3 / 15
命の色
しおりを挟む
夜がどんどん更けていき、緊急患者の付き添いが一人一人いなくなった薄暗い待合室で、不安で押しつぶされそうになりながら、俺はどのくらい待ったのだろう。
呼ばれて部屋に入った時に、研修医ではなく、ベテランの脳外科医に変わったのを見て、何も言われなくても、俺は事態の深刻さを飲み込んだ。
脳外科医は斎賀と名乗り、奥様はクモ膜下出血を起こしていますと静かに告げた。
そんなところで出血が起きたら、助からないのではないかと、それまで俺が思っていた嘘のような病名だった。
茫然自失の俺に、斎賀医師は尚も説明を続けた。
噴出した血が固まり、一時的に出血は止まったものの、24時間以内に大出血が起こり、その時は助からないこと。それを未然に防ぐため、血管の穴を塞ぐためのコイルを入れる緊急手術が必要なことを説明されて、俺はすぐに同意書にサインした。
祈って、祈って、祈り続ける間に、手術は終わり、成功したことを聞いたとき、俺は心から祈ったものに感謝した。
噴出した血で脳内にかなりの圧力がかかり、しばらく美咲の頭痛が続くらしいことは聞かされていた。
今の美咲の症状に当てはまるが、痛みを取り除いてやることはできないので、苦しむ姿をみているより他はない。せめて今は誰も会いたくないという妻の希望を叶えてやることしかできかった。
待合室を通ると、どの患者の親族か分からないが、何人も集まって看護師から話を聞いている。
同じように説明を受けた自分の姿に重なって、症状は軽いのだろうか?
それとも親族が集まるといいうことは、危ないのだろうかと、他人ながら心配や同情を抱いてしまう。
自分がかける電話の声で、他の人の邪魔をしないように、少し離れたところで大悟は母親に電話をかけた。
呼ばれて部屋に入った時に、研修医ではなく、ベテランの脳外科医に変わったのを見て、何も言われなくても、俺は事態の深刻さを飲み込んだ。
脳外科医は斎賀と名乗り、奥様はクモ膜下出血を起こしていますと静かに告げた。
そんなところで出血が起きたら、助からないのではないかと、それまで俺が思っていた嘘のような病名だった。
茫然自失の俺に、斎賀医師は尚も説明を続けた。
噴出した血が固まり、一時的に出血は止まったものの、24時間以内に大出血が起こり、その時は助からないこと。それを未然に防ぐため、血管の穴を塞ぐためのコイルを入れる緊急手術が必要なことを説明されて、俺はすぐに同意書にサインした。
祈って、祈って、祈り続ける間に、手術は終わり、成功したことを聞いたとき、俺は心から祈ったものに感謝した。
噴出した血で脳内にかなりの圧力がかかり、しばらく美咲の頭痛が続くらしいことは聞かされていた。
今の美咲の症状に当てはまるが、痛みを取り除いてやることはできないので、苦しむ姿をみているより他はない。せめて今は誰も会いたくないという妻の希望を叶えてやることしかできかった。
待合室を通ると、どの患者の親族か分からないが、何人も集まって看護師から話を聞いている。
同じように説明を受けた自分の姿に重なって、症状は軽いのだろうか?
それとも親族が集まるといいうことは、危ないのだろうかと、他人ながら心配や同情を抱いてしまう。
自分がかける電話の声で、他の人の邪魔をしないように、少し離れたところで大悟は母親に電話をかけた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる