育児記録

キットキットストロベリー

文字の大きさ
2 / 4
リトル・ピーポー

魔法の呪文

しおりを挟む
 ラグドールのクレム氏は、追いかけようとすると「うぷぷぷぷぷ…」と喋る。
 多分、メイビー、本当は「ぅクゥー」と喋りたいのだと思う。だけど、こちらには微笑んでいるようにしか受け取れないのである。ちなみに、「うぷぷぷぷぷ…」と言って追いかけると逃げる。互換性がないようである。

 若殿の場合、彼は寡黙なヒトであるからして、べたべた触る時に「ぅんむぅ~?」と困惑げに喋るのが印象的である。
 若殿の毛並みはシルキー、地肌が見えないボリュームがある。しかし彼の性格は付かず離れずを好むようで、べたべた触るのを、ぐにょんぐにょんと体を曲げて避けるのである。その柔らかさは温かい飴細工を思わせる。骨太の筋肉質でありながら、とてもしなやかだ。
 しかしながら、彼も触るのを極端に嫌がるようになってしまった。クレム氏のように噛み付いたり吠えたりはしないあたり、温厚な性格なのだと思われる。ただし、彼は大食漢であり、食べ物の事となるとヒトが変わる。

 我々の間での共通の合図は「はっ…」と息を飲む事である。大食漢の若殿は大抵すぐに気が付く。姫殿も学習してきた。クレム氏は、論外である。
 チキンスープ味のササミを買ってきて、あるいは姫殿のご指定のニャンズ用の牛乳を買ってきて、「はっ…」とする。すぐに若殿のオレンジの目が丸くなる。
 なお、姫殿、若殿、クレム氏という順番でご馳走は振る舞われる。気難しい、警戒心の強い姫殿が一番最初だ。これは姫殿が一週間早く家に来たからであり、体格とは関係がない。
 悪戯心で、何もないのに「はっ…」とやってみたりもする。姫殿がコロッと騙されてベッドにやって来たりするので、持ち上げて(とても軽い)匂いを嗅いだりする。すると姫殿は「にゃー」と普通に嫌がる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

リアルメイドドール

廣瀬純七
SF
リアルなメイドドールが届いた西山健太の不思議な共同生活の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

処理中です...