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第四章 学園編1
第45話 ランチ
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午前の授業が終わりお昼になった。
基本的にランチは学園内で取ることになっている。
「さて、ルーシーさん。よろしければランチをご一緒してもいいかしら?」
「うん、もちろん。私、ベラサグンの料理って分からないから、何を食べていいか迷ってたの……」
「うふふ、そうですわね。ルーシーさんはグプタ出身。さすがに魚介類では負けるわね……であるならばベラサグンの代表料理は肉料理よ。それに小麦も有名だからミートボールのスパゲティなんていいんじゃないかしら」
「お肉のスパゲティ! 楽しみ、お腹が鳴るわね!」
さっそくルーシーとソフィアは学園の食堂に向かう。
その道中、後から二人を呼ぶ声が聞こえた。
「ソフィアさん。俺、昔から英雄王カイル様のファンです。まさかそのご令嬢が同級生だなんて光栄です!」
「ルーシーさんの精霊魔法とても興味があります。お友達になってください」
クラスメイトが声を掛けてきたようだ。
ルーシーは戸惑う。名前を憶えていないからだ。
自己紹介の順番が後半だったので彼らのことなど憶えているはずがない。
素直に謝る。今はそれしかない。
「えっと……。ごめんなさい、自己紹介で自分の事ばかり考えてたから、名前覚えてないの……」
声を掛けてきたのは、赤毛の男と子と女の子だ。
彼らはお互いに目配せする。そして女の子の方から、満面の笑みで再び自己紹介を始めた。
「だよねー。正直、あの場面で名前なんて覚えてないよねー。私は最初の方だったから憶えてたの。私、リリアナ・ヨハンソン。それとこっちが幼馴染のアイザックです、よろしくね」
リリアナは赤毛の少し癖のあるセミロングがよく似合う女の子だ。
「おいおい、俺はついでかよー。こほん、俺はアイザック・グレアムだ。よろしくたのむぜ」
少しむくれながら挨拶をしたのは短髪で前髪を上げている活発そうな少年、アイザックであった。
二人はずっとベラサグンに住んでいて幼馴染の少年と少女だ。
ルーシーはジャンとアンナを思い出した。
「うふふ、実は私も自分の挨拶で精一杯でした。昨日は手直しが多かったですから……私もお二人の名前を憶えていませんの。ごめんなさい。あらためてソフィア・レーヴァテインです」
「あ、私はルーシー・バンデルです」
こうして四人は一緒に食事をとることにした。
…………。
「午後の授業ですが、今日は選択科目ですわね。卒業に必須な単位ではありませんので、特に参加する必要はないのですが……受けないというのはもったいないですし」
ルーシーはスパゲティ―を口いっぱいに頬張る。
グプタでは魚介類とトマトのソースが定番だったが、肉とトマトも相性抜群だった。
それに粉チーズが味にアクセントを加えておりルーシーの胃袋は無限と化していた。
「ルーシーさん。お昼からそんなに食べて大丈夫ですか? 午後も授業があるんですよ?」
「うん? だいじょぶ……で、ソフィアさんは何にするんですか? 私はレンジャーにしようかと」
「レンジャーですか? うーん、そうですね、お父様は剣士だったので騎士学科を考えていましたが……あ! そうでした。
かつてお母様は、野生の肉を食べるためのレンジャーの知識をお父様に学んだのでした。野外でもお肉を美味しく食べる。その知識は素敵です。それにしましょう。でもルーシーさんはなぜレンジャーを選んだのですか?」
「うーん、……言いにくいんだけど。多分、私の予想があってたら知り合いが先生だからかな……そういえばリリアナさんとアイザック君はどうするの?」
二人はお互いを一瞬だけ見合うが、答えは決まってたようだ。
「俺達もレンジャーにします!」
昼食を終えると四人は中庭に来た。魔法の訓練で使った中庭とは別の場所。
ここは芝生や草木が生えていたが、庭園とは違い、より自然に近い状態であった。
その中央に教師と思われる男性が一人、生徒たちが集まるのを待っていた。
「よう! お嬢。俺っちは信じてたっす! ようこそレンジャー学科へ……ごほん。魔法学科に騎士学科、機械学科の諸君よ。レンジャー学科の授業を選択してくれて嬉しいっす。
選択科目とはいえ、生きるための最低限のサバイバル知識を皆さんに教えるっすよ」
やはりアランも教員であった。
イレーナとは違って、非常勤講師ではあるので毎日は居ない。
他学科の生徒たちにレンジャー教育をするので週に数時間の授業をして、普段は冒険者として仕事をするようだった。
レンジャーは現場にいないと腕が鈍る。
常勤の教師になるのは引退してからというのが彼らの業界の常識である。
