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エピソード3
ゴッドイズデッド4/4
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遥か彼方の宇宙の果てにそれは現れた『X01-ボイド』
人類が保有する最強の攻撃兵器、タキオンビーム砲の集中攻撃でもそれは無傷だった。
だが宇宙連合艦隊の武器はそれだけではない。
それに敵はこちらを攻撃してくる様子はない、故に考える時間が生まれた。
人類の最大の武器は思考することである。
――彼を知り己を知れば百戦殆からず。
『提督。科学者及び技術士官から亜光速巡航ミサイルによる飽和攻撃が提案されました』
「ふむ、しかしタキオンビーム砲をまともに喰らって無事だった奴にミサイルが効くとは思えんが……」
『はい、もちろんそうです。あくまでもう少し踏み込んだ調査をするためです。本格的な攻撃作戦はその後となるでしょう』
その作戦とはこうだ。
全ての艦船に搭載されている亜光速巡航ミサイルによる飽和攻撃。
それを一定の時間差でミルフィーユの様に何重にも撃ち込む。
迎撃された場合は敵の攻撃能力や有効射程距離が確認できる。
もちろん反撃がなければ弾頭に搭載された戦略級対消滅爆弾でダメージを期待できる。
カスガ提督はその作戦を容認し、作戦は速やかに開始された。
宇宙艦隊全ての艦艇に搭載されている十万発を越えるミサイルの飽和攻撃が行われた。
亜光速巡航ミサイルは速度が遅い。結果がでるまで数日はかかるだろう。
「やれやれ、長期戦だな。ところでアマテラス、君は退役したらどうするかね?」
『私は戦艦です。退役という概念がありません。しかし、今回『X01-ボイド』に対して主砲が効きませんでした。
おそらくは戦力不足と判断され、そうですね廃艦処理をされるのでしょう』
「いやいや、それは今後の活躍次第だ。一般的に戦艦クラスはそうそうに廃艦などされない。
まあ十中八九で戦争博物館に展示されるのは確実だろうて。
……でだ、私としては退役したら一つやりたいことがあってな。宇宙クルーズの事業をやろうと思っている。妻は旅行好きでな。
私が下士官の頃には二人で良く出かけたものだ。
しかし、子供が生まれ、同時に私が軍で出世をするたびに旅行の回数は減っていった。
……妻には迷惑をかけた。
せめてもの罪滅ぼしとして、老後は妻のライフスタイルに合わせようと思ってな。
案の定、妻はすでに詳細な事業計画を作っていたよ、私の退職金もしっかりと原資に入っておったわ。
残された問題は、肝心の船をどうするか、それが問題なんだ。
最初は中古船を購入するのも検討したが、それだと何も見どころが無い。
でだな、どうかな。退役したら家に来てくれないかな?
宇宙戦艦が観光船になる。これだけで面白いだろ? それに、この話は結構進んでいてな。
スズキ財団からも出資を確約しているくらいだ。君さえよければぜひどうかな? 観光船だぞ? 宇宙を旅する船、素敵じゃないか?」
『……ええ、たしかに魅力的ですね。前向きに検討してみます』
…………。
……。
ミサイル飽和攻撃は失敗、敵は無傷。
だが、当初の目的である調査は大幅に進んだ。
X01-ボイドは全てのミサイル群を着弾前に迎撃していたのだ。
おそらくタキオンビーム砲も着弾前に迎撃されたということで結論が出た。
時間差でミサイルを撃ち込んだことにより。敵の有効射程距離は判明した。
おおよそボイドからの距離1000万キロを越えた場所で、ミサイルは根こそぎ破壊されていたのだ。
敵の有効射程は1000万キロ。そして、ミサイルの破壊プロセスにはパターンがあった。
有効射程に到達したミサイルは、直径30万キロ、長さ1000万キロの範囲内で段階的に破壊されていた。
例えるなら、鞭のようにしなる何本ものヒモ状の武器であることが伺える。
科学者の間では、いつの間にかスパゲッティーモンスターと呼ばれるようになった。
「……なるほどな、ふふふ、なんとこの宇宙は実に小さい物だったのだな。敵は外宇宙から来たアメーバときたか!」
『提督。科学者たちの意見を鵜呑みにするのは早計です。
スパゲッティーモンスターだなんて、センスのないジョークですよ……ですが、現状は彼等の考察が頼りなのは疑いの余地はありませんが』
