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第一章
義兄の嫌がらせ5
畳に転がされてもなお、起き上がって茂を睨みつける幸恵に、茂は圧倒されたようだった。
まだ五歳の幼女が、堂々と反論して茂の痛いところをついたのも、癪に障ったのだろう。
幸恵は髪を引っ張られ、悲鳴を上げた。茂の手が頬を打つ。再び畳の倒れた幸恵に足蹴をくらわそうとした茂を、飛び込んできたきぬが止めた。
きぬが取り込んできた洗濯物が散乱する中、茂が離せと暴れ回る。
「茂さま、こんな幼気な幸恵さまに手をあげるなんて、高貴な家の跡取りとして恥ずかしい所業です」
「うるせー、ババア! 使用人のくせに俺を馬鹿にする気か?」
きぬはとんでもないと首を振ったが、茂はきぬの手を振りほどき、捕まれていた手首をさも汚いものに触れたように、反対の袖でごしごしと擦った。
「だいたいこの離れは、古臭くて汚いものばかりだ。このババアもそうだし、この鏡もそうだ。新しいものに変えるように俺が父に頼んでやろうか」
「やめて。きぬも、この鏡も大事なものなの。この鏡は昔の天皇さまから頂いたお母さまの宝物で、あと一年ちょっとで付喪神さまになるかもしれないの。代わりなんていらない」
まだ五歳の幼女が、堂々と反論して茂の痛いところをついたのも、癪に障ったのだろう。
幸恵は髪を引っ張られ、悲鳴を上げた。茂の手が頬を打つ。再び畳の倒れた幸恵に足蹴をくらわそうとした茂を、飛び込んできたきぬが止めた。
きぬが取り込んできた洗濯物が散乱する中、茂が離せと暴れ回る。
「茂さま、こんな幼気な幸恵さまに手をあげるなんて、高貴な家の跡取りとして恥ずかしい所業です」
「うるせー、ババア! 使用人のくせに俺を馬鹿にする気か?」
きぬはとんでもないと首を振ったが、茂はきぬの手を振りほどき、捕まれていた手首をさも汚いものに触れたように、反対の袖でごしごしと擦った。
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