99 / 151
第六章 帰省
第99話 帰省⑨
しおりを挟む
ルーシー堂々の凱旋。
船着場から生まれ故郷の土を踏む。
「お父様、お母様。ルーシーただいま戻りました!」
「お帰り、ルー。しばらく見ないうちにすっかり大人になったな。
クリス、心配なかったろう? ルーはどこでも上手くやっていけるってな」
「ええ、そうね、あなたの言うとおりだった。
もしかしたらルーシーには友達ができないんじゃないかって、少し心配だったけど本当によかったわ。
……そう言えばその服。オリビア学園の制服かしら? とっても素敵。いいわね、私は学園に行ったことがないから憧れるわ」
ルーシーは船が着くまでに制服に着替えていたのだ。
両親の前でくるりと回る。
そして、いつもソフィアがやっているようにスカートをつまみ膝を曲げて見せる。
「ふっふっふ。素敵でしょう? 最初は面倒だったけど着慣れてみると、これはこれでありっていうか。なんならお母様も着てみますか?
実はもう一着持ってきています。お父様もきっと喜ぶと思いますよ?」
「えー。ルーシーそういうのはマニアックっていうか。もう、学園で何を学んだのよ。でもクロードが見たいって言うなら着てみてもいいかしら」
クリスティーナはまんざらでもないような表情だ。
いつの間にかルーシーの身長は母親と同じくらいになっていた。もともと小柄な母だが、ルーシーにとって厳しい母はもっと大きな印象があったのだ。
そのせいか、ルーシーは母に近づいている喜びを感じる。
今に思えば母は厳しかったわけではない。
学園での生活を経験して改めて気付いたのだ。
母の言ってたことは全て一般常識だった。
オリビア学園で、友人たちがルーシーの行動を母と同じように注意してくれたのでそれに気付くことが出来たのだ。
ルーシーは母に対する苦手意識はいつの間にか無くなった。
これからは母ともっといい関係が築ける、そう思ったのだ。
「姉さん、お帰りなさい。すっかりオリビア学園の学生さんって感じだね。気品が出てるよ」
「……誰? この赤毛のノッポさん」
両親の隣に立つ赤毛の好青年をみてルーシーはそっけない態度を取る。
「もう、姉ちゃんは相変わらずなんだから、実の弟を忘れるなんて酷いや!」
「あはは、うそうそ。でも、レオの方が酷いぞ! 私の知らない間に身長は追い越されるわ、声が変になるわ。お説教が必要だ!」
「ぷっ。姉ちゃんは相変わらずで安心したよ。てっきり都会かぶれでお嬢様口調で喋りだすんじゃないかって心配だったんだ」
すっかり成長した弟を前に感慨にふけるルーシー。
「おう! レオ。たしかにお前、身長伸びたよな。見違えたぜ。まさか俺の事は忘れてないよな?」
「うふふ、ジャン君ったら。レオ君が忘れるわけないよー。でもすっかり大人になったねー。これは女の子がほっとけないって感じー? あんなに可愛かったレオ君がイケメンになっちゃたよー」
「ジャン君にアンナちゃん。お久しぶりです。二年ぶりですね。あ、そうだ。ご両親は仕事でここには来れないそうです。相変わらず忙しそうですね」
「ああ、高速船の量産が始まったって言ってたからな。稼ぎ時だよ。おかげで俺もバイトを止めてこうして帰省できたんだ。
じゃあ、俺も久しぶりに両親との感動の再会でもすっかな。アンナ行くぞ!」
「あ、ジャン君、まってよー。あ、皆さん、このあと一緒に食事でもどうですか? 私達はいつものレストランにいるから皆もきてねー。ソフィアちゃん達も宿が決まったら来てくれると嬉しーなー」
「わかったー。いつものレストランね。……ということはきっとあいつが来るか……まあ、この際どうでもいい。むしろ今こそって感じだ。ふふふ、待ってろよベアトリクス」
ルーシーは魔法使いとして成長した姿を何よりもベアトリクスに見せたかったのだ。
「……ルーシー、できればお客様の紹介をしてくれると嬉しんだけど……」
クリスティーナはルーシーにそっと告げる。
ニコニコしながら今までのやり取りを見ていたソフィア親子。
お客様の紹介をするのをすっかり忘れていたルーシーはしまったと思い、姿勢を正す。
