107 / 151
第七章 学園編3
第107話 二学期
しおりを挟む
「さーて、皆さん。夏休みは満喫したかなー。おやおやすっかり日焼けして、バカンスを満喫してきた子達がいますねー」
ルーシー達を見るイレーナ先生はちょっととげとげしかった。
真夏のグプタにいれば日焼けくらいはする。
それにしてもイレーナは随分と青白くなっている。不健康な生活をしていたのは否めない。
ソフィアはイレーナのジャケットについているキラキラと光るバッチを見ると。
「イレーナ先生! 助教授になられたのですね! おめでとうございます、最年少記録ですわね!」
それと同時にクラス中から拍手が沸き起こる。
この時点でイレーナの負の感情は浄化された。
「え? そうかしら? あはは、まあ頑張っちゃったしねー。でも先生は皆さんの先生ですから。うふふ。ちょっとー、おだてたって何にもでないわよー」
「……イレーナ先生、ちょろい。ちょっと心配。助教授ってマーガレット先生のパシリになるだけなのに。でもイレーナ先生はいい先生。私は応援したい」
「セシリアさん、さすがにそれは言い過ぎですわ。たしかにちょろいのは心配ですが……」
ルーシーにとっては親戚のお姉さんの立場であるイレーナの出世に心から喜ぶ。
「うむ、イレーナさんは優しい良い人だ。ちょろいなんてとんでもない。
そう言えばセシリアさん、セバスティアーナさんが家に戻ったんでしょ? 週末は帰るの?」
ソフィアですら聞きにくいセシリアの家庭の事情を、ルーシーは自然体で聞く。
「ううん、私は寮にいるよ。だって、両親のそんな場面に出くわしたくないし。きっと、近いうちに弟か妹が出来た報告がくるに違いない」
「ええ? さすがにそれはないんじゃないかしら……」
だがソフィアとて、それは否定できなかった。
学生とはいえ子供が一人、親元を巣立ったとき、なぜかそういう現象があるという話は稀に聞くのだ。
自分の両親ですら怪しいだろう。
ソフィアがそう考えを巡らしていると、ルーシーがセシリアに答える。
「ふふ、セシリアさんは正しい。現実にそれはあるんです。昨日のレオからの手紙で、来年、私に新たな弟か妹が産まれると連絡がありました……」
「まあ、ルーシーさん、おめでたいわ! 来年の帰省が楽しみですわね」
ガヤガヤとしていた教室内は、褒められすぎてすっかり上機嫌になったイレーナが落ち着きを取り戻すと静かになった。
「さて、皆さん。二学期からは中級魔法の習得に移ります。
そう、中級魔法。これは人を殺せる程の威力があります。皆さんも一学期の授業で理解したはずです。
しっかり基礎を身に付けたあなた達は、くだらない見栄とか自尊心で同級生を傷付けないように。
これはだけは肝に銘じなさい、死んだ人間はどんな魔法でも生き返らせることはできないと」
ルーシーはイレーナの言葉に息を呑む。
初級魔法は遊び感覚で覚えれたが。これから学ぶ魔法は本気の攻撃魔法。
いよいよ一人前の魔法使いになるのだと、改めて気を引き締めるのだった。
「では、ここで皆さんには班分けをしてもらいます。実は班の組み合わせは先生の方で事前に決めさせてもらいました。
各々の習熟度に合わせて、最もいいバランスにしてるはずだから。
結局、独学では限界があるし、中級魔法の習得もお互いに助け合う必要があるってことね。
もし組み合わせに異議があったら先生にこっそり相談してもらってもいいわ」
イレーナの組み分けはこうだ。
魔法の才能のある上級者、それに順ずる中級者。そして低級者を一組の班にするのだ。
もっともクラスの仲が悪ければ途端に破綻する組み合わせだが、今のところクラスの仲は良い。
最上位のソフィアや、次点のニコラスを中心に貴族の派閥争いは無い。お互いに尊重し合い助け合う空気ができている。
何気に、この良好な空気を作り出したのはルーシーだが当人はその自覚はなかった。
「では、しばらくの間はこの組み分けで行きましょう。実技の時は必ず同じメンバーでお互いに注意し合い。事故を起こさないように頑張りましょう」
こうして三人一組の班が出来る。
「むー。私の班はニコラス殿下と一緒か……。でもリリアナさんと一緒なら心強い」
ニコラスは班分けの後もルーシーの顔を見ることはなかった。
わざと避けているようにも思える。
ルーシーは思った。
ソフィアに次いで魔法の才能のあるニコラスと最底辺の自分が同じ班になってしまったことに不服なのだろうと。
また攻撃的な態度になるのは面倒くさいと思ったが、今のところは無かった。
だが、ニコラスはルーシーと目を合わすことはなく、終始ぎこちない態度であった。
それはそれとして、リリアナと同じ班なのは心強かった。
ルーシーにはリリアナが必要不可欠だ。
どうにも魔法書の読解力が低いルーシーにとってリリアナの教え方は相性が良かったのだ。
ちなみにソフィアの班は感覚で理解できる天才肌の生徒達ばかりであった。
ソフィアは人に教えるのは苦手だが、そのカリスマ性はそれに順ずる秀才たちの目標であるのだ。
つまり、イレーナが教えなくても勝手に伸びていく。そういう生徒達はソフィアに任せることにしたのだ。
ズルではない。やがてソフィアにも教師になってほしいという思いが半分ほどあったのだ。
ルーシー達を見るイレーナ先生はちょっととげとげしかった。
真夏のグプタにいれば日焼けくらいはする。
