せーの

せーの

原爆など、核兵器をなくすことはほぼ無理だ
それは2100年となった今でも残っていることが証明している
しかし切れ目の年でもあるので、この際保有国すべてが同時に廃棄しようということになった
そして廃棄と同時に友好条約を結ぶため、保有国各国の大使が廃棄を見届けるという形で行われることとなった
公平さを確保するため、アメリカにはロシアの大使が、ロシアにはイスラエル、イスラエルには中国、中国にはインドといった配置になった
さらに電話をつなぎ、すぐに廃棄のニュースを世界中に流せるようにした
準備は整った
各国を代表してアメリカ大統領が音頭をとる
「せーの」
その声に合わせて一斉に廃棄が行われた
このニュースはすぐに世界中を駆け巡り、世界中がこれを祝福した
世界は平和になった
まあしかし、そんな簡単なものではない
せーのの声に合わせて行われたのは大使の暗殺だ
アメリカが各国に確認をする
「こちらアメリカ成功した」
「ロシアも同じく」
こうして無事各国の暗殺成功を確認した
アメリカ大統領は静かに、落ち着き払った様子で言った
「えー、これからどう核兵器を隠していくかの前に、各国大使暗殺のもみ消しについての確認をしたい
ロシア、どうなっている」
「はい、その件に関しましては、北朝鮮のテロということでカタがつきそうです
直に各国でテロが起きるでしょう
それに巻き込まれて大使は死亡したということで
責任問題に発展するかもしれませんが、それは各々対処していただくという方向でお願いします」
「そうか、ありがとう
それにしても北朝鮮はこの話し合いに一度も参加しなかったな」
「本当に困ったものですな
そのために我々が一芝居打つ必要が生じた
しかしこれで、北朝鮮を潰す大義名分ができた」
その時部屋の外から「せーの」という声が聞こえた
「誰かいるのか」
その声は銃声にかき消された
銃声はしばらく続いた
動くものがないことを確認して、男は電話で作戦の成功を告げる
「まったく、こんなことだろうと思いましたよ
もめごとはあくまで平和に解決、
そして核兵器は確実に廃棄しないとね
まあこれで、各国大使の暗殺も成功か
大統領の座は副大統領であるこの私が...
各国腹首脳の皆さん、今となっては首脳か
よろしくおねがいしますよ」