「あ、はい。お母様。ではご紹介します。お手紙で何度か書いてましたよね。親友のソフィア・レーヴァテインさん、そしてご両親のカイルさんとシャルロットさんです。
えっと、もう一人セシリアさんを紹介したいんですけど、今はまだ船内でお仕事があるらしいので――」
ルーシーの話を遮り、クリスティーナは少し動揺した様子でシャルロットに話しかける。
「シャルロット・レーヴァテイン……。やはり、そうでしたか」
「え? お母様、どういうことですか? お知り合いだったんですか?」
「クリス。大丈夫か?」
「クロード、大丈夫。ちょっと動揺しただけ。シャルロット・レーヴァテイン、やっと貴女に会うことができました。
私はクリスティーナと申します。貴方とは遠縁の親戚になりますね。なんといっていいか、私は貴女たちに謝りたいとずっと思っていたの」
「クリスティーナ、ここでは止めましょう。私達はもう子供ではないのです。
謝るのは勘弁してください……そうね、ここはグプタ。リゾート地なんだから、食事が終わったら大人達で夜の街に繰り出しましょう。面倒くさい話はお酒がないと、でしょ?」
ルーシーとしては二人の間で何があったのか気にはなる。が、あまり面白そうな話ではないし、大人たちの話に興味はなかった。
だが、ソフィアと血の繋がりがあるというのは少し嬉しい情報だった。
船着場から生まれ故郷の土を踏む。
「お父様、お母様。ルーシーただいま戻りました!」
「お帰り、ルー。しばらく見ないうちにすっかり大人になったな。
クリス、心配なかったろう? ルーはどこでも上手くやっていけるってな」
「ええ、そうね、あなたの言うとおりだった。
もしかしたらルーシーには友達ができないんじゃないかって、少し心配だったけど本当によかったわ。
……そう言えばその服。オリビア学園の制服かしら? とっても素敵。いいわね、私は学園に行ったことがないから憧れるわ」
ルーシーは船が着くまでに制服に着替えていたのだ。
両親の前でくるりと回る。
そして、いつもソフィアがやっているようにスカートをつまみ膝を曲げて見せる。
「ふっふっふ。素敵でしょう? 最初は面倒だったけど着慣れてみると、これはこれでありっていうか。なんならお母様も着てみますか?
実はもう一着持ってきています。お父様もきっと喜ぶと思いますよ?」
「えー。ルーシーそういうのはマニアックっていうか。もう、学園で何を学んだのよ。でもクロードが見たいって言うなら着てみてもいいかしら」
クリスティーナはまんざらでもないような表情だ。
いつの間にかルーシーの身長は母親と同じくらいになっていた。もともと小柄な母だが、ルーシーにとって厳しい母はもっと大きな印象があったのだ。
そのせいか、ルーシーは母に近づいている喜びを感じる。
今に思えば母は厳しかったわけではない。
学園での生活を経験して改めて気付いたのだ。
母の言ってたことは全て一般常識だった。
オリビア学園で、友人たちがルーシーの行動を母と同じように注意してくれたのでそれに気付くことが出来たのだ。
ルーシーは母に対する苦手意識はいつの間にか無くなった。
これからは母ともっといい関係が築ける、そう思ったのだ。
「姉さん、お帰りなさい。すっかりオリビア学園の学生さんって感じだね。気品が出てるよ」
「……誰? この赤毛のノッポさん」
両親の隣に立つ赤毛の好青年をみてルーシーはそっけない態度を取る。
「もう、姉ちゃんは相変わらずなんだから、実の弟を忘れるなんて酷いや!」
「あはは、うそうそ。でも、レオの方が酷いぞ! 私の知らない間に身長は追い越されるわ、声が変になるわ。お説教が必要だ!」
「ぷっ。姉ちゃんは相変わらずで安心したよ。てっきり都会かぶれでお嬢様口調で喋りだすんじゃないかって心配だったんだ」
すっかり成長した弟を前に感慨にふけるルーシー。
「おう! レオ。たしかにお前、身長伸びたよな。見違えたぜ。まさか俺の事は忘れてないよな?」
「うふふ、ジャン君ったら。レオ君が忘れるわけないよー。でもすっかり大人になったねー。これは女の子がほっとけないって感じー? あんなに可愛かったレオ君がイケメンになっちゃたよー」
