3×歳(アラフォー)、奔放。

まる

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本編

奪還5。

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「散歩って、ここなの?」

雪妃は近付くにつれ怪訝としていたが、紺碧の建物を前に遂に口から溢す。
先日アルフォンスにも散歩だと連れ出された、中枢の少将を捕らえた高い建物だった。
美貌の伸ばす蛇のような金髪を思い出して苦い表情になる。よもや中には入るまいと思っていたが、守ノ内の足は止まらなかった。

「ちょっと、お兄さん。斬るなと言うに」

道中、採掘に励む獣を容赦なくも斬り捨てた時と同様に、守衛の昆虫然とした獣も煙と化す。一刀両断だった。

「良いのかな、好きにしろとは言われてたけどさあ」

後に続いていた虹飛と月桂を不安な顔で振り返る。彼らもまた、紫庵より守ノ内には従うようにと命じられ、不本意ながらも黙認していた。
聖女の後方につくや否や跳んだ中枢の中佐の殺気は、すでにぶつけられていた。
仲良くしてと窘める声がなければ、自分たちもこれと同様に、煙を燻らせ重油のような溜まりに沈んでいたはずだった。

「代わりは幾らでも居る。紫庵様もこの男の凶行はご存知であろう」

それでも月桂は肉食獣の顔を深く顰める。
黒のサマーニットにスキニーパンツの黒尽くめの姿は、さながら闇に蠢く暗殺者のようだった。
その手際の良さに背の羽を虹飛は震わせた。人を凌駕する存在として造られた己よりも、更に上を行く人間が創造主の他に居る現実は簡単に飲み込めなかった。

「強きに従うは自然の摂理よな。あの方はただ恐ろしい」
「そう?容赦ないけど、ただの呑気な兄ちゃんだよ」

雪妃は苦笑して煙の脇を抜けた。守衛の任についていた獣の塊へと手を合わせ、開かれる扉に入った。

「地下です?気配が掴みにくいな」
「白服のお兄さんなら、地下に居たよ」
「そうですか。本当にもう手遅れなんですね」

引かれる手を離そうとして雪妃は思い止まる。地下へと降りる階段から生臭さは届いていた。不穏さをひしひしと感じて、逆に守ノ内の手を握りしめた。

「大丈夫ですよ、私が居ますからね」

にこりとして見下ろす呑気な顔。
髪に口付けられても唸る事すら忘れて、雪妃は守ノ内の腕を掴んだ。不快な臭気は知らないものだが、不安を煽るには十分だった。

「食事は与えていたと昨晩先生には聞きましたが、喰い散らかしてないと有難いですね」
「うう…そうなのか」
「戻ります?無理して見に行くものでもないですし」

ぴたりと足を止め、守ノ内は開かれている扉を怪訝と見遣る。そうだね、と頷いた雪妃は、珍しくも顔を顰めた気楽な男の表情に眉を寄せた。

「どしたの?何かヤバいの居る?」
「ええ。困りましたね、何で居るのか」
「よし、戻ろう。早々に」

この男が困るくらいだ、きっととんでもないのが居るのだろうと雪妃は守ノ内の腕を引っ張った。
後方で立ち尽くす獣人ふたりもまた、濃い怯えの色を浮かべている。確証を持って、雪妃は動かない腕を更に強く引いた。

