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2章
そばにいるから
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「まさかあんなに長時間ボール遊びをするなんて……」
ノクスに背負われて部屋に戻ってきた。
ベッド脇に降ろされると手足ががくがくする。力が残っていないんだわとベッドに倒れ込むと、ノクスは隣に座って私の頭をポンポンとした。
「みんな楽しそうだったな」
にこりと笑う顔から犬歯がはみ出している。
「体力が尋常じゃないのね、人狼って」
「半分狼だからな。人間とは違う」
ちょっと油断していた。
犬のボール遊びはそこまで激しくないから、こんな風になるなんて想像もできなかった。
使用人たちまでもが入り乱れてボールを巡って大興奮するなんて……。
最後全員にボールの取り合いをさせていたから「次をください」の要求がすごくて、ひたすらボールを投げ続け、ずっと歓声が上がっていた。
投げる側に来ようとする人は誰もいなくて、要するにみんなボールを追ってキャッチしたらこちらまで持ってくる、という行為が楽しそうだったのよね。
走ってくるときのみんなの尻尾は揺れていて、確か尻尾でバランスを取って走っているんだったわねと感動してしまったし、ボールを持っている時の顔が全員生き生きしていて嬉しかった。
私は周りがよく見えていなかったけど、みんなの目が暗闇で光っていた。
人狼の耳と尻尾は動きが割と見えることがあって、キュンとしてしまったりして……。
「うちの使用人は、みんなアイリーンを好きになった」
「ほんとに? ただボールを投げていただけよ?」
「あんな風に根気よく付き合ってくれる『奥様』などいない」
「アイリーンって本名を普通に使われてしまったから、公爵家が何か言ってこないか心配」
反応が返ってこなかったから、どうしたのかしらとベッドでごろんと体勢を変えてノクスを見上げる。
「公爵家と皇帝は、何を狙っているんだろうな」
ノクスが腕を組んでいつになく真剣な顔をしていた。
ディエスと違い、ノクスは公爵様にも皇帝陛下にも会ったことはないはずだ。
戦時中は、ディエスが黒魔術でノクスを封じていたから。
「公爵様と皇帝陛下の記憶は? ノクスにもあるの?」
「ディエスを通して見ていた。悪意をこちらに向けてきたりはしなかったが、あそこまで冷酷になれる人間を他に知らない」
「それは、公爵様のこと?」
「皇帝だって大して変わらない。あの二人は人の犠牲をなんとも思っていない」
そうでしょうね、と私はうなずく。
心を痛める人であれば、私に対してもう少し同情や気を遣う素振りをしたはずだもの。
皇帝陛下は、一度も身代わりになる私のことを気にかけていなかったように思う。
少なくとも、私に対して伝言のひとつすらよこさなかった。
それが皇帝陛下という人なのだと思ったから、別に傷ついたりはしなかったけれど。
「アイリーンのことをどう思ってるのかが不気味だ」
「ユリシーズとうまくやっているから、それで納得してくれないのかしら」
「ディエスから聞いただろ? 少なくとも公爵は俺を消したがってる」
そう、確かに聞いた。
ユリシーズは公爵様に殺されそうになっていたらしいし、それが成功しなかったことで報復される心配だってしているに違いない。
私を送り込んだ狙いに、ユリシーズの暗殺があってもおかしくない。
顔を覆う。
悔しい。
ユリシーズは何も悪いことなんかしていないのに。
戦争が終わったら使い捨てのように殺されるなんて、そんなの納得できないわ。
「アイリーン。泣いてるのか?」
「泣いてないわ。腕が疲れただけ……」
誤魔化したけれど、ノクスは顔を覆った手についた涙を丁寧に舐めて「泣くな」と静かに言った。
「大丈夫だ。死神伯の正体は人狼で、簡単にはやられない」
「だけど、こんなのってないでしょう? ユリシーズは英雄なのに」
「戦争に英雄なんか要らない。ただの人殺しだ」
