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第一章
第二十二話 青年二人
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「なぁ」
目の前にいるフラワー…に化けた香に声をかける。
「なんで今日もお前がフラワーの振りをしているんだ…!」
「え~」
そう言いながら香はこちらに体を向けた。
「別に今日帰ってくるとは言ってないじゃないですか。なんです?そんなに早く会いたいんですか?」
「は!?どうしてそんなことになるんだ!違うに決まってるだろ!?」
「嫌ですねぇ、軽く誂っただけなのにそんなにムキになっちゃって。あと、もうちょっと声低くしてくださいよ、みんなに聞こえてしまうでしょう?」
なんともイイ笑顔でこちらを煽ってくる。
こんなフラワーは本当に嫌なので早く帰ってきてほしい。
そして謝りたい。
「あぁ、そろそろ時間なので行きますね。先生もお仕事頑張ってください。くれぐれも私に迷惑をかけないでくださいね。」
…今の『私』はどちらのことなのだろう。
そして今回も言いたいことだけ言ってきたな。
香は良い奴ではあるんだろうが、話しているとどうも疲れるな…
「おや、どうされたんですか。そんなに大きなため息をついて。」
『フラワー』の背中を見送っていると、ふと後ろからそんな声が聞こえた。
振り返ってみると後ろには二人の青年が立っていた。
上着を羽織るようにして黒服を着ている黒髪の青年と、夏服のブレザーを着た海色の髪の青年だ。
これまでの生徒達もそうだったが、やはり顔が整っている。
美形でなければ入れない校則でもあるのかというレベルだ。
二人に向け、
「大丈夫だ、」
と返してから気づいた。
…俺はこの二人の名前を知らない。
いや、知らないというか覚えていないというか、どうも顔に見覚えはあるのだが名前がでてこないのだ。
もちろん他のクラスの生徒だという可能性もあるが、それ以上に自分のクラスの生徒だったらという焦りが凄い。
自分の生徒覚えてなかったらただの最低野郎だぞ。
まあ、一人ずつクラスの生徒を思い出して行けば分かるはずだ。
まずフラワーだろ?次に香、横山、ソフィア、スフィア…
うん、俺は最低野郎だった。
全くと言っていいほど出てこない。
クラスの半分も思い出せないとかどういうことだ。
…仕方がない。
直接聞こう。
そう思った時だった。
「ほんとに?よかった~。おれらの先生も心配してたんだよ。新任で大丈夫かなって。」
ふんわりと表情を緩めながら夏服の青年が言った。
『俺らの』ということは二人の担任は別に居るということだ。
つまり、俺のクラスの生徒ではない。
…良かった~!
忙しかったとはいえ、自分の生徒を忘れるなんて論外だ。
このあとは名簿をチェックして…
いや、まずはこの子たちの担任に感謝をしないとな。
「なあ、二人の担任って誰なんだ?」
俺の言葉に黒服の方は少し驚き、夏服の方は先程とは違う笑顔を見せた。
『おれら(私達)の先生は』
神下キモオタ先生だよ(ですよ)。
「…え?」
目の前にいるフラワー…に化けた香に声をかける。
「なんで今日もお前がフラワーの振りをしているんだ…!」
「え~」
そう言いながら香はこちらに体を向けた。
「別に今日帰ってくるとは言ってないじゃないですか。なんです?そんなに早く会いたいんですか?」
「は!?どうしてそんなことになるんだ!違うに決まってるだろ!?」
「嫌ですねぇ、軽く誂っただけなのにそんなにムキになっちゃって。あと、もうちょっと声低くしてくださいよ、みんなに聞こえてしまうでしょう?」
なんともイイ笑顔でこちらを煽ってくる。
こんなフラワーは本当に嫌なので早く帰ってきてほしい。
そして謝りたい。
「あぁ、そろそろ時間なので行きますね。先生もお仕事頑張ってください。くれぐれも私に迷惑をかけないでくださいね。」
…今の『私』はどちらのことなのだろう。
そして今回も言いたいことだけ言ってきたな。
香は良い奴ではあるんだろうが、話しているとどうも疲れるな…
「おや、どうされたんですか。そんなに大きなため息をついて。」
『フラワー』の背中を見送っていると、ふと後ろからそんな声が聞こえた。
振り返ってみると後ろには二人の青年が立っていた。
上着を羽織るようにして黒服を着ている黒髪の青年と、夏服のブレザーを着た海色の髪の青年だ。
これまでの生徒達もそうだったが、やはり顔が整っている。
美形でなければ入れない校則でもあるのかというレベルだ。
二人に向け、
「大丈夫だ、」
と返してから気づいた。
…俺はこの二人の名前を知らない。
いや、知らないというか覚えていないというか、どうも顔に見覚えはあるのだが名前がでてこないのだ。
もちろん他のクラスの生徒だという可能性もあるが、それ以上に自分のクラスの生徒だったらという焦りが凄い。
自分の生徒覚えてなかったらただの最低野郎だぞ。
まあ、一人ずつクラスの生徒を思い出して行けば分かるはずだ。
まずフラワーだろ?次に香、横山、ソフィア、スフィア…
うん、俺は最低野郎だった。
全くと言っていいほど出てこない。
クラスの半分も思い出せないとかどういうことだ。
…仕方がない。
直接聞こう。
そう思った時だった。
「ほんとに?よかった~。おれらの先生も心配してたんだよ。新任で大丈夫かなって。」
ふんわりと表情を緩めながら夏服の青年が言った。
『俺らの』ということは二人の担任は別に居るということだ。
つまり、俺のクラスの生徒ではない。
…良かった~!
忙しかったとはいえ、自分の生徒を忘れるなんて論外だ。
このあとは名簿をチェックして…
いや、まずはこの子たちの担任に感謝をしないとな。
「なあ、二人の担任って誰なんだ?」
俺の言葉に黒服の方は少し驚き、夏服の方は先程とは違う笑顔を見せた。
『おれら(私達)の先生は』
神下キモオタ先生だよ(ですよ)。
「…え?」
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