「おおい、勝永さんよ。早く」
「…何をしてるんです、気でも触れましたか」

低い声色にどきりとして雪妃は踏み止まった。柔らかにいつも紡がれる、穏やかなものとはほど遠い。冷ややかな響きがそこにはあった。

「あなたが何故、ここに居るのかと聞いてるんです」
「…カツ、嫁は取り戻したか」

静かに扉から眩いブロンドが現れた。波打つ髪の下、覗く鋭い双眸は見上げる程に高い。その迫力に思わず後ずさってしまった。

「あなたには関係のない事です。早く戻ったらどうなんです」
「カツの嫁なら私の娘だ、関係はある」
「そうですか。お気遣いどうも、問題ないので構わないでくださいよ」

フレディの手の中にある肩章には太陽がふたつ、花がひとつ。少将を示すそれに全てを察して、守ノ内は小さく息を吐いた。

「そうか。その後ろのは何だ」
「お嬢さんに止められてます。手出しは無用ですよ」
「それが獣人とやらか。知らない気配がする」

すらりと抜かれる刀に脚が震えた。
金縛りにでもあったかのように、獣人ふたりは動けなかった。微塵にでも動けば斬り刻まれると、脳裏に焼き付けられるのは己の床に崩れ落ちる姿だった。

「ちょっと、この子たちは斬らないでよ」
「何故だ、獣は須らく斬る決まりだ」
「決まりでもダメです、何も悪い事しないのに」

先程守ノ内に伝えた言葉を再び口にする事になった。一歩踏み出されただけでも、こちらは尻尾を巻いて逃げたくなるような迫力があった。

「そうか。これから幾らでも悪さをする」
「いえ、少しはするかもだけど。誰だってそうでしょうよ」
「些細なものでも芽は摘む。それが義務だ」

刀を払うと触れもせずに壁が抉れ崩れた。びょえと慄いて雪妃は更に後ずさる。合間に立ち塞がる守ノ内はいつもの微笑みもなくフレディと対峙した。

「お嬢さんが手を出すなと言うんです。あなたでも許しませんよ」
「中枢の規則より嫁の言か」
「当然です。大人しく戻ってください」

カツリと白い革靴が鳴った。
悠然と歩み寄る迫力の塊を見上げた守ノ内は、不意に伸びてくる腕に柄へと手を落とした。

「良いぞカツ、それでこそ私の息子だ」
「…え?」
「全てを賭す覚悟があるか、良い嫁を見つけたな」

感銘を受けたように抱き竦めて頷く大柄な軍神に、守ノ内は目を瞬かせ狼狽えた。昔から読めない言動をするからこそ、苦手意識を抱いていた事を改めて実感した。

「離れて、暑苦しいな」
「パパは嬉しいぞ、さあ家族揃って戻ろう」
「そのうち戻りますから、さっさと戻っててくださいよ」
「遅いから心配して迎えに来たのだ、先には帰らん」
「構わないでと言ってるんです。お嬢さんが戻ると言えば戻るんです」

細くも逞しい腕を払って辟易と嘆息を漏らす。幼い頃は散々放置しておいて、今になって過保護な保護者は鬱陶しいといっても過言ではなかった。

「何?嫁は何故戻らんのだ」
「あなたには関係のない事です」
「大陸に縛られたか、なれば全て斬ろう」

感涙していたフレディは目元を拭い、改めて後方の獣人へと鶯色の視線を飛ばした。
ぽかんと眺めていた雪妃は、それだけでも射抜かれそうな鋭さに、思わずふたりの前へと出た。

「もう、やめてって言ってるのに」
「哀れな嫁よ、紫庵の呪縛から解かれると良いぞ」
「あのね、嫁じゃないし。哀れでもないし」

震え動かない獣人を背後に雪妃はごくりと息を呑む。ひょろりと細いのに壁のように高く、纏う神々しい程の覇気に気圧されていた。その手の気配に疎い雪妃でも何となく、相手にしてはならない存在だと察せられた。

(どうしよう、ここは泣き落としか?いやでも涙なんて出ないし)