「うむ、そのとおり。
それに奴からは戦略的行動が一切見られない。
恒星を喰らったのも生存本能であろう。放っておけば我らは生き延びることができるかもしれんが……」
『たしかに、しかしアレを放置すると、今後どうなるか分かったものじゃありませんね』
「うむ、奴は巨大すぎる。赤色超巨星並みのアメーバなど……それに、もし奴が分裂していったら、宇宙はあっという間に滅んでしまう。
今のうちに倒すべきだ! どれだけ犠牲がでようともな……」
◆◆◆
『とまあ、こんなことがあったんですよ。さて一時間ほど経ちましたね。
面談は原則一時間です。これ以上行うと、ハラスメントに認定されませんし、ミシェルさんの担当医にいろいろ注意されるので……』
「ちょっと、アイちゃん! すごい続きが気になる。いい所だったのに!」
「わ、私も気になります! 宇宙艦隊はどうなったんですか? まあ、アイさんがいるってことは無事勝利し『X01-ボイド』は滅んだのでしょうが……」
『はい、その通りですね。
その後はとくに面白い話はありませんよ、消化試合って感じでしょうか。
戦艦を盾にしながらタキオンビーム砲で奴の触手のような物を破壊しながら、惑星強襲揚陸艦がそのまま本体に接近し特攻。
奴のコアに向けてエクスカリバーを数十発叩き込んで修了です。
もちろん被害を受けた艦艇は多数あります。
特に盾になった各国の戦艦の被害は甚大でした。艦隊の損耗率は30パーセントを超えたでしょう。
アマテラス級でいえば二番艦のツクヨミは大破しその場で廃艦処理されました……』
そうか、アイちゃんの姉妹艦が沈んだのか……。
俺の好奇心で、これ以上は詳しい話を聞いてはいけないだろう。
「そうなんだ……。ところで、エクスカリバー? 剣? 約束された勝利のビームでも撃ったの?」
そう、エクスカリバーってゲームではお馴染みの最強の剣だよな。
『いえいえ、エクスカリバーとはキングアーサー級、惑星強襲揚陸艦に搭載されている惑星コア破壊ミサイルですよ。
弾頭全体を強力なバリアで覆いながら地殻を貫き、マントルを掘り進み、惑星コア中心で弾頭に積んだ戦略級対消滅爆弾をさく裂させる惑星破壊爆弾です。
文字通り惑星は再起不能に木っ端みじんになります。
ちなみにキングアーサー級は大気圏内での戦闘に特化した戦闘艦では特に大型で、地上攻撃用の戦略兵器も多数搭載しているのです。
もっとも、その船は惑星での使用実績はありません。
やろうと思えば惑星ごと破壊できるという事を示すだけの、使用を目的としない平和のための兵器が建前ですが、マスターお分かりですね?』
「おう、あれだろ? 抑止力ってやつだろ? 核の傘って俺がいた時代にも似たようなのがあったしな」
『はい、正解です。しかし、そもそも惑星強襲揚陸艦などという物騒な船の存在自体がその後の議会で問題になり、以後製造は禁止されました。
ちなみに、X01-ボイドに突撃した、キングアーサー級は全部で11隻。
彼等の活躍でコアを破壊されたボイドはその後、巨大な構造を維持出来なくなったため重力に逆らえず爆縮を開始。
超新星爆発に匹敵する爆発を観測後……キングアーサー級は全て消息不明になりました。
……まさに英雄です。ちなみに12番艦は建造が間に合わなく地球で留守番となっていました。
英雄となったキングアーサー級の最後の一隻ということで、それはそれは人気になりまして。
製造中止はされたものの九割完成していた船を廃艦などとんでもないと、オークションに掛けられましたね』
「ということは、スサノオさんみたいに博物館になってたりする? 一回行ってみたいな」
『さあ、博物館になったという情報はありませんし、ひょっとしたらとっくに解体されているのかもしれません。
オークションで落札した会社はとっくの昔に倒産していますし。
キングアーサー級12番艦、モードレッドでしたね、よくよく考えたら可哀そうな船ですね』
たしかに、他の姉妹艦は全て戦場で散って英雄となった。
戦いに参加できずに一人だけ残されたのだ。
おそらく霊子コンピューターAI搭載艦であろう、その船には同情すら覚えるのだった。
-----終わり-----
ここまで読んでいただき本当に感謝申し上げます。
第一話でちらっと話題に上がったスパゲッティーモンスターのお話でした。
こちらも補完しておかないとと思い執筆した次第です。
