこのこと戻ってくるとはな……。大人しくお縄につくことだな!」
「ふっ、何の冗談だ? お前は私の仲間を殺した。そのお前に大人しく従うだと? マフィアを舐めるなよ! あの中には私の弟もいたのだ!」
少し語気を強めるマクシミリアン。
「それはお互い様だろう。お前達は明確に俺達を殺そうとした。
それにマリーの件を忘れたとは言わせない」
「マリー? ああ、そうだったな、それはすまなかった。
だが、あれは所詮はアサシンドールだろう? 汚らわしい機械人形……結果的に良かったではないか?
おっと、失礼。その手に持つ赤いドレス、さしずめ君は彼女の墓参りといったところかな?
……ブーステッドヒューマン。
そう、私達は所詮は中途半端な生命体なのだ、哀れな我らが何に愛情を持つのかは自由か。
だが、マードック、君は少し趣味が悪くないか?
あれは人類に害を及ぼすために産まれた呪われた存在だ。
その呪縛から君を解き放った私に、むしろ礼の一つでも言ってもらいたいものだな」
安い挑発だ。
マードック自身では言われなくとも理解している。
アサシンドールは悪魔の人形、決して存在してはいけない存在だと。
だが、それを他人には言われたくない。
マリーには人格があり、マードックにとっては姉であり、相棒であり……恋人でもあるのだ。
それにマリーは人間によって作られたのだ。
物に罪などない。
悪魔の人形と言うならば、それを作ったものが悪魔ではないだろうか。
「……話が平行線だな。殺し殺されの話を今さらするつもりはない。
で、マクシミリアン。貴様は一人で何をするつもりだ?」
「ふ、一人ではないさ。それにここに戻ってきたのは墓参りの他にも理由があるのだ」
マクシミリアンは腕時計を確認する。
「そろそろ時間だな。おい! 起きろ! ラヴクラフト、お前の出番だぞ!」
次の瞬間、地響きのような音がした、そして地面の瓦礫が崩れる。
その下は地下室があったのか、そこから大きな人間が瓦礫をかき分け這いあがってくる。
人間……そう呼べるのは身体的特徴のみであり、その体躯は三メートル以上はある。
その異形の存在にマードックは心当たりがあった。
「貴様! オーバード・ブーステッドヒューマンに手を出したのか! お前は理解しているのか! もう裁判を受ける権利もなくなったのだぞ!」
「権利か……、そんなものが何だと言うのだ。ブーステッドヒューマンに明確な人権などない。お前とてそれは理解しているだろう。
今の世界は全て茶番ではないか。……それに私にはもう帰る場所などない。
ならば! 一心不乱に前に! ただ前に進むのみよ!
ラブクラフト! 目の前の男を殺せ!」
「ぶおおおおお!」
ラブクラフトと呼ばれる大男はマードックに襲い掛かる。
オーバード・ブーステッドヒューマンは人権を無視した違法の存在である。
人間の可能性、例えばアスリートの記録を伸ばすため、始まりはそんなものだった。
だが、もし、究極の存在である神話の巨人が居るとしたら、そんな好奇心だけで生み出された狂気の存在である。
パンッ! パンッ!
マードックはショットガンで応戦するも、皮膚を傷付けたのみで致命傷には至らない。
「ちっ、スラッグ弾でもこの程度か……マリー!」
次の瞬間。
マードックに襲い掛かるラブクラフトの腕は絡みつくワイヤーソーによって切断された。
「まったく。 こんな醜い男に私の裸を見られるなんて。殺してやるわ!
ちなみに、私の裸を見て殺されなかった男はマードック以外は居ないのよ、覚悟なさい!」
戦闘行動により、マリーの光学迷彩は解ける。
身体の制御とワイヤーソーのコントロールに処理の大半がかかるためだ、
それに激しく動く近接戦においては背景と同化させる光学迷彩は完璧なカモフラージュにはならないのである。
マリーはラブクラフトの首にワイヤーソーを巻き付ける。
だが、今度は切れない。
それどころかワイヤーソー自身が切断されてしまった。
「え? うそ、ハイパータングステンのワイヤーソーよ」
さすがのマリーも想定外の出来事だった。
宇宙戦艦の装甲にも使用されるハイパータングステン合金のワイヤーが切断されることなど過去一度もなかったからだ。
「マリー。奴の血だ。あれにナノマシンがあるのだろう。
奴はオーバード・ブーステッドヒューマンだ。攻撃的なナノマシンが奴の体内をめぐっている、油断するな!」
マリーは右腕のワイヤーソーを破棄する。
血がまるで生き物のようにワイヤーを伝ってマリーに接近してきたためだ。
間一髪。
地面に落ちたワイヤーソーはボロボロになり土と化した。
「マズいわね。マードック撤退よ! 私達だけじゃ奴は倒せないわ!」
次の瞬間、ラブクラフトは左手を振りかぶり。マードックに突進する。
人間の、いやブーステッドヒューマンですら不可能な瞬発力。
マードックでは対応できない。
ラブクラフトの一撃がマードックに届く寸前。
マリーの左腕のワイヤーでマードックは強制的に回避させられた。
ラブクラフトのパンチは空振りのまま、地面の瓦礫をえぐる。
それは迫撃砲の一撃のようだった。
「マリー、すまん。今のはマズかったな……」
「いいわよ、それより今は逃げる! 今度は二人で生き延びましょう。走れる?」
「ああ、問題ない」