「そんな……」
私の涙がぽろぽろとベッドに零れていく。
「いいんだ。人狼は殺人に対する罪の意識は薄い。テリトリーを侵すやつを容赦なく殺す遺伝子が入ってる。それより、アイリーンに危険が及ばないか心配だ」
ノクスはそう言いながら私の涙を舌で拭っていた。
狼は、身内を守るために生死をかけて戦う生き物なのだと思う。
だから、ユリシーズは家族や仲間を戦場で失った心の傷が深い。
「あなたの迷惑にならないように、こうしてなるべく一緒にいることにしたの」
ノクスが目を細めて、私に沿うようにベッドに横になった。
頬を甘噛みされると、そっと唇が重なる。
「アイリーンと少しでも長くいられるのは、嬉しい。腕が使い物にならなくなるまでボールを投げ続けてくれる妻を持てて幸せだ」
「あんなに楽しんでくれるなんて思わなくて、もうくたくたよ」
くすくす笑うと、ノクスにぎゅうっと抱きしめられた。
気持ちが伝わってきて、胸が苦しい。
私が人質に取られたら、ユリシーズはディエスもノクスも簡単に屈してしまう。
そんなのは絶対に嫌だ。
抱きしめられた腕の中、力の出ない手でノクスの服をぎゅっと握る。
「そんなに幸せなのだと言うなら、ずっと私といればいいんだわ」
「言われなくても、そのつもりだ」
ノクスの声は自信満々で、力強く言い切ってくれる。
そっと顔を見上げるようにすると、嬉しそうに頬を緩めてこちらを見てきた。
ゴツゴツとした手が首元を通って髪の中に入ってくる。
身を委ねるように目を瞑り、顔中に甘噛みを受け入れた。
最初は怖いと思った行為だったけれど、今なら分かる。
柔らかく当たる歯の感触に、この人がどれだけ私のことを愛おしんでくれているのか。
そっと確認するように、壊さないようにと口に含まれる。
初めて首を噛まれ、「きゃ」と声が出て身体が逃げてしまったけれど、「違うの、痛かったんじゃ無くて……」と弁解したら尻尾を激しく振って喜ばれた。
隣で大きな尻尾を振っているノクスは、噛んだり舐めたりすることで私を確かめる。
その間じゅう、「アイリーン」と何度も私の名前を呼んでいた。
ノクスに背負われて部屋に戻ってきた。
ベッド脇に降ろされると手足ががくがくする。力が残っていないんだわとベッドに倒れ込むと、ノクスは隣に座って私の頭をポンポンとした。
「みんな楽しそうだったな」
にこりと笑う顔から犬歯がはみ出している。
「体力が尋常じゃないのね、人狼って」
「半分狼だからな。人間とは違う」
ちょっと油断していた。
犬のボール遊びはそこまで激しくないから、こんな風になるなんて想像もできなかった。
使用人たちまでもが入り乱れてボールを巡って大興奮するなんて……。
最後全員にボールの取り合いをさせていたから「次をください」の要求がすごくて、ひたすらボールを投げ続け、ずっと歓声が上がっていた。
投げる側に来ようとする人は誰もいなくて、要するにみんなボールを追ってキャッチしたらこちらまで持ってくる、という行為が楽しそうだったのよね。
走ってくるときのみんなの尻尾は揺れていて、確か尻尾でバランスを取って走っているんだったわねと感動してしまったし、ボールを持っている時の顔が全員生き生きしていて嬉しかった。
私は周りがよく見えていなかったけど、みんなの目が暗闇で光っていた。
人狼の耳と尻尾は動きが割と見えることがあって、キュンとしてしまったりして……。
「うちの使用人は、みんなアイリーンを好きになった」
「ほんとに? ただボールを投げていただけよ?」
「あんな風に根気よく付き合ってくれる『奥様』などいない」
「アイリーンって本名を普通に使われてしまったから、公爵家が何か言ってこないか心配」
反応が返ってこなかったから、どうしたのかしらとベッドでごろんと体勢を変えてノクスを見上げる。
「公爵家と皇帝は、何を狙っているんだろうな」
ノクスが腕を組んでいつになく真剣な顔をしていた。
ディエスと違い、ノクスは公爵様にも皇帝陛下にも会ったことはないはずだ。
