絵師

絵師

私は絵師だ
しかも特別な絵師だ
絵に描いたものを具現化する能力を持っている
普段はこの能力は隠して、曰く付きの絵を売っているのだ
夜中にゴトゴト音を立て、除霊師が来たら絵から抜け出しあからさまに除霊される
除霊師とグルでやっているので、悪くない儲けになっている
だから今夜も少し高いワインで余暇を満喫しているところだ
そんな時ノックの音が聞こえた
「誰だ、こんな時間に」
絵師は窓から外の様子を見た
すると我が家が完全に包囲されているではないか
絵師は怖くなった
しかし、ヤクザのように声を出されて近隣住民に気取られては厄介
絵師はこわごわ玄関を開けた
「どちら様ですか」
すると男はいきなりフードをとった
男のぐちゃぐちゃになった顔面が現れた
「うわあああ」
絵師は叫ぶ
するとバケモノが口を塞いでくる
周囲を確認し、男はゆっくり話し始めた
「俺たちはあんたが作り出した絵から出てきたんだ
あんたの仲間の除霊師が下手くそすぎて、
顔だけこんなふうになって成仏できずにいる
なんとかしてくれ」