それにしてもイレーナは随分と青白くなっている。不健康な生活をしていたのは否めない。
ソフィアはイレーナのジャケットについているキラキラと光るバッチを見ると。
「イレーナ先生! 助教授になられたのですね! おめでとうございます、最年少記録ですわね!」
それと同時にクラス中から拍手が沸き起こる。
この時点でイレーナの負の感情は浄化された。
「え? そうかしら? あはは、まあ頑張っちゃったしねー。でも先生は皆さんの先生ですから。うふふ。ちょっとー、おだてたって何にもでないわよー」
「……イレーナ先生、ちょろい。ちょっと心配。助教授ってマーガレット先生のパシリになるだけなのに。でもイレーナ先生はいい先生。私は応援したい」
「セシリアさん、さすがにそれは言い過ぎですわ。たしかにちょろいのは心配ですが……」
ルーシーにとっては親戚のお姉さんの立場であるイレーナの出世に心から喜ぶ。
「うむ、イレーナさんは優しい良い人だ。ちょろいなんてとんでもない。
そう言えばセシリアさん、セバスティアーナさんが家に戻ったんでしょ? 週末は帰るの?」
ソフィアですら聞きにくいセシリアの家庭の事情を、ルーシーは自然体で聞く。
「ううん、私は寮にいるよ。だって、両親のそんな場面に出くわしたくないし。きっと、近いうちに弟か妹が出来た報告がくるに違いない」
「ええ? さすがにそれはないんじゃないかしら……」
だがソフィアとて、それは否定できなかった。
学生とはいえ子供が一人、親元を巣立ったとき、なぜかそういう現象があるという話は稀に聞くのだ。
自分の両親ですら怪しいだろう。
ソフィアがそう考えを巡らしていると、ルーシーがセシリアに答える。
「ふふ、セシリアさんは正しい。現実にそれはあるんです。昨日のレオからの手紙で、来年、私に新たな弟か妹が産まれると連絡がありました……」
「まあ、ルーシーさん、おめでたいわ! 来年の帰省が楽しみですわね」
ガヤガヤとしていた教室内は、褒められすぎてすっかり上機嫌になったイレーナが落ち着きを取り戻すと静かになった。
「さて、皆さん。二学期からは中級魔法の習得に移ります。
そう、中級魔法。これは人を殺せる程の威力があります。皆さんも一学期の授業で理解したはずです。
しっかり基礎を身に付けたあなた達は、くだらない見栄とか自尊心で同級生を傷付けないように。
これはだけは肝に銘じなさい、死んだ人間はどんな魔法でも生き返らせることはできないと」
ルーシーはイレーナの言葉に息を呑む。
初級魔法は遊び感覚で覚えれたが。これから学ぶ魔法は本気の攻撃魔法。
いよいよ一人前の魔法使いになるのだと、改めて気を引き締めるのだった。
「では、ここで皆さんには班分けをしてもらいます。実は班の組み合わせは先生の方で事前に決めさせてもらいました。
各々の習熟度に合わせて、最もいいバランスにしてるはずだから。
結局、独学では限界があるし、中級魔法の習得もお互いに助け合う必要があるってことね。
もし組み合わせに異議があったら先生にこっそり相談してもらってもいいわ」
イレーナの組み分けはこうだ。
魔法の才能のある上級者、それに順ずる中級者。そして低級者を一組の班にするのだ。
もっともクラスの仲が悪ければ途端に破綻する組み合わせだが、今のところクラスの仲は良い。
最上位のソフィアや、次点のニコラスを中心に貴族の派閥争いは無い。お互いに尊重し合い助け合う空気ができている。
何気に、この良好な空気を作り出したのはルーシーだが当人はその自覚はなかった。
「では、しばらくの間はこの組み分けで行きましょう。実技の時は必ず同じメンバーでお互いに注意し合い。事故を起こさないように頑張りましょう」
こうして三人一組の班が出来る。
「むー。私の班はニコラス殿下と一緒か……。でもリリアナさんと一緒なら心強い」
ニコラスは班分けの後もルーシーの顔を見ることはなかった。
わざと避けているようにも思える。
ルーシーは思った。
ソフィアに次いで魔法の才能のあるニコラスと最底辺の自分が同じ班になってしまったことに不服なのだろうと。
また攻撃的な態度になるのは面倒くさいと思ったが、今のところは無かった。
だが、ニコラスはルーシーと目を合わすことはなく、終始ぎこちない態度であった。
それはそれとして、リリアナと同じ班なのは心強かった。
ルーシーにはリリアナが必要不可欠だ。
どうにも魔法書の読解力が低いルーシーにとってリリアナの教え方は相性が良かったのだ。
ちなみにソフィアの班は感覚で理解できる天才肌の生徒達ばかりであった。
ソフィアは人に教えるのは苦手だが、そのカリスマ性はそれに順ずる秀才たちの目標であるのだ。
つまり、イレーナが教えなくても勝手に伸びていく。そういう生徒達はソフィアに任せることにしたのだ。
ズルではない。やがてソフィアにも教師になってほしいという思いが半分ほどあったのだ。
2
あなたにおすすめの小説
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。
敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。
結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。
だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。
