魔法機械技師ルカ

神谷モロ

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第1話

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「ルカ様、そろそろ王城に報告に行かないと、王様に怒られますよ?」

「ああ、わかった、わかったよ、セバスちゃん。でも吾輩はあの、似合ってない髭のデブおやじには合いたくないのだ」

「そう言わずに、それにそんなこと他の方に聞かれたら首が飛んでしまいます。物理的に」

「物理はよい。筋肉だ、それに吾輩は決して王様が悪人だと言っておらん。ようは外見の問題だ。
 そう筋肉がないのだ、いや生物だから筋肉はあるが外見にそれが見えない、だから生物以下なのであーる」

「また、訳の分からないことを。そんなこといったら私も人間以下ではないですか?
 それにその変な眼鏡はなんですか。私の目を見て話してください。って、まさか以前言ってた透視の眼鏡ですか? 私の裸を許可なくみるなんて! いくらルカ様でもやっていい事と悪いことがあります」

「うーん、失敗したのだよ。徹夜明けに君の素っ裸でも拝んでやろうとおもってたんだが。
 失敗した、だが君のシルクの様なスベスベな肌の下に隠された鍛え抜かれた筋肉は良く見える。
 なるほど、これがモガミ流の忍術の訓練のたまものというやつかな? 君の師匠とはまた会って話がしたいところだ」

 モガミ流忍術とは、遠方より来訪したという、異国の忍者という職業の冒険者が使っていた不思議な技の総称であった。
 セバスちゃんこと、セバスティアーナはかの冒険者のもとで数年間の修行をしたことがある。元忍者でメイドなのだ。

「それにだ、忍術は間違いなく魔法だろ? つまり君も魔法使いだ。なのに君はこんなに筋肉がある、そのバランス感覚、あのデブ王様や貴族たちには死ぬまで理解できんだろうね」

「ルカ様は私の裸が見たかったけど、やりすぎて筋肉がみえてしまったと。そういう解釈でよろしいですか?」 

「うむ、その通り! セバスちゃんよ。女の子はバランスのよい柔らかな筋肉が魅力的なのだ。もちろん個人の感想であるぞ?
 それを踏まえて、あの王様はだらしない、贅肉だらけだ。
 男の筋肉は鋼鉄のようにガチガチでなければならん。もちろん個人の感想だ!」

「先程から何に対して予防線を貼っているのですか」

「いやー吾輩くらいの天才になるとだいたい分かるのだ。
 やつらは近い将来、個人的な性癖ですら、ガミガミ言うようになるぞ。
 貴族とは心まで贅肉を蓄えて、どんどん見境なく他人の心の食料を食い散らかしていくのだ」

「哲学的なお話ありがとうございます。では私の個人的な要望として、ルカ様にはお着替えをしていただけますでしょうか。
 髪型もしっかりと整えて、淑女としてたまには身だしなみを整えて外出していただけると幸いです」

「おいおい、セバスちゃん、それでは吾輩が淑女でないようだ。普段、吾輩の何を見ているのだ」

「はい、普段の私がお仕えするご主人様の外見でしょうか。なんで毎日同じ服なのか、どうして髪がぼさぼさのまま外出するのか。メイドとしての仕事を楽にしてくれるのはありがたいですが……。
 せめて鏡くらい見てください。徹夜するなとは申しませんが、せめてクマがあったらファンデーションを付けてください」

「馬鹿め、徹夜明けでそんなことできるか。それに研究がはかどってノリにのってるときに外見など気にする暇はない」

 ちなみに吾輩、ルカ・レスレクシオンは偉い。
 結構高めの爵位とかもらうくらいの、そうだったな、たしかこの間、辺境伯となったのだっけ。

 吾輩が魔法機械の理論とその試作品をいくらか王様や貴族たちに提供した功績らしい。

 我ながら天才である。まあ、水車や風車などを発明した過去の偉大な発明家達に比べればパクリだと言われても否定はしない。
 だがパクリおおいに結構、パクリだとしても、オリジナルを超えればよいのだ。

 吾輩と、これまでの天才達との違いは、魔法の有無だ、だから私は先人の発明品に魔法技術を加えてアレンジを繰り返した。
 魔法溶鉱炉なんかは自他ともに認める素晴らしい発明だと思う。
 あれで平民たちにも鉄製の道具が安価に普及したのだ。もちろん今研究している。透視眼鏡もいたずら目的ではない。

 最近は貴族の暗殺事件が増えたからな。隠し武器を探すのに便利だと思ったんだが。今のところ筋肉探知機にしか使えん。

 ふむ、セバスちゃんの肉体美も堪能したし。これで数時間くらいはあのデブちん王様との謁見にも耐えれそうだ。

 透視眼鏡を外すと、いつもの美しい長い黒髪の忍者メイド、セバスティアーナがいた。

「さて、セバスちゃん、今日は久しぶりに着替えでも頼もうかの」
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