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第七章 学園編3
第122話 ホーカムVS無名仙人
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激しく雪が降る街には人々はまばらにしかおらず、辺りは静寂が包んでいた。
そんな中をホーカムは急ぎ歩きで街から外へ向かう。
ろくに荷物をまとめる準備すらできなかった彼は黒いローブを被りひたすら歩く。
ホーカムは追い詰められていた。自分の経営する商店に怪しい老人が訪れたときから自分は既にマークされていたのだ。
なぜバレたのか分からない。それに犯罪歴もない。捕まっても法的には何も問題はないはず。
だがあの老人には違和感があった。
あくまで勘であるが、それが自分を裏切ったことはない。
だが今回は遅かった。
ヘイズから忠告があったとはいえ、これほどまでに手ごわい相手だと思わなかったのだ。
そして、油断していたのも事実だ。今ではカルルク帝国では信用を得ている、夜道で襲われることなどないとたかをくくっていたのだ。
ホーカムの目の前にはいつの間にか例の老人が立っていた。
「さてと、お主には残念じゃが、おとなしくお縄についてもらうぞ? 本来なら黒幕をおびき寄せるのに利用しようとしたがのう。おそらく、あやつはもう出てこんじゃろうしな……。
ふ、しかし闇の執行官とはなかなか面白い存在じゃのう、逆に同情するぞい。なぜそこまでルシウスに固執しするのじゃ? あれはお主等の手に負える相手じゃないぞ? せいぜい使い捨てにされるだけじゃて」
「おのれー、我らの事を知りもせずに、よくも言ってくれる。貴様、名を名乗れ! 我はエフタル王国、闇の執行官ホーカム。正々堂々と決闘を申し込む!」
「ふむ、よいぞ。だがのう、せっかく名乗った相手に失礼だが儂には名前が無いでの。儂を知る者たちからは無名仙人と呼ばれておる。まあモガミの里のニンジャーだったこともあるかの、もっとも現役から離れてずいぶん経つがの」
ホーカムは絶句する。無名仙人……。
名前は無いが同時に同業者の間で最もその名を知られている存在。
エフタル闇の執行官はエリート暗殺部隊だ、その名を知らない訳が無い。
「くそ! ヘイズ様。せめてその情報は欲しかったですな。前言撤回。勝てぬ相手に命を懸けるのは愚か者のすること。グレーターテレポーテーション!」
ホーカムは一か八かで街の外壁の外へ脱出をはかる。
グレーターテレポーテーションは成功し城壁の外へ出ることが出来た。
周囲を見回すホーカム。
だが、当然のように無名仙人はいた。
「ふ、ふふふ。私はここまでですか……」
「いや、大人しく自首すれば殺さんぞい? まあ、儂は裁判とかはよう知らんから、皇子の殺人未遂及び国家反逆罪で死刑になったら、その時はすまんがのう」
万事休すの状況。
逃げ道はない。
ここでようやくホーカムは落ち着きを取り戻す。いや、ただのあきらめともいえるだろう。
「ふ、失礼した。私にもようやく覚悟ができました。これでも闇の執行官、暗殺部隊のトップでした。
噂に聞いたモガミの暗殺者の伝説。ぜひ確かめてみたいですな」
ふぅっと軽く溜息をつきながら、無名仙人は落ちていたスプーンほどの長さの枯れ枝を拾う。
そしてそれがまるで剣であるかのように正面に構える。
「何のつもりだ? そんな棒きれで……」
「うん? お主の覚悟に答えてやるつもりだが? さあ、かかってこい。
これ以上のハンデは無理だしな、素手だとお主を殺してしまうかもしれんし、さすがに殺しはババア共に迷惑がかかるでのう」
「――っ! 馬鹿にするなよ! 極大死霊魔法。最終戦争、第二章、第三幕『亡者の処刑人』!」
◇◇◇
セバスティアーナはうつぶせに倒れている男と、その前に立つ無名仙人を見つける。
「師匠。もう終わりましたか。遅くなり申し訳ありません。あの師匠、……殺していませんよね?」
「もちろんじゃ、小枝で人は死なんよ」
無名仙人は手に持った小枝で倒れているホーカムをつんつんと突く。
「まあ、あらかた拷問は済ませておるでな、聞けることは全て聞いたぞい」
セバスティアーナはごくりと唾を飲み込む。
「……拷問ですか。どこまでやったのですか?」
「梅、いや竹あたりかのう、案外強情だったから松も試そうとしたが、その前に音を上げおったわい」
「敵ながら同情を禁じ得ませんね。ではこの男は皇室騎士団に引き渡すとしましょうか」
「うむ、お主に任せる。それに儂はこの街から消えるとする。
儂がおる限り奴は何年でも潜り続けるだろうて。
しかし、ヘイズという男、なかなかに狡猾よ。奴は人の魂を喰らい、奪った本人に成りすますことが出来るようじゃ。気を付けてかかれよ」
こうして無名仙人はホーカムから聞き出した情報をセバスティアーナに伝えると。
彼はそのままカルルク帝国首都ベラサグンから姿を消した。
-----第七章完-----
そんな中をホーカムは急ぎ歩きで街から外へ向かう。
ろくに荷物をまとめる準備すらできなかった彼は黒いローブを被りひたすら歩く。
ホーカムは追い詰められていた。自分の経営する商店に怪しい老人が訪れたときから自分は既にマークされていたのだ。
なぜバレたのか分からない。それに犯罪歴もない。捕まっても法的には何も問題はないはず。
だがあの老人には違和感があった。
あくまで勘であるが、それが自分を裏切ったことはない。
だが今回は遅かった。
ヘイズから忠告があったとはいえ、これほどまでに手ごわい相手だと思わなかったのだ。
そして、油断していたのも事実だ。今ではカルルク帝国では信用を得ている、夜道で襲われることなどないとたかをくくっていたのだ。
ホーカムの目の前にはいつの間にか例の老人が立っていた。
「さてと、お主には残念じゃが、おとなしくお縄についてもらうぞ? 本来なら黒幕をおびき寄せるのに利用しようとしたがのう。おそらく、あやつはもう出てこんじゃろうしな……。
ふ、しかし闇の執行官とはなかなか面白い存在じゃのう、逆に同情するぞい。なぜそこまでルシウスに固執しするのじゃ? あれはお主等の手に負える相手じゃないぞ? せいぜい使い捨てにされるだけじゃて」
「おのれー、我らの事を知りもせずに、よくも言ってくれる。貴様、名を名乗れ! 我はエフタル王国、闇の執行官ホーカム。正々堂々と決闘を申し込む!」
「ふむ、よいぞ。だがのう、せっかく名乗った相手に失礼だが儂には名前が無いでの。儂を知る者たちからは無名仙人と呼ばれておる。まあモガミの里のニンジャーだったこともあるかの、もっとも現役から離れてずいぶん経つがの」
ホーカムは絶句する。無名仙人……。
名前は無いが同時に同業者の間で最もその名を知られている存在。
エフタル闇の執行官はエリート暗殺部隊だ、その名を知らない訳が無い。
「くそ! ヘイズ様。せめてその情報は欲しかったですな。前言撤回。勝てぬ相手に命を懸けるのは愚か者のすること。グレーターテレポーテーション!」
ホーカムは一か八かで街の外壁の外へ脱出をはかる。
グレーターテレポーテーションは成功し城壁の外へ出ることが出来た。
周囲を見回すホーカム。
だが、当然のように無名仙人はいた。
「ふ、ふふふ。私はここまでですか……」
「いや、大人しく自首すれば殺さんぞい? まあ、儂は裁判とかはよう知らんから、皇子の殺人未遂及び国家反逆罪で死刑になったら、その時はすまんがのう」
万事休すの状況。
逃げ道はない。
ここでようやくホーカムは落ち着きを取り戻す。いや、ただのあきらめともいえるだろう。
「ふ、失礼した。私にもようやく覚悟ができました。これでも闇の執行官、暗殺部隊のトップでした。
噂に聞いたモガミの暗殺者の伝説。ぜひ確かめてみたいですな」
ふぅっと軽く溜息をつきながら、無名仙人は落ちていたスプーンほどの長さの枯れ枝を拾う。
そしてそれがまるで剣であるかのように正面に構える。
「何のつもりだ? そんな棒きれで……」
「うん? お主の覚悟に答えてやるつもりだが? さあ、かかってこい。
これ以上のハンデは無理だしな、素手だとお主を殺してしまうかもしれんし、さすがに殺しはババア共に迷惑がかかるでのう」
「――っ! 馬鹿にするなよ! 極大死霊魔法。最終戦争、第二章、第三幕『亡者の処刑人』!」
◇◇◇
セバスティアーナはうつぶせに倒れている男と、その前に立つ無名仙人を見つける。
「師匠。もう終わりましたか。遅くなり申し訳ありません。あの師匠、……殺していませんよね?」
「もちろんじゃ、小枝で人は死なんよ」
無名仙人は手に持った小枝で倒れているホーカムをつんつんと突く。
「まあ、あらかた拷問は済ませておるでな、聞けることは全て聞いたぞい」
セバスティアーナはごくりと唾を飲み込む。
「……拷問ですか。どこまでやったのですか?」
「梅、いや竹あたりかのう、案外強情だったから松も試そうとしたが、その前に音を上げおったわい」
「敵ながら同情を禁じ得ませんね。ではこの男は皇室騎士団に引き渡すとしましょうか」
「うむ、お主に任せる。それに儂はこの街から消えるとする。
儂がおる限り奴は何年でも潜り続けるだろうて。
しかし、ヘイズという男、なかなかに狡猾よ。奴は人の魂を喰らい、奪った本人に成りすますことが出来るようじゃ。気を付けてかかれよ」
こうして無名仙人はホーカムから聞き出した情報をセバスティアーナに伝えると。
彼はそのままカルルク帝国首都ベラサグンから姿を消した。
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