ヒュッと振られる剣圧に床が抉れる。
はわわと毛並みに背を押しつけて、雪妃は妙案も浮かばず途方に暮れた。

「よしてくださいよ、斬りますよ」
「おまえは嫁には優しいのだったな。だが今は、強引にでも連れ戻す時だ」
「勝手な事を言わないでください。手出しは無用です」

トンと床を蹴り守ノ内は再び合間に立つ。片眉を持ち上げて、フレディは構わず刀を振るった。

「久々だな、おまえと対峙するのも。懐かしい」
「知りませんよ、どうしてそう邪魔をするんです」
「邪魔などするものか。私はおまえの為に生きているというのに」

薙いだ刀を守ノ内は鯉口を切り弾いた。重たい一撃は甲高い音を立て、踏み込むフレディより先に足を入れ肘で手元を押し上げる。体勢も崩さず貫いてくる切っ先を紙一重で避け、守ノ内は白服の腹を横に斬り裂いた。

「何か始まったし、今のうちに逃げといて」

目で追えない剣撃に唖然としていた雪妃は、ハッとしてふたりを振り返る。強張る身は弱々しくも首を振って、視線だけが揺れて向けられた。

「主を、置いては行けない」
「ええ…?大丈夫だよ、行って行って」
「あれは聖女殿を奪いに来たのだろう。守らねば」
「無理でしょあんなの、いいから逃げちゃおう」

植え込まれたように動かないふたりの胸を押す。ふらりと床から離れる獣の足は、それでもその場に踏み止まる。焦ったくなり雪妃は更に胸元を押しやった。

「わたしは戻らないし、トビーもケイちゃんもやられるのは嫌だよ。なのでトンズラするんじゃい」

回れ右、とふたりを回し雪妃は背を押す。獣の顔が怪訝と歪み、巡らせた首は慄き固まった。

「混乱の隙に逃走は悪くない判断だ」
「ぎゃ、こっちに来おった」
「全て斬れば目も覚めよう。これを斬り紫庵を斬り、共に戻るぞ嫁よ」
「いやいや、待ってよでっかいお兄さん。落ち着いて」

弾丸のように迫るフレディは、雪妃の上に伸びた獣人の首ふたつ、確実に狙いを定め刀を振るった。
咄嗟にふたりを押し倒し、ふかふかの毛並みの首元を庇うように抱きしめる。まだ知り合って間もなくても、気の置けない大事な友人だった。
ぴたりと向けられた切っ先が止まる。
細い身の太い首筋を背後から両断する一閃を弾き、フレディは守ノ内を刀ごと押しのけた。

「パパだ」
「はん?」
「私はおまえのパパだぞ、嫁よ」
「は、はひ?」
「でっかいお兄さんではない、改めよ」

ぽかんと見上げ、雪妃は白服の腰へと収まる刀に胸を撫で下ろす。後ろの守ノ内も苦笑を浮かべていた。

「パパだぞ、さあ呼べ」
「へ?いや、どうしたお兄さん」
「パパだ」
「パパ…分かった、パパさんよ。分かったからどうかこの場はひとつ、穏便に」

仰向けに倒れたままのふたりを手で探りながら、雪妃は曖昧な笑みを浮かべる。どうにも独特なペースのある男のようだった。

「そう、パパだぞ」
「ははあ。パパ、今日の所は見逃しておくれやす。この通り」
「分かった。おまえごと斬らんと斬れんのなら、今回は見逃す」
「へへ…有難き幸せ」

緊張の糸も切れて、雪妃はへたりと肩を落とした。すかさず覆いかぶさってくる息苦しい大柄な身に、ぎゃぴと潰れた蛙のように呻いた。

「な、何じゃの」
「パパは嬉しいぞ。頼もしい息子に続き可愛い娘もできた。幸せだ」
「そりゃあ、どうも、良かったでございますわね…?」
「離れて、お嬢さんに気安く触れないで」
「カツも来い、一緒に抱いてやる。今夜は祝杯だ」
「呑めない人が何を言うんです、離れて」
「カツにユキか、孫の顔も楽しみだな。今から泣きそうだぞ」
「勝手に泣いててくださいよ、離れて」

