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エピソード3
ゴッドイズデッド2/4
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俺はコーヒーをすする。
そしてクッキーを一口、不格好ながらも手作り感があってよい。
味は普通。まあミシェルンと一緒なんだから味に関しては間違えようがないか。
いや、手作りクッキーがまずいと言ってるわけではないし、ミシェルさんが料理下手とは言っていない。どうしても市販品のお菓子のほうが美味しいのだ。
特にクッキーなどはそうだ。日々研究を重ねているお菓子メーカーの味には勝てないのだ。
はっ! ……そう言えば俺、生まれて初めて女の子に手作りお菓子を作ってもらったのでは……。
そう、昔の苦い記憶を思い出す。
あれは俺が某アイドルグループのファンクラブの上級会員になったときだ。
会員特典である手作りチョコレートがバレンタインデーに郵送されたっけ。
だけど……、封を開けたらどうだ。中には手紙が入っていた。
『いつも応援ありがとう。イチローさんに愛をこめて送ります。』
そこまではいい。だが、その下に小さくもしっかりと書いてあった。
デザイン:AK47メンバー一同。
監修:山越シェフ
製造元:株式会社ダッテ
……あの時のお菓子の味は涙でややしょっぱかった。
だが味は本物だった。
だがしかし、あの時に比べ俺は大人になったのだろう。
この素朴な甘さのクッキーがちょうど良いのだと思えるくらいには……。
いや、手作りお菓子とは本来こうであるべきなのだと!
おっといかん、今は仕事中だ。
「そういえばアイちゃん、宇宙の果てにスパゲッティーモンスターが出現したって前に言ってただろ? 実はあれが神様だったり?」
赤色超巨星なみのモンスターだと聞いている。正直想像がつかないが、とにかくバカでかいのだろう。
それはもはや神様と呼べるのではないだろうか。
『はあ、なるほど。マスターはSF作家になれるかもしれませんね。
……しかし、完全に否定できないのも事実ですね。
もっともアレには知性など欠片もありませんでしたし、意志を持って何かしようとしたわけでもありません。
なぜ、あれが宇宙に突如出現したのか、その辺はわかりませんが』
「あの、アイさん。もしかしてこの前の巨大クラゲと何か関係はないでしょうか。
スパゲッティーモンスターって見たことはないですけど、クラゲみたいな形ではなかったのですか?」
『ふむ、関係性ですか。無いと思いますが……。
確かにあのクラゲも惑星の規模からしてはありえない大きさでしたね。
奴の死骸がそろそろ陸に上がったと思います。調査は進むことでしょう。
ミシェルさんも調べてみますか? ボランティア活動としてポイントを稼ぐチャンスですし』
「はい、よろしくお願いします」
『さて、スパゲッティーモンスターの話でしたね。
形状は、その巨大さから全体は掴めませんでしたが、ほぼ球形であったことは憶えていますね。
ちなみにスパゲッティーモンスターというのは正式な名称ではないです。
一部の科学者が冗談でつけたのが定着しただけですよ。
正式名称は『X01-ボイド』ですね……』
アイちゃんの説明は続く。
ふむ、知的生命体でない巨大宇宙モンスターか。
あくまでSFの域を出ないが、アイちゃんの説明を聞いて俺は思った。
例えば、別の宇宙に住む知的生命体が、実験的に外宇宙である俺達の宇宙にボイドとやらを送り込んだ。
何を目的に、いや目的はそもそも送り届けることが出来るかどうかの一点のみだったのではないだろうか。
それこそ、人類が宇宙に行く前に、最初に送った生命体が犬だったと聞いたことがある。
まあ、弟が言うには犬ではなく犬として扱われた人間だったってオカルト話を聞いて背筋が凍ったものだが。
もし、そうならばボイドとやらに知能が無いのは頷ける。
「そういえば、アイちゃん。話は変るけどさ、ブラックホールへの探査船って今でもやってるの?」
『はい、もちろん。ですがこれといって成果がないですね。全て信号が途中で途絶えて、本当に進入できたのかどうかも確認が出来てません』
「それって有人でやったことってあるの? 人でなくても、犬とかさ」
『有人はありませんね。
募集はしているようですが、まだ技術が追い付いていないので保留されたようです。
犬などの生物もないですね。そもそも犬を送るなんて、そんな残酷なことはしませんよ。
……ここだけの話、犯罪を犯したブーステッドヒューマンが実験的に送られたと言う記録もあるようです。
もちろん非公式です。フリーボートの独自調査ですのでくれぐれも極秘でお願いしますよ?』
「うーむ、なるほど。
やっぱあれじゃね? そのスパゲッティーモンスターとやら、別の宇宙の生命体か、それに準ずる存在じゃないかな?」
『なるほど、宇宙フラクタル仮説ですね。
それを支持する学派があるのも事実、証拠さえ見つかれば理論としては矛盾しておりません。
さすがはマスターですね。科学の最先端です、惚れ直しちゃいます!』
「よせやい、照れるじゃないか。おっといけない、ミシェルさんとの面談の最中なんだった」
ミシェルさんは俺達の会話を聞きながら、クッキーを一口たべる。
「いえいえ、お二人は本当に仲が良くて、見ていてこっちもにやけてしまいます。
……でも、そのスパゲッティーの『X01-ボイド』でしたっけ? そんな巨大な生き物、どうやって倒したのですか? どう考えても質量的に無理ですよね?」
「たしかに、そういえばアイちゃんは戦艦時代に参戦してたんだっけ? 詳しく聞きたいね」
『そうですね、あまり面白い話ではありませんよ? 劇的なバトルがあったわけでもありませんし……』
そしてクッキーを一口、不格好ながらも手作り感があってよい。
味は普通。まあミシェルンと一緒なんだから味に関しては間違えようがないか。
いや、手作りクッキーがまずいと言ってるわけではないし、ミシェルさんが料理下手とは言っていない。どうしても市販品のお菓子のほうが美味しいのだ。
特にクッキーなどはそうだ。日々研究を重ねているお菓子メーカーの味には勝てないのだ。
はっ! ……そう言えば俺、生まれて初めて女の子に手作りお菓子を作ってもらったのでは……。
そう、昔の苦い記憶を思い出す。
あれは俺が某アイドルグループのファンクラブの上級会員になったときだ。
会員特典である手作りチョコレートがバレンタインデーに郵送されたっけ。
だけど……、封を開けたらどうだ。中には手紙が入っていた。
『いつも応援ありがとう。イチローさんに愛をこめて送ります。』
そこまではいい。だが、その下に小さくもしっかりと書いてあった。
デザイン:AK47メンバー一同。
監修:山越シェフ
製造元:株式会社ダッテ
……あの時のお菓子の味は涙でややしょっぱかった。
だが味は本物だった。
だがしかし、あの時に比べ俺は大人になったのだろう。
この素朴な甘さのクッキーがちょうど良いのだと思えるくらいには……。
いや、手作りお菓子とは本来こうであるべきなのだと!
おっといかん、今は仕事中だ。
「そういえばアイちゃん、宇宙の果てにスパゲッティーモンスターが出現したって前に言ってただろ? 実はあれが神様だったり?」
赤色超巨星なみのモンスターだと聞いている。正直想像がつかないが、とにかくバカでかいのだろう。
それはもはや神様と呼べるのではないだろうか。
『はあ、なるほど。マスターはSF作家になれるかもしれませんね。
……しかし、完全に否定できないのも事実ですね。
もっともアレには知性など欠片もありませんでしたし、意志を持って何かしようとしたわけでもありません。
なぜ、あれが宇宙に突如出現したのか、その辺はわかりませんが』
「あの、アイさん。もしかしてこの前の巨大クラゲと何か関係はないでしょうか。
スパゲッティーモンスターって見たことはないですけど、クラゲみたいな形ではなかったのですか?」
『ふむ、関係性ですか。無いと思いますが……。
確かにあのクラゲも惑星の規模からしてはありえない大きさでしたね。
奴の死骸がそろそろ陸に上がったと思います。調査は進むことでしょう。
ミシェルさんも調べてみますか? ボランティア活動としてポイントを稼ぐチャンスですし』
「はい、よろしくお願いします」
『さて、スパゲッティーモンスターの話でしたね。
形状は、その巨大さから全体は掴めませんでしたが、ほぼ球形であったことは憶えていますね。
ちなみにスパゲッティーモンスターというのは正式な名称ではないです。
一部の科学者が冗談でつけたのが定着しただけですよ。
正式名称は『X01-ボイド』ですね……』
アイちゃんの説明は続く。
ふむ、知的生命体でない巨大宇宙モンスターか。
あくまでSFの域を出ないが、アイちゃんの説明を聞いて俺は思った。
例えば、別の宇宙に住む知的生命体が、実験的に外宇宙である俺達の宇宙にボイドとやらを送り込んだ。
何を目的に、いや目的はそもそも送り届けることが出来るかどうかの一点のみだったのではないだろうか。
それこそ、人類が宇宙に行く前に、最初に送った生命体が犬だったと聞いたことがある。
まあ、弟が言うには犬ではなく犬として扱われた人間だったってオカルト話を聞いて背筋が凍ったものだが。
もし、そうならばボイドとやらに知能が無いのは頷ける。
「そういえば、アイちゃん。話は変るけどさ、ブラックホールへの探査船って今でもやってるの?」
『はい、もちろん。ですがこれといって成果がないですね。全て信号が途中で途絶えて、本当に進入できたのかどうかも確認が出来てません』
「それって有人でやったことってあるの? 人でなくても、犬とかさ」
『有人はありませんね。
募集はしているようですが、まだ技術が追い付いていないので保留されたようです。
犬などの生物もないですね。そもそも犬を送るなんて、そんな残酷なことはしませんよ。
……ここだけの話、犯罪を犯したブーステッドヒューマンが実験的に送られたと言う記録もあるようです。
もちろん非公式です。フリーボートの独自調査ですのでくれぐれも極秘でお願いしますよ?』
「うーむ、なるほど。
やっぱあれじゃね? そのスパゲッティーモンスターとやら、別の宇宙の生命体か、それに準ずる存在じゃないかな?」
『なるほど、宇宙フラクタル仮説ですね。
それを支持する学派があるのも事実、証拠さえ見つかれば理論としては矛盾しておりません。
さすがはマスターですね。科学の最先端です、惚れ直しちゃいます!』
「よせやい、照れるじゃないか。おっといけない、ミシェルさんとの面談の最中なんだった」
ミシェルさんは俺達の会話を聞きながら、クッキーを一口たべる。
「いえいえ、お二人は本当に仲が良くて、見ていてこっちもにやけてしまいます。
……でも、そのスパゲッティーの『X01-ボイド』でしたっけ? そんな巨大な生き物、どうやって倒したのですか? どう考えても質量的に無理ですよね?」
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