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現地の神に会う
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「ちょっとまったー! ここは異世界転生禁止の世界です! 貴女の様な異邦人は許しません!」
巨大ハムスターの丸焼きを食ってると、後から声が聞こえた。
やれやれ、異世界転生というワードが聞こえたぞ?
そんなメタ発言をするということは……さては神様だな。
肉を頬張りながら振り返ると、白いドレスを着た金髪の女性が立っている。
世界を覆いつくすほどの膨大な神力を感じる。
こいつがこの世界の主神といったところか。
それにしても男子が好きそうな感じの、いかにもな美人の女神さまが登場したものだ。
両手を腰に当て、仁王立ちしている。胸を強調するそのポーズ、あざといというのだ。
だが相手は神様、僕も神様。
食事中とはいえ、ここで挨拶しないのは無作法というもの……。
「ああ、ろうも、もくわ、もわみゆういれふ」
「ちょっと、口に物を入れたまま喋らないでよ。何言ってるかわからない」
ふむ、思考を読み取る感じの能力はないのか。
そもそも主神クラスの神にそんな力は必要ないが、一応かまを掛けてみたのだが。
肉を咀嚼し飲み込むと、僕は立ち上がり軽くお辞儀をする。そして改めて目の前の女神に話しかけた。
「どうも、僕はモガミ・ユーギといいます。異世界の神様で免停講習中の身です。よろしくお願いします」
僕がお辞儀をしたので。女神も姿勢を正し、お辞儀を返した。
「あ、ご丁寧にどうも、この世界の神、シャルロッテといいます。お見知りおきを。ところで貴女、異世界の神って言ったわね?
それにその格好……もしや、あなた地球の出身でしょ? 知ってるわ異世界転生といえば有名なあの国。あんた日本のアマテラ――」
「――ああ、そこまで、名前を言うと色々めんどくさいので。ちなみに僕はその副神であって、本人ではないから安心しなよ」
「そうなの、ところで、その副神様が何しに来たのかしら? 言っときますけど異世界チート無双とかそういうのは禁止ですからね!」
「安心したまえ、そんなことはしない。僕的にはそういうムーブは4000年前に通過しているさ。
それに僕は免停講習中の身。人として生きて、人間の営みを勉強するためにここに来たのさ。
世界征服とか、オラつく勇者ムーブとか、ざまぁとか興味はないよ。
ただ一生懸命生きて死ぬ。それだけだよ」
だが僕は一瞬『地球を追放された元神様、異世界で頑張ります』という、いかにもな異世界転生もののタイトルを思いついてしまった。
ある意味追放ものに該当するのだろうか。まあ、そんなことはどうでもいいか。
とりあえず、この世界を揺るがすほどのことはしないし、するつもりはないのだ。
シャルロッテという女神は少し思考を巡らせたあと、僕の目を見た。
一瞬、僕は丸裸にされたような感覚を覚えた。ああ、能力を探られたか。
「分かりました。見たところ魔力も筋力も人の範疇を超えていないようだし。この世界での滞在は許可します。それに自ら名を名乗った神の言葉は信じますよ」
「信じてくれて助かるよ、仮に僕が変なことすると、主神様に怒られちゃうからね。
……ところでシャルロッテ君よ、相談なのだが、僕のこの格好はよくない。
異世界の神である君が見て、これが日本の衣装だと特定できたということは確実にこの世界では僕は目立つだろう」
「たしかに目立つわね。それに、その腋丸出しの格好。間違いなく暴漢に襲われるわ」
「だろうね、僕は美人だからね。そこでだ、シャルロッテ君。現地服を用意してくれないかね? もちろんタダでとは言わない。