「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」
謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。
少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。
これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。
【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」
公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。
忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。
「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」
冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。
彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。
一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。
これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。
転生幼子は生きのびたい
えぞぎんぎつね
ファンタジー
大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。
だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。
神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。
たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。
一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。
※ネオページ、カクヨムにも掲載しています
勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます
水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。
勇者、聖女、剣聖――
華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。
【戦術構築サポートAI】
【アンドロイド工廠】
【兵器保管庫】
【兵站生成モジュール】
【拠点構築システム】
【個体強化カスタマイズ】
王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。
だが――
この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。
最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。
識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。
「今日からお前はレイナだ」
これは、勇者ではない男が、
メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。
屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、
趣味全開で異世界を生きていく。
魔王とはいずれ戦うことになるだろう。
だが今は――
まずは冒険者登録からだ。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
異世界カフェ食堂で皿洗いをしますと思ったら日本料理を創造する力が与えられていた!(もふもふ聖獣猫のモフにゃーと楽しく日本料理を創造します)
なかじまあゆこ
ファンタジー
可愛いもふもふ達とアリナは異世界でスローライフをします。
異世界召喚された安莉奈は幼女の姿になっていた。神様に与えられた能力を使い眷属聖獣猫モフにゃーや魔獣のライオン魔獣鳥に魔獣の日焼けとお料理を創造します!
熊元安莉奈(くまもとありな)は黄色のバスに乗せられ異世界召喚された。 そして、なぜだか幼女の姿になっていた。しかも、日本の地球人だったことを忘れていたのだ。 優しいモリーナ夫妻に養子として引き取れた安莉奈はアリナになった。 モリーナ夫妻はカフェ食堂を経営していたが繁盛しておらず貧乏だった。料理が出来ないアリナはお皿洗いなどのお手伝いを小さな体ながらしていたのだけど。 神様から日本料理を創造する力が与えられていた! その力を使うと。
地球では辛い生活を送っていた安莉奈が異世界ではアリナとしてお父さんに激愛され幸せに生きている。
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる