【完結】二度目の転生は一度目の転生で俺が作ったメイドロボットでしかも人妻だった件

神谷モロ

文字の大きさ
17 / 109
第一章

第17話 無反応砲

しおりを挟む
 最悪なデートだった。俺は回復魔法を彼女に施す。

 勇者の魔法レベルの完治の魔法を……。

 大げさかもしれないがひっかき傷一つを見ただけでも彼女は今日のことを思い出すだろう。
 それは可哀そうだし俺が嫌だ。

 彼女のドレスはボロボロに引き裂かれており、俺は現地で盗んだ……手に入れたテーブルクロスで彼女を包んでいる。

 俺はメイド服は着たままだったが外見は元通りにしておいた。

 黒髪三つ編みツインテールで、丸眼鏡のメイドは怖すぎると思ったのだ。


 彼女の邸宅に着くと、すぐに事態はシルビアさんの両親に知られることになった。

 俺はシルビアさんのそばにいたため詳細は知らないが。それはとても深刻な会議が行われていた。

 戦争とか去勢とかなかなかに物騒な単語は俺の耳にも聞こえてくるくらいには白熱していた。 
 
 とうぜん婚約は破棄だろう。伯爵家とは戦争になるかと思われたが。

 伯爵の両親はカールを廃嫡にした。しかも卒業後は庶民に落とすと言うことで決着はついた。


 しかしまあ、あまりに重い罪は今後、無敵の人を作ってしまう恐れもあるし。どこかで妥協すべきだろう。

 俺がある程度、現場で裁きを下したとご両親に言っておいたので。それなりの温情はあるはずである。

 詳細を話すとシルビアのパパは顔を青ざめていたが……。分かるよ、ひゅんとするよね。

 ママの方はニコニコしながら「それでは無反動砲ではなく無反応砲ですわね」と言っていた。

 うまい、座布団あげちゃう。



 まあ実際はカール氏は今後の行い次第で。廃嫡の取り消しなど。あるいは庶民への降格は免除することはできるだろう。


 しかしカール氏のパパはじつに手際がいい、不正入学疑惑もあるため火消しに走ったのだろうか。

 しかも公爵家に対する賠償はかなりの額だったそうだ。他の貴族の家々にも噂は広まっているだろうが、なかったことにしてやる的な感じで決着した。


 その辺は貴族様の付き合いがあるのだろう。伯爵家は評判がいいのだ。カール氏を除いて。アキレス腱というやつだろう。


 しかし心配なのはシルビアさんである。男性不信になってないだろうか、俺はそれだけが心配だった。

 シルビアさんのご両親の願いもあってしばらくは一緒に過ごすことにした。

 過ごすと言っても一緒に本を読んだり、お話したり、庭園を散歩したりといったところだ。公爵家は広いとはいっても何もしないとすぐに飽きてしまう。


 それでも、しばらくはシルビアさんの邸宅にお世話になっていた。公爵家の暮らしも大変満足だが俺の目的を忘れてはいけない。


 俺は学院の図書館にいきたいというと。


 シルビアさんは一緒に来るといった。ご両親は少し心配していたが、俺が一緒ということで了承した。

 こうして俺たちは二学期が始まる前に寮に戻ることになった。


「アールさん、私を助けてくれた時メイド服きてたわよね? あれもう一着あるかしら」

 おや、シルビアさんはメイド服をご所望のようだ。クローゼットから一着あたらしいメイド服を取り出して渡す。

 彼女は目の前でいきなり着替えだした。今着るんかい! まあ慣れた、最初は自分の着替えすらドキドキしたものだが。今では堂々としたものだ。
 
 そうして着替え終わったシルビアさんを見る。

 うーん、なんか違和感が……なんだろう。


 俺は首をかしげて考え込む仕草をする。普通ならお似合いですわ~というのがマナーだろうが、本当の友達なら正直に言わなければならない。

「どうかしら? ……その反応だと似合ってないのかしら」

「うん、なんか違和感、あ、そうだ、その髪型のせいだとおもう」

 貴族のお嬢様がメイドの格好をしている風にしか見えない、コスプレである。

 でも貴族の女性もメイドとして、より高貴な身分の貴族のメイドとして働くとは聞いたことがある。


 しかし、ツインドリルのメイドは流石にいないだろう。違和感の正体はツインドリルだ。これがなければよく似合っていてとても可愛い。

「なんだ、そうね、この髪型だとおかしいわよね、よかったそれなら簡単よ。明日もまた着たいから一着貸してくださいな」

 うん? まあ貸すくらいならいい。というかプレゼントしてもいい。三着は持ってきてるから。

「じゃあシルビア、私は図書館にいくから、またあとで」

 一緒に寮を出るとシルビアさんは街にいくと言って別れた。流石にその格好で外出はしないでと注意はしておいた。


 図書館にはバンデル先生がいた。この人はここに住んでるのだろうか。まあ好都合である。

 先生曰く、休みの日は自分の研究に没頭できるのではかどるのだそうだ。その通りだ、一日なにかに集中できるのはとてもいいことだ。

 俺も隠居時代はいろんなものを造ったものだ。この身体もそうだ。忘れてはいけない。俺はこの身体を元の持ち主に返す使命がある。


 しかしジャンクロード・バンデル先生。彼についてはいずれ調べる必要があるだろう。彼の魔法材料技術はこの世界の技術というよりかは。昔、俺が作った技術に似ている。

 単純に技術が進んだのだろうか、5000年の歴史があるのだからさすがに全部が勇者起源説はおこがましいか。この世界もやがて魔法機械の時代に行きつくだろう。

 それにネクロマンサーの家系というのも興味がある。同じモノづくりの同志としてこれから距離を縮めて信頼を勝ち取るのだ。

 チート能力に勝る力、それは人脈なのだ。と、元引きこもりの俺の長きにわたる人生の結論である。


 今日はなかなか成果があったなと満面の笑みで寮へ帰る。

 ……俺の部屋にだれかいる。


「お帰りなさいませご主人様」

 随分古典的なメイドさんがそこにいた。だれだお前は!

 ……いや、分かっている、シルビアさんだ。しかしだれだと言わざるおえない。

 髪が短い。そう俺と同じくらいの鎖骨に届くくらいの長さである。

 そこまでやるか、たしかにそれならメイドさんっぽい。しかも髪型を俺に寄せてきてるな。俺と同じストレートのセミロングであった。

 しかしバッサリ切りすぎだ、もうドリルが一巻きくらいしかできない。

 まるで失恋したみたいじゃないか。いや、したのか。しかも結構な事件として知ってる人は知ってる案件だ。


「……髪切った?」


 それしか言えなかった。


 しかし彼女はニコニコ顔だったので、特にこちらからは言うことは無い。当人がいいと思っているのだから尊重すべきなのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...