説明多めですが、楽しんでいただけたでしょうか。
面白いと思って下さった読者様、できれば♡応援お気に入り登録いただけると創作意欲につながりますのでよろしくお願いします。
人類が保有する最強の攻撃兵器、タキオンビーム砲の集中攻撃でもそれは無傷だった。
だが宇宙連合艦隊の武器はそれだけではない。
それに敵はこちらを攻撃してくる様子はない、故に考える時間が生まれた。
人類の最大の武器は思考することである。
――彼を知り己を知れば百戦殆からず。
『提督。科学者及び技術士官から亜光速巡航ミサイルによる飽和攻撃が提案されました』
「ふむ、しかしタキオンビーム砲をまともに喰らって無事だった奴にミサイルが効くとは思えんが……」
『はい、もちろんそうです。あくまでもう少し踏み込んだ調査をするためです。本格的な攻撃作戦はその後となるでしょう』
その作戦とはこうだ。
全ての艦船に搭載されている亜光速巡航ミサイルによる飽和攻撃。
それを一定の時間差でミルフィーユの様に何重にも撃ち込む。
迎撃された場合は敵の攻撃能力や有効射程距離が確認できる。
もちろん反撃がなければ弾頭に搭載された戦略級対消滅爆弾でダメージを期待できる。
カスガ提督はその作戦を容認し、作戦は速やかに開始された。
宇宙艦隊全ての艦艇に搭載されている十万発を越えるミサイルの飽和攻撃が行われた。
亜光速巡航ミサイルは速度が遅い。結果がでるまで数日はかかるだろう。
「やれやれ、長期戦だな。ところでアマテラス、君は退役したらどうするかね?」
『私は戦艦です。退役という概念がありません。しかし、今回『X01-ボイド』に対して主砲が効きませんでした。
おそらくは戦力不足と判断され、そうですね廃艦処理をされるのでしょう』
「いやいや、それは今後の活躍次第だ。一般的に戦艦クラスはそうそうに廃艦などされない。
まあ十中八九で戦争博物館に展示されるのは確実だろうて。
……でだ、私としては退役したら一つやりたいことがあってな。宇宙クルーズの事業をやろうと思っている。妻は旅行好きでな。
私が下士官の頃には二人で良く出かけたものだ。
しかし、子供が生まれ、同時に私が軍で出世をするたびに旅行の回数は減っていった。
……妻には迷惑をかけた。
せめてもの罪滅ぼしとして、老後は妻のライフスタイルに合わせようと思ってな。
案の定、妻はすでに詳細な事業計画を作っていたよ、私の退職金もしっかりと原資に入っておったわ。
残された問題は、肝心の船をどうするか、それが問題なんだ。
最初は中古船を購入するのも検討したが、それだと何も見どころが無い。
でだな、どうかな。退役したら家に来てくれないかな?
宇宙戦艦が観光船になる。これだけで面白いだろ? それに、この話は結構進んでいてな。
スズキ財団からも出資を確約しているくらいだ。君さえよければぜひどうかな? 観光船だぞ? 宇宙を旅する船、素敵じゃないか?」
『……ええ、たしかに魅力的ですね。前向きに検討してみます』
…………。
……。
ミサイル飽和攻撃は失敗、敵は無傷。
だが、当初の目的である調査は大幅に進んだ。
X01-ボイドは全てのミサイル群を着弾前に迎撃していたのだ。
おそらくタキオンビーム砲も着弾前に迎撃されたということで結論が出た。
時間差でミサイルを撃ち込んだことにより。敵の有効射程距離は判明した。
おおよそボイドからの距離1000万キロを越えた場所で、ミサイルは根こそぎ破壊されていたのだ。
敵の有効射程は1000万キロ。そして、ミサイルの破壊プロセスにはパターンがあった。
有効射程に到達したミサイルは、直径30万キロ、長さ1000万キロの範囲内で段階的に破壊されていた。
例えるなら、鞭のようにしなる何本ものヒモ状の武器であることが伺える。
科学者の間では、いつの間にかスパゲッティーモンスターと呼ばれるようになった。
「……なるほどな、ふふふ、なんとこの宇宙は実に小さい物だったのだな。敵は外宇宙から来たアメーバときたか!」
『提督。科学者たちの意見を鵜呑みにするのは早計です。
スパゲッティーモンスターだなんて、センスのないジョークですよ……ですが、現状は彼等の考察が頼りなのは疑いの余地はありませんが』
「うむ、そのとおり。
それに奴からは戦略的行動が一切見られない。