マリーはマードックの手を引っ張りながら全力で走る。
…………。
「ふ、逃げるか、戦士にあるまじき行為だな。だが、あのアサシンドール……懲りない男だ。
ラヴクラフト! 深追いはするな! まさかアサシンドールに対消滅爆弾が搭載されているとはな、あの時はさすがに懲りたさ……」
命令を受けたラヴクラフトはその場にうずくまりると、全身から蒸気を上げる。
先ほどの銃弾による傷は直ぐに回復した。
切断された腕も、ワイヤーソーにまとわりついていた血が生き物のように蠢き、傷口をふさぐと数分と待たずに新たな腕として再生した。
マクシミリアンは撤退するマードックを見ながら呟く。
「……私はもう逃げない。
いつでも挑んで来るがいい。さすればお前達も戦士たちの最後の楽園アヴァロンへ導かれるだろう……」
次の瞬間、大きな地響きのような音が遥か上空から聞こえてきた。
それは雲の隙間に隠れていたのか。
全長500メートルはある巨大な宇宙船であった。
巻き上がる砂ぼこりから主をかばうようにラブクラフトはマクシミリアンの前に立つ。
その宇宙船は地上すれすれにまで降りると。ホバーの状態で動きを止める。
ブースターを切ったのか音は一切しなくなった。
そして、マクシミリアンへ向けて宇宙船から声が発せられた。
『よう! お前がマスターか? 迎えに来たぜ!
俺様はキングアーサー級、惑星強襲揚陸艦の12番艦モードレッドだ! よろしく頼むぜ!』
「ああ、そうだ。私の名はマクシミリアン。こちらこそよろしく頼む。
私は戦う、……戦わなけば生き残れないのだから……」
-----終わり-----
あとがき。
いかがでしたでしょうか。
今回でエピソード2完結とさせていただきます。
マクシミリアンの暗躍、アヴァロンとは何なのか。
ここまで読んでいただき本当に感謝申し上げます。
できれば♡応援お気に入り登録いただけると創作意欲につながりますのでよろしくお願いします。
ここはアンプラグド事件の際に、マリーの自爆によりビルは跡形もなく廃墟そのものであった。
そして、何の因果か、その場所にロングコートを着た二人の男が対峙する。
一人はマードック。
そして、もう一人。
黒髪で壮年ながらも筋肉の隆起がコートの上からもはっきりとわかるほどに鍛えられた体躯。
アンプラグドのリーダー、マクシミリアン。
彼も当然ブーステッドヒューマンである。
「マードックか……久しぶりだな。わざわざ私を追ってくるとは、首輪付きはご苦労なことだ……」
マクシミリアンは花束を瓦礫に投げると手で十字を切り、祈りを済ます。
「マクシミリアン、迂闊だったな。まさかアースシックスにのこのこと戻ってくるとはな……。大人しくお縄につくことだな!」
「ふっ、何の冗談だ? お前は私の仲間を殺した。そのお前に大人しく従うだと? マフィアを舐めるなよ! あの中には私の弟もいたのだ!」
少し語気を強めるマクシミリアン。
「それはお互い様だろう。お前達は明確に俺達を殺そうとした。
それにマリーの件を忘れたとは言わせない」
「マリー? ああ、そうだったな、それはすまなかった。
だが、あれは所詮はアサシンドールだろう? 汚らわしい機械人形……結果的に良かったではないか?
おっと、失礼。その手に持つ赤いドレス、さしずめ君は彼女の墓参りといったところかな?
……ブーステッドヒューマン。
そう、私達は所詮は中途半端な生命体なのだ、哀れな我らが何に愛情を持つのかは自由か。
だが、マードック、君は少し趣味が悪くないか?
あれは人類に害を及ぼすために産まれた呪われた存在だ。
その呪縛から君を解き放った私に、むしろ礼の一つでも言ってもらいたいものだな」
安い挑発だ。
マードック自身では言われなくとも理解している。
アサシンドールは悪魔の人形、決して存在してはいけない存在だと。
だが、それを他人には言われたくない。
マリーには人格があり、マードックにとっては姉であり、相棒であり……恋人でもあるのだ。
それにマリーは人間によって作られたのだ。
物に罪などない。
悪魔の人形と言うならば、それを作ったものが悪魔ではないだろうか。
「……話が平行線だな。殺し殺されの話を今さらするつもりはない。
で、マクシミリアン。貴様は一人で何をするつもりだ?」
「ふ、一人ではないさ。それにここに戻ってきたのは墓参りの他にも理由があるのだ」
マクシミリアンは腕時計を確認する。
「そろそろ時間だな。おい! 起きろ! ラヴクラフト、お前の出番だぞ!」
次の瞬間、地響きのような音がした、そして地面の瓦礫が崩れる。
その下は地下室があったのか、そこから大きな人間が瓦礫をかき分け這いあがってくる。
人間……そう呼べるのは身体的特徴のみであり、その体躯は三メートル以上はある。
その異形の存在にマードックは心当たりがあった。
「貴様! オーバード・ブーステッドヒューマンに手を出したのか! お前は理解しているのか! もう裁判を受ける権利もなくなったのだぞ!」
「権利か……、そんなものが何だと言うのだ。ブーステッドヒューマンに明確な人権などない。お前とてそれは理解しているだろう。
今の世界は全て茶番ではないか。……それに私にはもう帰る場所などない。
ならば! 一心不乱に前に! ただ前に進むのみよ!