べりと剥がしても剥がれない逞しい背に深く溜息が漏れた。守ノ内は困惑顔の雪妃に笑みを返して、肩を竦めてみせた。

「すみません、煩わしい人で」
「う、うむ。カツのパパなのか」
「義理のです。名ばかりの保護者ですよ」
「義理じゃない、愛情は本物だ」
「そうですか。いい加減離れないと斬りますよ」
「獣は両断、人は首。良く身についている。腕も鈍ってないな、カツ」

満足そうにフレディは鋭い目元を緩めた。肩を竦める守ノ内へと尚相好は崩された。

「十分だがまだおまえにも目指せる高みはある。慢心せず励め」
「そうですか。早く戻ってくださいよ」
「ああ。夢登と戻る」

懐に入れた肩章を叩き、フレディは獣人を一瞥し立ち上がった。頭を下げて守ノ内は弔意を示す。敬愛する上官に終わりを告げられ、美貌の少将は安らかに眠れただろうか。

元帥がゆったりとした足取りで階段を行くと静寂が訪れた。
まだ強張る仰向けのふたりの毛並みを撫でて、雪妃は扉の向こうへと向かう守ノ内を見遣った。
そっと扉を閉める空色の男は、英霊の愛刀を黒ずむ床に刺し作られていたバトルフィールド・クロスを認め、静かに黙祷を捧げた。


***


小高い丘に長い髪が流れていた。
紺碧の建物を眼下に、随分と長い事守ノ内はそこに佇んでいた。その表情は窺い知れない。
何となく声をかけ難く、雪妃は黙って付き合った。
冷えた風も寒く感じてきて、摘んだ花で作った輪を手に立ち上がる。

「安羅石さんへの手向けですか」

器用ですね、と微笑んだ顔が向いた。
どう見ても歪な花輪をもうひとつ、守ノ内の腕を引き屈ませ、空色の頭の上に乗せてやった。

「ありがとうお嬢さん。家宝にします」
「大袈裟だね、そりゃあどうも」

待ちすぎてアルフォンスの分まで編み込めてしまった。
虹飛と月桂は姿を眩ませているので、あとで押し付けよう、と三つの輪を腕に潜らせて守ノ内の隣に並んだ。

「安羅石さんの、ここに捧げます?それとも投げますか」
「風で飛んじゃいそうだし、投げますかあ」

一緒に花輪を掴み空へと放った。
どんな人だったのかは知らないが、またひとり、紫庵の下した手によって天へと昇った。居た堪れない思いで冥福を祈る。

「紫庵さまは自覚ないみたいだけど、やっぱり悪い人なんだよね」
「そうですね。獣が良い働きをするのは見ましたけど、他人の命を踏み台にして良い理由にはなりませんね」
「うむ…どう説得したら、やめてくれるのやら」
「ふふ。話にならないお人のようですもんね」

腕から花輪をひとつ抜き取り、雪妃の頭へと乗せた。薄紅色の丸い蕾のような花は何という名前だったか、守ノ内は目を細め見て白い頬を撫でた。

「まだ戻りませんか、あんな人の元では苦労ばかりですよ」
「そうなんだけど、みんな出ちゃったしさ。わたしまで行くと紫庵さまも寂しくないかな」
「ご自慢の獣も獣人も居ます。寂しいなんて思う人なのかな」
「確かに、それもそうか」

不敵な笑みが過ぎって雪妃はううむと唸る。
賑やかな若者たちが消えた屋敷は、更に静けさも増すだろう。奈々実も落ち着いたら中枢へ届けると聞いている。
広い屋敷に胡散臭い大人ふたりと揃って三人、気兼ねなくはあるが物悲しさはあった。

「勝永も、いつまでもこっちに居たらマズいんでしょ?」
「私はお嬢さんの居る所に居ますよ。戦になっても、お嬢さんを守る任に当たるまでです」
「中枢の王さまに忠義が云々じゃないんか」
「ふふ。王様に恩義はありますけど、断って出てますし問題ありません。でも、王様を守る為に戻ると言えば、お嬢さんも戻ってくれます?」
「ええ…?」
「そろそろ私なしでは寂しくなってませんか」