恒星を喰らったのも生存本能であろう。放っておけば我らは生き延びることができるかもしれんが……」
『たしかに、しかしアレを放置すると、今後どうなるか分かったものじゃありませんね』
「うむ、奴は巨大すぎる。赤色超巨星並みのアメーバなど……それに、もし奴が分裂していったら、宇宙はあっという間に滅んでしまう。
今のうちに倒すべきだ! どれだけ犠牲がでようともな……」
◆◆◆
『とまあ、こんなことがあったんですよ。さて一時間ほど経ちましたね。
面談は原則一時間です。これ以上行うと、ハラスメントに認定されませんし、ミシェルさんの担当医にいろいろ注意されるので……』
「ちょっと、アイちゃん! すごい続きが気になる。いい所だったのに!」
「わ、私も気になります! 宇宙艦隊はどうなったんですか? まあ、アイさんがいるってことは無事勝利し『X01-ボイド』は滅んだのでしょうが……」
『はい、その通りですね。
その後はとくに面白い話はありませんよ、消化試合って感じでしょうか。
戦艦を盾にしながらタキオンビーム砲で奴の触手のような物を破壊しながら、惑星強襲揚陸艦がそのまま本体に接近し特攻。
奴のコアに向けてエクスカリバーを数十発叩き込んで修了です。
もちろん被害を受けた艦艇は多数あります。
特に盾になった各国の戦艦の被害は甚大でした。艦隊の損耗率は30パーセントを超えたでしょう。
アマテラス級でいえば二番艦のツクヨミは大破しその場で廃艦処理されました……』
そうか、アイちゃんの姉妹艦が沈んだのか……。
俺の好奇心で、これ以上は詳しい話を聞いてはいけないだろう。
「そうなんだ……。ところで、エクスカリバー? 剣? 約束された勝利のビームでも撃ったの?」
そう、エクスカリバーってゲームではお馴染みの最強の剣だよな。
『いえいえ、エクスカリバーとはキングアーサー級、惑星強襲揚陸艦に搭載されている惑星コア破壊ミサイルですよ。
弾頭全体を強力なバリアで覆いながら地殻を貫き、マントルを掘り進み、惑星コア中心で弾頭に積んだ戦略級対消滅爆弾をさく裂させる惑星破壊爆弾です。
文字通り惑星は再起不能に木っ端みじんになります。
ちなみにキングアーサー級は大気圏内での戦闘に特化した戦闘艦では特に大型で、地上攻撃用の戦略兵器も多数搭載しているのです。
もっとも、その船は惑星での使用実績はありません。
やろうと思えば惑星ごと破壊できるという事を示すだけの、使用を目的としない平和のための兵器が建前ですが、マスターお分かりですね?』
「おう、あれだろ? 抑止力ってやつだろ? 核の傘って俺がいた時代にも似たようなのがあったしな」
『はい、正解です。しかし、そもそも惑星強襲揚陸艦などという物騒な船の存在自体がその後の議会で問題になり、以後製造は禁止されました。
ちなみに、X01-ボイドに突撃した、キングアーサー級は全部で11隻。
彼等の活躍でコアを破壊されたボイドはその後、巨大な構造を維持出来なくなったため重力に逆らえず爆縮を開始。
超新星爆発に匹敵する爆発を観測後……キングアーサー級は全て消息不明になりました。
……まさに英雄です。ちなみに12番艦は建造が間に合わなく地球で留守番となっていました。
英雄となったキングアーサー級の最後の一隻ということで、それはそれは人気になりまして。
製造中止はされたものの九割完成していた船を廃艦などとんでもないと、オークションに掛けられましたね』
「ということは、スサノオさんみたいに博物館になってたりする? 一回行ってみたいな」
『さあ、博物館になったという情報はありませんし、ひょっとしたらとっくに解体されているのかもしれません。
オークションで落札した会社はとっくの昔に倒産していますし。
キングアーサー級12番艦、モードレッドでしたね、よくよく考えたら可哀そうな船ですね』
たしかに、他の姉妹艦は全て戦場で散って英雄となった。
戦いに参加できずに一人だけ残されたのだ。
おそらく霊子コンピューターAI搭載艦であろう、その船には同情すら覚えるのだった。
-----終わり-----
ここまで読んでいただき本当に感謝申し上げます。
第一話でちらっと話題に上がったスパゲッティーモンスターのお話でした。
こちらも補完しておかないとと思い執筆した次第です。
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