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第1章 任務終了後の事件
ルリアーナに撒かれた号外
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その日、ルリアーナ国内に号外が撒かれた。
王位継承者としてたった一人しかいなかった王族、第一王女が亡くなった情報が国内を巡る。
死因や原因は明らかにされていなかったが、第一王女が亡くなったということは、ルリアーナ王家の血がついに途絶えたことを意味していた。
代わりに王女の婚約者だったポテンシアの第四王子がルリアーナを治めることになったという知らせは、国内だけでなく周辺国をも震撼させることになる。
ポテンシア国王の思い通りのシナリオが進んでいるようで、周辺国のブリステ公国やリブニケ王国にも緊張が走った。
つい最近まで王女の婚約に国内がお祝いムードに盛り上がっていたのに、次に出てきたニュースは訃報となる。
国内ではポテンシア王国の陰謀論がささやかれ、ルリアーナはポテンシアに対する不信感に包まれていた。
そんなルリアーナも、ルイスが治めることで結局ポテンシアの一部になってしまうのだ。
「これから、どうなるのかしらね……」
イリアは新聞の号外を見ながら頬杖をついていた。
「お前、王政反対なんじゃなかったっけ?」
イリアに対して兄のジャンは揶揄うように言う。
「王政に反対でも、ポテンシアの一部になりたいなんて思ったことは一度もなかったわよ」
イリアは遠くを見つめている。レナはその様子を横目に見ながら、国民を巻き込んでしまったことにいたたまれなくなっていた。
「明日からの行商は、大丈夫かしら?」
イリアが心配そうにジャンに尋ねる。
「うーん……ルリアーナがポテンシアになってしまった以上、関税が掛からずに商売ができることになるんじゃないかな……。それ以外の影響は、正直まだ分からないよ」
ジャンはなるべく悲観はしない。どんな時でも希望を見出すようにする癖がついていた。
レナはジャンが明るいことに救われたが、いよいよルリアーナが無くなってしまうのだと思うと、自分が捧げてきた人生は何だったのかと虚しくなるばかりだ。
カイやハウザー騎士団の団員たちと過ごした日々も、こんな結末を迎えるためだったのだろうかと、心の中が空っぽになったような気がする。
(今の私にできることは、なにもない……)
何者でも無くなってしまった『エレナ』は、第二の人生を生きるほかなかった。
いよいよ、『レナ・ルリアーナ』はこの世にいない存在として、社会に認識されてしまったのだ。
(パースにいるカイや、ブリステにいるみんなにも、そのうち私の訃報が知られるのね……)
レナの訃報を聞いて、カイは涙は流すのだろうか。すぐに忘れられてしまうのだろうか。考えれば考える程、レナは落ち込んでいった。
(また会える日までって、約束したのに……)
レナは、先ほど手に入れたルビーを手に持った。いざとなったら自分を守るための呪術を、この宝石に溜めておくことに決める。
こうなってみると、短期間で学んだ呪術以外に持っているものは何もなかった。
王位継承者としてたった一人しかいなかった王族、第一王女が亡くなった情報が国内を巡る。
死因や原因は明らかにされていなかったが、第一王女が亡くなったということは、ルリアーナ王家の血がついに途絶えたことを意味していた。
代わりに王女の婚約者だったポテンシアの第四王子がルリアーナを治めることになったという知らせは、国内だけでなく周辺国をも震撼させることになる。
ポテンシア国王の思い通りのシナリオが進んでいるようで、周辺国のブリステ公国やリブニケ王国にも緊張が走った。
つい最近まで王女の婚約に国内がお祝いムードに盛り上がっていたのに、次に出てきたニュースは訃報となる。
国内ではポテンシア王国の陰謀論がささやかれ、ルリアーナはポテンシアに対する不信感に包まれていた。
そんなルリアーナも、ルイスが治めることで結局ポテンシアの一部になってしまうのだ。
「これから、どうなるのかしらね……」
イリアは新聞の号外を見ながら頬杖をついていた。
「お前、王政反対なんじゃなかったっけ?」
イリアに対して兄のジャンは揶揄うように言う。
「王政に反対でも、ポテンシアの一部になりたいなんて思ったことは一度もなかったわよ」
イリアは遠くを見つめている。レナはその様子を横目に見ながら、国民を巻き込んでしまったことにいたたまれなくなっていた。
「明日からの行商は、大丈夫かしら?」
イリアが心配そうにジャンに尋ねる。
「うーん……ルリアーナがポテンシアになってしまった以上、関税が掛からずに商売ができることになるんじゃないかな……。それ以外の影響は、正直まだ分からないよ」
ジャンはなるべく悲観はしない。どんな時でも希望を見出すようにする癖がついていた。
レナはジャンが明るいことに救われたが、いよいよルリアーナが無くなってしまうのだと思うと、自分が捧げてきた人生は何だったのかと虚しくなるばかりだ。
カイやハウザー騎士団の団員たちと過ごした日々も、こんな結末を迎えるためだったのだろうかと、心の中が空っぽになったような気がする。
(今の私にできることは、なにもない……)
何者でも無くなってしまった『エレナ』は、第二の人生を生きるほかなかった。
いよいよ、『レナ・ルリアーナ』はこの世にいない存在として、社会に認識されてしまったのだ。
(パースにいるカイや、ブリステにいるみんなにも、そのうち私の訃報が知られるのね……)
レナの訃報を聞いて、カイは涙は流すのだろうか。すぐに忘れられてしまうのだろうか。考えれば考える程、レナは落ち込んでいった。
(また会える日までって、約束したのに……)
レナは、先ほど手に入れたルビーを手に持った。いざとなったら自分を守るための呪術を、この宝石に溜めておくことに決める。
こうなってみると、短期間で学んだ呪術以外に持っているものは何もなかった。
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