唇をなぞる指に雪妃はぐっと詰まり視線を逸らす。
話し相手が減るのは残念に思うが、決してやましい気持ちはない。きっとそのはずだった。

「ホホ…そうね、貴重な話し相手がね」
「私はお嬢さんが居ないと、寂しくて死にます」
「ええ…?でっかく出たね」
「愛してるんです。もう離れたくない」

抱き寄せる腕に頭の花輪がふたつ、とさりと落ちた。冷えた風が吹く中、守ノ内の温もりが心地良く滲みる。
覚えていないのにどうしてこんなに、と雪妃は眉を寄せた。申し訳なさと切ない気持ちが胸を占領する。
覚えていたら自分はどうしていたのだろうか。
あの雨の降る小屋にふらりと現れた時抱いた不思議な感覚は、今も尾を引いていた。

「ここに残ると言うなら私も残ります。だからもう、居なくならないで」
「う、うむ。居なくはならないけども」
「お嬢さんは私の全てなんです。居ないと私には、何もなくなってしまいます」
「そうか、それは困るね」
「困るんです。時間がかかっても、お嬢さんが側に居るならもう、それで良い」

背骨が折れそうな程の抱擁は息と胸の苦しさを齎した。さらりと触れた長い髪は指から溢れていく。雪妃は折れるわいと背を叩いて、苦笑混じりに守ノ内を見上げた。

「そこまで言ってくれるなら、離れずに居てもらおうじゃないか。お友達になろう」
「お友達は、色々出来ないから嫌です。婚約者ですよ」
「色々って君ね…ほら、いきなり婚約者と言われてもですね」
「大丈夫です、すぐに慣れます」
「ぶえ、慣れの問題なの?」
「気合いです。きっと先に体が思い出してくれますよ」
「おいおい、雪妃ちゃんはどこまで…」
「お任せください。お嬢さんの好きなのは、しかとこの勝永が網羅してます」

にこりとして頬を包む手に、雪妃の口元も引きつった。寄せられる顔に蓋をして、身に覚えのないあれこれにじわりと汗も滲むようだった。

「待ちたまえよ、でもお兄さん」
「ふふ。覚えてないだけで、お嬢さんはお嬢さんなんだから。参っちゃいます」
「何の話よ。以前の事色々聞いときたいけど、怖いからもういいや」
「おや、幾らでもお話しますよ。お嬢さんの可愛らしい話なら私、いつまでも語り尽くせます」
「おう、そうかい。また今度頼む」

押し合いの攻防は、力で勝てるはずもなく容易く腕を掴まれ終了となる。こつんと額をぶつけて、守ノ内は楽しそうに笑みを深めた。

「冷えちゃいましたよね、続きはお嬢さんのお部屋で」
「いえ、大丈夫にござる」
「ふふ。私が大丈夫ではなさそうです」

唇を啄んで守ノ内は落とした花輪を拾い上げた。おわ、と呻く雪妃を抱えて丘を跳んだ。流れる景色と冷たい風に、鼻先もツンとして涙が滲むようだった。

「ねえ、雪妃」
「な、何じゃい」
「愛してますよ、これからも変わらず」

目元の滲みを吸う口に、ううと雪妃は顔を顰め唸った。こんな男と以前、年甲斐もなく自分はくっついていたのかと思うと、複雑な気分だった。
それでも、上の晴れやかな整った顔と居心地の良さに、まあいいやと頬を綻ばせる。苦悩しながらも寄り添っていたのだろうと、何となく感じるものもあった。

厚い雲の下を駆け抜ける。
不穏な空気は再び大陸を覆い尽くそうとしていた。夏の終わりを控え、双方着々と準備を整えていたのであった。
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