悪役令嬢の姉は異世界転移しない~ツミビトライク・ループ~

影帽子

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学校生活編1

学校生活編1・プロローグ

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「相手にしてられるかッ! こんなやつ!」

「カッコよく登場したくせにぃぃいぃっー!!」

「魔法を使えないとか聞いてないんだよ!!」

 私とガルガは必至に走り回っていた。
 無人の校舎裏は広いようで狭いのである。

「また行き止まり!?」

「さっきから何なんだよ! ここはよ!」

 校舎裏から繋がる校庭とか目と鼻の先にあるのに、透明な壁があって進むことが出来ない。
 四方八方が大体そんな感じだった。

「これって結界的なアレじゃないのー!」

「結界ならすぐに破れるだろうがよ! ……待てよ? これも魔法が使えないせいなのか!」

「多分それぇー!」

 大声で話しながら走っていたせいか、そろそろ息が切れてきた。
 むしろ良くもったほうだよ私。

「ああクソ! 覚悟決めるか!」

「ガルガ!?」

 一緒に逃げ回っていた相棒が急停止して後方に向かって行く。
 それは無茶だって!?

「これでもカムイの奴に拳で負けたことはないんだよ! やってやるぜ!」

「カムイ様はどっちかと言えば僧侶ポジじゃん!? 何でカムイ様を基準にしちゃったの!?」

「うるせえ! ──さあ来いよ。化け物さんよぉ!」

 あぁ! もう黒ローブの人に追いつかれてる!?
 ガルガが対峙しようとしているのは本物のバスターソードをぶつけても平然としているような規格外だ。
 武器が折れてしまった素手のガルガに勝ち目があるはずは──

 ……あれ? 真っ黒ローブの人ってこんなだったっけ?

 もっと滅茶苦茶な強さだったような……

「おいぃぃッ! けろやライラ!!」

「へ?」

 ガルガを素通りして化け物さんが私に向かってきている? マジでー!?

「クソがァァッ!!」

 ズブッと何かが刺される音。

「……クソいってぇッ!」

 迫ってきていた黒いナイフがガルガの左手に刺さり、即座に抜かれる。
 ローブが一旦後退していた。
 私をかばってくれたの!?

「大丈夫!?」

「お前がチンタラしているのが悪いんだよ! ……で、大丈夫なのか?」

「私は平気。ガルガのおかげだよ!」

「……ふん、ならいい。傷はツバでも付けていたら自然に治るだろ」

「それは無理でしょ!? 血ドクドク出てるよ!?」

 ……あれ? そう言えば、何で黒ローブの人は襲って来ないんだろ?
 空気読んでるとか?

「何だか知らねえが襲って来ないなら好都合だ。こっちから仕掛けてやるぜ」

「止血! まずは止血しなくちゃ!」

「後でな!」

「後じゃ駄目でしょ!?」

「クソが! 折れても剣は捨てるべきじゃなかったぜ。ナイフがクソやっかいだ」

「私拾ってくる!」

「だー! またライラのほうに行きやがるのか! 今度は行かせねえよ!」

「ガルガ無事!?」

「当たり前だろ! 俺はまだ死ねないんだよ! 白い大きな家で美人の嫁さんと愛犬に囲まれて幸せな日々を送るまではな!」

「意外に乙女チックな夢!?」

「うるせえよ! チャチャ入れている暇があるんだったら手伝え!」

「何とかなりそうなの?」

「何とかするんだよ! とりあえずそこの剣でも拾って渡せ」

「了解!」



 ──乙女ゲーム『ツミビトライク』の世界で、悪役令嬢の姉になってしまった私は、今日もトラブルに巻き込まれていた。






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