戦時中は、ディエスが黒魔術でノクスを封じていたから。
「公爵様と皇帝陛下の記憶は? ノクスにもあるの?」
「ディエスを通して見ていた。悪意をこちらに向けてきたりはしなかったが、あそこまで冷酷になれる人間を他に知らない」
「それは、公爵様のこと?」
「皇帝だって大して変わらない。あの二人は人の犠牲をなんとも思っていない」
そうでしょうね、と私はうなずく。
心を痛める人であれば、私に対してもう少し同情や気を遣う素振りをしたはずだもの。
皇帝陛下は、一度も身代わりになる私のことを気にかけていなかったように思う。
少なくとも、私に対して伝言のひとつすらよこさなかった。
それが皇帝陛下という人なのだと思ったから、別に傷ついたりはしなかったけれど。
「アイリーンのことをどう思ってるのかが不気味だ」
「ユリシーズとうまくやっているから、それで納得してくれないのかしら」
「ディエスから聞いただろ? 少なくとも公爵は俺を消したがってる」
そう、確かに聞いた。
ユリシーズは公爵様に殺されそうになっていたらしいし、それが成功しなかったことで報復される心配だってしているに違いない。
私を送り込んだ狙いに、ユリシーズの暗殺があってもおかしくない。
顔を覆う。
悔しい。
ユリシーズは何も悪いことなんかしていないのに。
戦争が終わったら使い捨てのように殺されるなんて、そんなの納得できないわ。
「アイリーン。泣いてるのか?」
「泣いてないわ。腕が疲れただけ……」
誤魔化したけれど、ノクスは顔を覆った手についた涙を丁寧に舐めて「泣くな」と静かに言った。
「大丈夫だ。死神伯の正体は人狼で、簡単にはやられない」
「だけど、こんなのってないでしょう? ユリシーズは英雄なのに」
「戦争に英雄なんか要らない。ただの人殺しだ」
「そんな……」
私の涙がぽろぽろとベッドに零れていく。
「いいんだ。人狼は殺人に対する罪の意識は薄い。テリトリーを侵すやつを容赦なく殺す遺伝子が入ってる。それより、アイリーンに危険が及ばないか心配だ」
ノクスはそう言いながら私の涙を舌で拭っていた。
狼は、身内を守るために生死をかけて戦う生き物なのだと思う。
だから、ユリシーズは家族や仲間を戦場で失った心の傷が深い。
「あなたの迷惑にならないように、こうしてなるべく一緒にいることにしたの」
ノクスが目を細めて、私に沿うようにベッドに横になった。
頬を甘噛みされると、そっと唇が重なる。
「アイリーンと少しでも長くいられるのは、嬉しい。腕が使い物にならなくなるまでボールを投げ続けてくれる妻を持てて幸せだ」
「あんなに楽しんでくれるなんて思わなくて、もうくたくたよ」
くすくす笑うと、ノクスにぎゅうっと抱きしめられた。
気持ちが伝わってきて、胸が苦しい。
私が人質に取られたら、ユリシーズはディエスもノクスも簡単に屈してしまう。
そんなのは絶対に嫌だ。
抱きしめられた腕の中、力の出ない手でノクスの服をぎゅっと握る。
「そんなに幸せなのだと言うなら、ずっと私といればいいんだわ」
「言われなくても、そのつもりだ」
ノクスの声は自信満々で、力強く言い切ってくれる。
そっと顔を見上げるようにすると、嬉しそうに頬を緩めてこちらを見てきた。
ゴツゴツとした手が首元を通って髪の中に入ってくる。
身を委ねるように目を瞑り、顔中に甘噛みを受け入れた。
最初は怖いと思った行為だったけれど、今なら分かる。
柔らかく当たる歯の感触に、この人がどれだけ私のことを愛おしんでくれているのか。
そっと確認するように、壊さないようにと口に含まれる。
初めて首を噛まれ、「きゃ」と声が出て身体が逃げてしまったけれど、「違うの、痛かったんじゃ無くて……」と弁解したら尻尾を激しく振って喜ばれた。
隣で大きな尻尾を振っているノクスは、噛んだり舐めたりすることで私を確かめる。
その間じゅう、「アイリーン」と何度も私の名前を呼んでいた。
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