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ハングリー精神

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「朝から遊びすぎた...
全然小説書いてない...
まあ3連休の最後の日だし、大目に見てよね...」
「何を言っているんです先生
そんなことでは小説家になれませんよ」
編集が発破をかける
「いいじゃないか
23日で242作品も投稿してるんだぞ
それにストックも80作品はある
ちょっとぐらい休ませてくれてもいいじゃないか」
編集はそれを聞くとすたすたと部屋を出て行った
そして出版社に帰り、上司に報告する
「あの作者はもうだめです
向上心というものがなくなってしまった」
「それは残念だ
ハングリー精神だけが取り柄だったのだがな
では仕方ない
ルールに則ってわが社の血肉となってもらうか
できるだけ苦しまずにやってやれ」
部下は悲しそうにはいと返事すると部屋を出て行った
上司はため息をつく
「まったく、ハングリー精神がなくなった作者を殺し、
その血肉で社員のハングリーを満たし、我らのアングリーも発散するという謎の伝統はいつ始まったのだ」
その時幹部が部屋に入ってきた
「その答えは私が教えてあげよう
実はもともとは向上心がなくなった社員に罰を与える仕組みだったのだ
それを作者にまで適応範囲を広げてみたら、思いのほかいいことがたくさんあったというわけだ
そして、君も向上心をなくしているね
残念だが、社員の場合は作者のように優しく殺すなんてことはないから覚悟しておいてくれ」
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