揺りかご

Akira@ショートショーター

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揺りかご

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揺られていた
目を開けると視界は真っ青
遠くで誰かが話しているのが聞こえる
僕は何をしていたんだっけ
それにしてもどこへ行くんだろう
まあいいや
ちょうどよい揺れ具合に眠たくなってきたところだ
少し眠るとしよう

「調子はどうですか」
部下が尋ねる
しかし私は声を発さず、ジェスチャーで伝える
(静かにしろ
いま微細な振動で眠気を誘い、やっと寝付いたところなのだ)
部下もジェスチャーで返してきた
(すいませんでした
ところでこれはなんの実験ですか?)
上司は得意げな顔になって、またジェスチャーする
(赤ちゃんを寝付かせるための装置の実験だ
しかし医者から微細な振動が脳を死滅させるのではないかという指摘を受けたので、こうして実験いているのだ
君もあの男が死ぬのかどうか見守るかね)
部下は目を見開き、ジェスチャーをする
(なるほど、よくわかりました
ですが何故、あの男はブルーシートをかぶっているのですか?
あれでは死体に見えてしまいます)
上司は声を押し殺して笑う
そしてジェスチャーで部下に教えてやる
(死体に見えていいのだ
ブルーシートをかけたのは、むしろ死体に見せかけるためだ
自らが死体だと思い込んだとき、死ぬかもしれないのでな
しかし赤ちゃんだけはそれが理解できないので死ぬことはない
これは各家庭で妻が夫を殺せるマシーンを作るための実験でもあるのだ)
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