お礼に今着ているこの服をプレゼントしようじゃないか。おそらく我が主神様の神力で作られた由緒正しい巫女服だから交換条件としては釣り合うだろう」
「そうね、それなら別に私が異世界人にギフトをしたことにはならないし、オッケーよ。どんな服がご所望かしら?」
いろいろ考えたが。この世界標準の衣服を知らなかった。シャルロッテの衣装から察するにヨーロッパ風のファンタジー世界なのだというのは予想できるが。
ここはシャルロッテに丸投げすることにした。
「お任せするよ。目立たない格好でたのむ、好みで言えば黒色がいいかな、全身黒ずくめの……」
「それ目立つわよ。そんな恰好してうろついたら暗殺者と思われるわ」
「暗殺者か……そうだな忍者っぽいしそれでお願い」
「……忍者が何なのか分かんないけど却下です。それに私のセンス的にそんなのは有り得ません。色も私が決めさせていただきます」
「まあ、文句はないよ。僕は何を着ても似合うからこまっちゃうよ、あははは」
「まったく、調子のいい神だこと。……さあ、出来たわ。一般的な平民の着ている素材の色を生かした普通の服よ、これが一番目立たないわ」
僕はシャルロッテの神力によって生み出された衣服を受け取る。
「うーん、まさに村人Aって感じだね。いいよ、清潔な服なら何でもいい」
「当然です、これには神力が宿っていて消臭効果に加え、何回洗濯してもほつれない能力が備わっています。
洗濯はこまめにしてくださいね。消臭効果があるとはいえ不潔には変りませんから」
「おっけー、じゃあ、僕の着てる巫女服を渡すとしよう。
巨大ハムスターの爪で引っ掛かれても破れなかったし丈夫なことはたしかだ。
ちなみに能力や用途は不明。主神様の性格からしてコスプレ用だと思うよ。まあ、丸洗いしてもオーケーな能力じゃないかな?」
「ほんと? やったー! 私も着てみたかったのよ腋だし巫女服! それに丸洗い出来るんなら毎日着てもいいじゃない。
でも、さすがに平民服とはつり合いが取れないし、せっかくだからこの世界の情報を教えてあげるわ、なんでも聞いてちょうだい」
「なんでもって……いや、それはいいよ。自分の目で確かめるさ。せっかくだしノーヒントの旅も面白いかも。じゃあね、女神シャルロッテ。いつかまた会おう」
こうして、モガミ・ユーギは当てのない旅に出るのだった。
巨大ハムスターの丸焼きを食ってると、後から声が聞こえた。
やれやれ、異世界転生というワードが聞こえたぞ?
そんなメタ発言をするということは……さては神様だな。
肉を頬張りながら振り返ると、白いドレスを着た金髪の女性が立っている。
世界を覆いつくすほどの膨大な神力を感じる。
こいつがこの世界の主神といったところか。
それにしても男子が好きそうな感じの、いかにもな美人の女神さまが登場したものだ。
両手を腰に当て、仁王立ちしている。胸を強調するそのポーズ、あざといというのだ。
だが相手は神様、僕も神様。
食事中とはいえ、ここで挨拶しないのは無作法というもの……。
「ああ、ろうも、もくわ、もわみゆういれふ」
「ちょっと、口に物を入れたまま喋らないでよ。何言ってるかわからない」
ふむ、思考を読み取る感じの能力はないのか。
そもそも主神クラスの神にそんな力は必要ないが、一応かまを掛けてみたのだが。
肉を咀嚼し飲み込むと、僕は立ち上がり軽くお辞儀をする。そして改めて目の前の女神に話しかけた。
「どうも、僕はモガミ・ユーギといいます。異世界の神様で免停講習中の身です。よろしくお願いします」
僕がお辞儀をしたので。女神も姿勢を正し、お辞儀を返した。
「あ、ご丁寧にどうも、この世界の神、シャルロッテといいます。お見知りおきを。ところで貴女、異世界の神って言ったわね?
それにその格好……もしや、あなた地球の出身でしょ? 知ってるわ異世界転生といえば有名なあの国。あんた日本のアマテラ――」
「――ああ、そこまで、名前を言うと色々めんどくさいので。ちなみに僕はその副神であって、本人ではないから安心しなよ」
「そうなの、ところで、その副神様が何しに来たのかしら? 言っときますけど異世界チート無双とかそういうのは禁止ですからね!」
「安心したまえ、そんなことはしない。僕的にはそういうムーブは4000年前に通過しているさ。
それに僕は免停講習中の身。人として生きて、人間の営みを勉強するためにここに来たのさ。
世界征服とか、オラつく勇者ムーブとか、ざまぁとか興味はないよ。
ただ一生懸命生きて死ぬ。それだけだよ」
だが僕は一瞬『地球を追放された元神様、異世界で頑張ります』という、いかにもな異世界転生もののタイトルを思いついてしまった。
ある意味追放ものに該当するのだろうか。まあ、そんなことはどうでもいいか。
とりあえず、この世界を揺るがすほどのことはしないし、するつもりはないのだ。
シャルロッテという女神は少し思考を巡らせたあと、僕の目を見た。
一瞬、僕は丸裸にされたような感覚を覚えた。ああ、能力を探られたか。
「分かりました。見たところ魔力も筋力も人の範疇を超えていないようだし。この世界での滞在は許可します。それに自ら名を名乗った神の言葉は信じますよ」
「信じてくれて助かるよ、仮に僕が変なことすると、主神様に怒られちゃうからね。
……ところでシャルロッテ君よ、相談なのだが、僕のこの格好はよくない。
異世界の神である君が見て、これが日本の衣装だと特定できたということは確実にこの世界では僕は目立つだろう」
「たしかに目立つわね。それに、その腋丸出しの格好。間違いなく暴漢に襲われるわ」
「だろうね、僕は美人だからね。そこでだ、シャルロッテ君。現地服を用意してくれないかね? もちろんタダでとは言わない。
お礼に今着ているこの服をプレゼントしようじゃないか。おそらく我が主神様の神力で作られた由緒正しい巫女服だから交換条件としては釣り合うだろう」
「そうね、それなら別に私が異世界人にギフトをしたことにはならないし、オッケーよ。どんな服がご所望かしら?」
いろいろ考えたが。この世界標準の衣服を知らなかった。シャルロッテの衣装から察するにヨーロッパ風のファンタジー世界なのだというのは予想できるが。
ここはシャルロッテに丸投げすることにした。
「お任せするよ。目立たない格好でたのむ、好みで言えば黒色がいいかな、全身黒ずくめの……」
「それ目立つわよ。そんな恰好してうろついたら暗殺者と思われるわ」
「暗殺者か……そうだな忍者っぽいしそれでお願い」
「……忍者が何なのか分かんないけど却下です。それに私のセンス的にそんなのは有り得ません。色も私が決めさせていただきます」
「まあ、文句はないよ。僕は何を着ても似合うからこまっちゃうよ、あははは」
「まったく、調子のいい神だこと。……さあ、出来たわ。一般的な平民の着ている素材の色を生かした普通の服よ、これが一番目立たないわ」
僕はシャルロッテの神力によって生み出された衣服を受け取る。
「うーん、まさに村人Aって感じだね。いいよ、清潔な服なら何でもいい」
「当然です、これには神力が宿っていて消臭効果に加え、何回洗濯してもほつれない能力が備わっています。
洗濯はこまめにしてくださいね。消臭効果があるとはいえ不潔には変りませんから」
「おっけー、じゃあ、僕の着てる巫女服を渡すとしよう。
巨大ハムスターの爪で引っ掛かれても破れなかったし丈夫なことはたしかだ。
ちなみに能力や用途は不明。主神様の性格からしてコスプレ用だと思うよ。まあ、丸洗いしてもオーケーな能力じゃないかな?」
「ほんと? やったー! 私も着てみたかったのよ腋だし巫女服! それに丸洗い出来るんなら毎日着てもいいじゃない。
でも、さすがに平民服とはつり合いが取れないし、せっかくだからこの世界の情報を教えてあげるわ、なんでも聞いてちょうだい」
「なんでもって……いや、それはいいよ。自分の目で確かめるさ。せっかくだしノーヒントの旅も面白いかも。じゃあね、女神シャルロッテ。いつかまた会おう」
こうして、モガミ・ユーギは当てのない旅に出るのだった。
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