「ジャン君にアンナちゃん。お久しぶりです。二年ぶりですね。あ、そうだ。ご両親は仕事でここには来れないそうです。相変わらず忙しそうですね」
「ああ、高速船の量産が始まったって言ってたからな。稼ぎ時だよ。おかげで俺もバイトを止めてこうして帰省できたんだ。
じゃあ、俺も久しぶりに両親との感動の再会でもすっかな。アンナ行くぞ!」
「あ、ジャン君、まってよー。あ、皆さん、このあと一緒に食事でもどうですか? 私達はいつものレストランにいるから皆もきてねー。ソフィアちゃん達も宿が決まったら来てくれると嬉しーなー」
「わかったー。いつものレストランね。……ということはきっとあいつが来るか……まあ、この際どうでもいい。むしろ今こそって感じだ。ふふふ、待ってろよベアトリクス」
ルーシーは魔法使いとして成長した姿を何よりもベアトリクスに見せたかったのだ。
「……ルーシー、できればお客様の紹介をしてくれると嬉しんだけど……」
クリスティーナはルーシーにそっと告げる。
ニコニコしながら今までのやり取りを見ていたソフィア親子。
お客様の紹介をするのをすっかり忘れていたルーシーはしまったと思い、姿勢を正す。
「あ、はい。お母様。ではご紹介します。お手紙で何度か書いてましたよね。親友のソフィア・レーヴァテインさん、そしてご両親のカイルさんとシャルロットさんです。
えっと、もう一人セシリアさんを紹介したいんですけど、今はまだ船内でお仕事があるらしいので――」
ルーシーの話を遮り、クリスティーナは少し動揺した様子でシャルロットに話しかける。
「シャルロット・レーヴァテイン……。やはり、そうでしたか」
「え? お母様、どういうことですか? お知り合いだったんですか?」
「クリス。大丈夫か?」
「クロード、大丈夫。ちょっと動揺しただけ。シャルロット・レーヴァテイン、やっと貴女に会うことができました。
私はクリスティーナと申します。貴方とは遠縁の親戚になりますね。なんといっていいか、私は貴女たちに謝りたいとずっと思っていたの」
「クリスティーナ、ここでは止めましょう。私達はもう子供ではないのです。
謝るのは勘弁してください……そうね、ここはグプタ。リゾート地なんだから、食事が終わったら大人達で夜の街に繰り出しましょう。面倒くさい話はお酒がないと、でしょ?」
ルーシーとしては二人の間で何があったのか気にはなる。が、あまり面白そうな話ではないし、大人たちの話に興味はなかった。
だが、ソフィアと血の繋がりがあるというのは少し嬉しい情報だった。
2
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染に裏切られたので協力者を得て復讐(イチャイチャ)しています。
猫都299
青春
坂上明には小学校から高校二年になった現在まで密かに片想いしていた人がいる。幼馴染の岸谷聡だ。親友の内巻晴菜とはそんな事も話せるくらい仲がよかった。そう思っていた。
ある日知った聡と晴菜の関係。
これは明が過去に募らせてしまった愚かなる純愛へ一矢報いる為、協力者と裏切り返す復讐(イチャイチャ)の物語である。
※2024年8月10日に完結しました! 応援ありがとうございました!(2024.8.10追記)
※小説家になろう、カクヨム、Nolaノベルにも投稿しています。
※主人公は常識的によくない事をしようとしていますので気になる方は読まずにブラウザバックをお願い致します。
※「キスの練習相手は〜」「幼馴染に裏切られたので〜」「ダブルラヴァーズ〜」「やり直しの人生では〜」等は同じ地方都市が舞台です。関連した人物も、たまに登場します。(2024.12.2追記)
※番外編追加中・更新は不定期です。(2025.1.30追記)←番外編も完結しました!(2025.9.11追記)
※【修正版】をベリーズカフェに投稿しています。Nolaノベルでは全話限定公開・修正中です。(2025.10.29追記)
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる