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2章
クリスティーナの縁
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今日はクリスティーナ姫にゆかりがあるという方と面談をした。
帝国の警察部隊をまとめているというお兄様、成績優秀らしい弟、乳母。
クリスティーナ姫に姉妹はいないらしい。
家族関係は予想通り、優しそうな雰囲気はなかった。
偉そうな「お兄様」はお妃様と同じキャラメル色のウェーブヘアで、薄茶色の目で私をじっくりと観察し、「よく似ているが、全く違う」と言っていた。それも、人を見下す目をして。
奥様がいる人らしいけれど、恐らく外に女性がいる人だ。
賭博場で会った人種と同じ目をしていた。
世の中全てが面白くないと言いたげで、退廃的な思考をしている人たちが持つ、独特の目。
赤毛の「弟」は、私とあまり身長が変わらない男の子だった。
私のことに全く関心がないといった体で「どうでもいいので、もういいでしょうか?」と言って早々に面会を終わらせた。
余計なことに巻き込まれたくないという意思表示だとしたら、噂通り頭が良いのかもしれない。
そしてクリスティーナ姫の乳母だという女性、『オルガ』さん。
私の母親よりひと回りほど年上に見えた。髪の半分くらいが白髪になっていて、髪は全体的に灰色っぽい人。
お妃様以上に鋭い目でこちらを見て来る方で、「あなたが『クリスティーナ様』?」と棘のある口調で挨拶をされた。
あなたが教育したらしいクリスティーナ姫とは違うでしょうね、と言いたかったけれど、なんとなく面倒なことになりそうだからやめた。
クリスティーナ姫と話せる機会があったら、オルガさんとのエピソードを聞いてみたい。
あんなに偏屈そうな人と、どんな風に付き合ってきたのかしら。
今は持ち出してきた本をめくり、冒険の物語を読んでいる。
クリスティーナ姫も、この本を読みながら外に出ていく憧れを抱いたのかしら。
海を跨ぐような外出はできないはず。少なくとも、この物語に出てくる少年少女たちのように護衛もつけずに冒険に出かけるなんて、世界が違い過ぎる。
外には昨日よりも満月に近づいた月が夜空に浮かんでいた。
「まだ、家に帰してもらえそうにないわね」
護衛は部屋の外に立っているから、部屋でひとりきり。
本来なら、明日の満月前夜に猪をいただくはずだった。
ユリシーズを殺すために奮闘する人たちに交じって、こんなところで何をやっているのだろう。
手紙は出せたけれど、返事が私の元に届けられるかも分からない。
ユリシーズはどんな風に過ごしているのかしら。ちゃんと食事はできている?
思えばノクスは、私のために猪を狩るように言ったのだわ。
あの人のことだから、大型で狩るのが難しい猪を生け捕りすることで、私を喜ばせようとしてくれたのかもしれない。
動物って、狩った獲物を見せてきて自慢するものよね、猫とか……。
「あんな風に怒ったせいで、私はここにいるのね」
ペトラと公爵家がどう繋がっていたのか気になる。
ペトラが私を調べていなければ、ユリシーズと喧嘩していた情報も知らなかったはず。こういう機会が訪れるのを、ずっと待っていたのかしら。
遅かれ早かれ、公爵様はユリシーズ暗殺に動く。
どうして公爵様が私を手下にできると思ったのか理解に苦しむけれど、皇帝陛下に売られた私なら、死神伯よりも公爵様の言うことを聞くだろうと思ったのかしら。
駒に選ばれたことを感謝しなくては。
『お父様』の正体を知ることができて、ユリシーズの復讐心が被害妄想ではないと確信できた。
少しでも長く、ユリシーズの傍にいてあげたい。
あなたを傷つけた人が私を身代わりにしたけれど、そのお陰で夫婦になれた。
形だけの「高貴さ」なんかにあなたの高潔さは理解できない。
守ることができるかしら。
生涯の伴侶に私を選んでくれたあなたを。
帝国の警察部隊をまとめているというお兄様、成績優秀らしい弟、乳母。
クリスティーナ姫に姉妹はいないらしい。
家族関係は予想通り、優しそうな雰囲気はなかった。
偉そうな「お兄様」はお妃様と同じキャラメル色のウェーブヘアで、薄茶色の目で私をじっくりと観察し、「よく似ているが、全く違う」と言っていた。それも、人を見下す目をして。
奥様がいる人らしいけれど、恐らく外に女性がいる人だ。
賭博場で会った人種と同じ目をしていた。
世の中全てが面白くないと言いたげで、退廃的な思考をしている人たちが持つ、独特の目。
赤毛の「弟」は、私とあまり身長が変わらない男の子だった。
私のことに全く関心がないといった体で「どうでもいいので、もういいでしょうか?」と言って早々に面会を終わらせた。
余計なことに巻き込まれたくないという意思表示だとしたら、噂通り頭が良いのかもしれない。
そしてクリスティーナ姫の乳母だという女性、『オルガ』さん。
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お妃様以上に鋭い目でこちらを見て来る方で、「あなたが『クリスティーナ様』?」と棘のある口調で挨拶をされた。
あなたが教育したらしいクリスティーナ姫とは違うでしょうね、と言いたかったけれど、なんとなく面倒なことになりそうだからやめた。
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あんなに偏屈そうな人と、どんな風に付き合ってきたのかしら。
今は持ち出してきた本をめくり、冒険の物語を読んでいる。
クリスティーナ姫も、この本を読みながら外に出ていく憧れを抱いたのかしら。
海を跨ぐような外出はできないはず。少なくとも、この物語に出てくる少年少女たちのように護衛もつけずに冒険に出かけるなんて、世界が違い過ぎる。
外には昨日よりも満月に近づいた月が夜空に浮かんでいた。
「まだ、家に帰してもらえそうにないわね」
護衛は部屋の外に立っているから、部屋でひとりきり。
本来なら、明日の満月前夜に猪をいただくはずだった。
ユリシーズを殺すために奮闘する人たちに交じって、こんなところで何をやっているのだろう。
手紙は出せたけれど、返事が私の元に届けられるかも分からない。
ユリシーズはどんな風に過ごしているのかしら。ちゃんと食事はできている?
思えばノクスは、私のために猪を狩るように言ったのだわ。
あの人のことだから、大型で狩るのが難しい猪を生け捕りすることで、私を喜ばせようとしてくれたのかもしれない。
動物って、狩った獲物を見せてきて自慢するものよね、猫とか……。
「あんな風に怒ったせいで、私はここにいるのね」
ペトラと公爵家がどう繋がっていたのか気になる。
ペトラが私を調べていなければ、ユリシーズと喧嘩していた情報も知らなかったはず。こういう機会が訪れるのを、ずっと待っていたのかしら。
遅かれ早かれ、公爵様はユリシーズ暗殺に動く。
どうして公爵様が私を手下にできると思ったのか理解に苦しむけれど、皇帝陛下に売られた私なら、死神伯よりも公爵様の言うことを聞くだろうと思ったのかしら。
駒に選ばれたことを感謝しなくては。
『お父様』の正体を知ることができて、ユリシーズの復讐心が被害妄想ではないと確信できた。
少しでも長く、ユリシーズの傍にいてあげたい。
あなたを傷つけた人が私を身代わりにしたけれど、そのお陰で夫婦になれた。
形だけの「高貴さ」なんかにあなたの高潔さは理解できない。
守ることができるかしら。
生涯の伴侶に私を選んでくれたあなたを。
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