ラブクラフト! 目の前の男を殺せ!」
「ぶおおおおお!」
ラブクラフトと呼ばれる大男はマードックに襲い掛かる。
オーバード・ブーステッドヒューマンは人権を無視した違法の存在である。
人間の可能性、例えばアスリートの記録を伸ばすため、始まりはそんなものだった。
だが、もし、究極の存在である神話の巨人が居るとしたら、そんな好奇心だけで生み出された狂気の存在である。
パンッ! パンッ!
マードックはショットガンで応戦するも、皮膚を傷付けたのみで致命傷には至らない。
「ちっ、スラッグ弾でもこの程度か……マリー!」
次の瞬間。
マードックに襲い掛かるラブクラフトの腕は絡みつくワイヤーソーによって切断された。
「まったく。 こんな醜い男に私の裸を見られるなんて。殺してやるわ!
ちなみに、私の裸を見て殺されなかった男はマードック以外は居ないのよ、覚悟なさい!」
戦闘行動により、マリーの光学迷彩は解ける。
身体の制御とワイヤーソーのコントロールに処理の大半がかかるためだ、
それに激しく動く近接戦においては背景と同化させる光学迷彩は完璧なカモフラージュにはならないのである。
マリーはラブクラフトの首にワイヤーソーを巻き付ける。
だが、今度は切れない。
それどころかワイヤーソー自身が切断されてしまった。
「え? うそ、ハイパータングステンのワイヤーソーよ」
さすがのマリーも想定外の出来事だった。
宇宙戦艦の装甲にも使用されるハイパータングステン合金のワイヤーが切断されることなど過去一度もなかったからだ。
「マリー。奴の血だ。あれにナノマシンがあるのだろう。
奴はオーバード・ブーステッドヒューマンだ。攻撃的なナノマシンが奴の体内をめぐっている、油断するな!」
マリーは右腕のワイヤーソーを破棄する。
血がまるで生き物のようにワイヤーを伝ってマリーに接近してきたためだ。
間一髪。
地面に落ちたワイヤーソーはボロボロになり土と化した。
「マズいわね。マードック撤退よ! 私達だけじゃ奴は倒せないわ!」
次の瞬間、ラブクラフトは左手を振りかぶり。マードックに突進する。
人間の、いやブーステッドヒューマンですら不可能な瞬発力。
マードックでは対応できない。
ラブクラフトの一撃がマードックに届く寸前。
マリーの左腕のワイヤーでマードックは強制的に回避させられた。
ラブクラフトのパンチは空振りのまま、地面の瓦礫をえぐる。
それは迫撃砲の一撃のようだった。
「マリー、すまん。今のはマズかったな……」
「いいわよ、それより今は逃げる! 今度は二人で生き延びましょう。走れる?」
「ああ、問題ない」
マリーはマードックの手を引っ張りながら全力で走る。
…………。
「ふ、逃げるか、戦士にあるまじき行為だな。だが、あのアサシンドール……懲りない男だ。
ラヴクラフト! 深追いはするな! まさかアサシンドールに対消滅爆弾が搭載されているとはな、あの時はさすがに懲りたさ……」
命令を受けたラヴクラフトはその場にうずくまりると、全身から蒸気を上げる。
先ほどの銃弾による傷は直ぐに回復した。
切断された腕も、ワイヤーソーにまとわりついていた血が生き物のように蠢き、傷口をふさぐと数分と待たずに新たな腕として再生した。
マクシミリアンは撤退するマードックを見ながら呟く。
「……私はもう逃げない。
いつでも挑んで来るがいい。さすればお前達も戦士たちの最後の楽園アヴァロンへ導かれるだろう……」
次の瞬間、大きな地響きのような音が遥か上空から聞こえてきた。
それは雲の隙間に隠れていたのか。
全長500メートルはある巨大な宇宙船であった。
巻き上がる砂ぼこりから主をかばうようにラブクラフトはマクシミリアンの前に立つ。
その宇宙船は地上すれすれにまで降りると。ホバーの状態で動きを止める。
ブースターを切ったのか音は一切しなくなった。
そして、マクシミリアンへ向けて宇宙船から声が発せられた。
『よう! お前がマスターか? 迎えに来たぜ!
俺様はキングアーサー級、惑星強襲揚陸艦の12番艦モードレッドだ! よろしく頼むぜ!』
「ああ、そうだ。私の名はマクシミリアン。こちらこそよろしく頼む。
私は戦う、……戦わなけば生き残れないのだから……」
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