しかし、自分は随分と過保護にされているのだと改めて思うルーシーであった。
基本的にランチは学園内で取ることになっている。
「さて、ルーシーさん。よろしければランチをご一緒してもいいかしら?」
「うん、もちろん。私、ベラサグンの料理って分からないから、何を食べていいか迷ってたの……」
「うふふ、そうですわね。ルーシーさんはグプタ出身。さすがに魚介類では負けるわね……であるならばベラサグンの代表料理は肉料理よ。それに小麦も有名だからミートボールのスパゲティなんていいんじゃないかしら」
「お肉のスパゲティ! 楽しみ、お腹が鳴るわね!」
さっそくルーシーとソフィアは学園の食堂に向かう。
その道中、後から二人を呼ぶ声が聞こえた。
「ソフィアさん。俺、昔から英雄王カイル様のファンです。まさかそのご令嬢が同級生だなんて光栄です!」
「ルーシーさんの精霊魔法とても興味があります。お友達になってください」
クラスメイトが声を掛けてきたようだ。
ルーシーは戸惑う。名前を憶えていないからだ。
自己紹介の順番が後半だったので彼らのことなど憶えているはずがない。
素直に謝る。今はそれしかない。
「えっと……。ごめんなさい、自己紹介で自分の事ばかり考えてたから、名前覚えてないの……」
声を掛けてきたのは、赤毛の男と子と女の子だ。
彼らはお互いに目配せする。そして女の子の方から、満面の笑みで再び自己紹介を始めた。
「だよねー。正直、あの場面で名前なんて覚えてないよねー。私は最初の方だったから憶えてたの。私、リリアナ・ヨハンソン。それとこっちが幼馴染のアイザックです、よろしくね」
リリアナは赤毛の少し癖のあるセミロングがよく似合う女の子だ。
「おいおい、俺はついでかよー。こほん、俺はアイザック・グレアムだ。よろしくたのむぜ」
少しむくれながら挨拶をしたのは短髪で前髪を上げている活発そうな少年、アイザックであった。
二人はずっとベラサグンに住んでいて幼馴染の少年と少女だ。
ルーシーはジャンとアンナを思い出した。
「うふふ、実は私も自分の挨拶で精一杯でした。昨日は手直しが多かったですから……私もお二人の名前を憶えていませんの。ごめんなさい。あらためてソフィア・レーヴァテインです」
「あ、私はルーシー・バンデルです」
こうして四人は一緒に食事をとることにした。
…………。
「午後の授業ですが、今日は選択科目ですわね。卒業に必須な単位ではありませんので、特に参加する必要はないのですが……受けないというのはもったいないですし」
ルーシーはスパゲティ―を口いっぱいに頬張る。
グプタでは魚介類とトマトのソースが定番だったが、肉とトマトも相性抜群だった。
それに粉チーズが味にアクセントを加えておりルーシーの胃袋は無限と化していた。
「ルーシーさん。お昼からそんなに食べて大丈夫ですか? 午後も授業があるんですよ?」
「うん? だいじょぶ……で、ソフィアさんは何にするんですか? 私はレンジャーにしようかと」
「レンジャーですか? うーん、そうですね、お父様は剣士だったので騎士学科を考えていましたが……あ! そうでした。
かつてお母様は、野生の肉を食べるためのレンジャーの知識をお父様に学んだのでした。野外でもお肉を美味しく食べる。その知識は素敵です。それにしましょう。でもルーシーさんはなぜレンジャーを選んだのですか?」
「うーん、……言いにくいんだけど。多分、私の予想があってたら知り合いが先生だからかな……そういえばリリアナさんとアイザック君はどうするの?」
二人はお互いを一瞬だけ見合うが、答えは決まってたようだ。
「俺達もレンジャーにします!」
昼食を終えると四人は中庭に来た。魔法の訓練で使った中庭とは別の場所。
ここは芝生や草木が生えていたが、庭園とは違い、より自然に近い状態であった。
その中央に教師と思われる男性が一人、生徒たちが集まるのを待っていた。
「よう! お嬢。俺っちは信じてたっす! ようこそレンジャー学科へ……ごほん。魔法学科に騎士学科、機械学科の諸君よ。レンジャー学科の授業を選択してくれて嬉しいっす。
選択科目とはいえ、生きるための最低限のサバイバル知識を皆さんに教えるっすよ」
やはりアランも教員であった。
イレーナとは違って、非常勤講師ではあるので毎日は居ない。
他学科の生徒たちにレンジャー教育をするので週に数時間の授業をして、普段は冒険者として仕事をするようだった。
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しかし、自分は随分と過保護にされているのだと改めて思うルーシーであった。
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