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第九章 嵐の前
戦いの後
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座り込むナナシの周囲に、8人のレジオナたちが群がっていた。
頭部の半分が白髪、半分が黒髪のレジオナが3人、ナナシの切り飛ばされた脚を接合している。骨をプレートで固定し、血管や神経、筋組織を丁寧に縫合してゆく。腕の横では黒髪をふたつお団子に結ったレジオナたちが4人、同様に作業していた。
意識の共有が可能なレジオナたちは、一糸乱れぬ正確さで作業を進めている。
「んも~、そこジャマなんよ~。うでがあ~た~る~!」
「ちょ~やめて~。ほら~も~ずれたじゃんよ~」
「あ~も~、これくすりゆびじゃん! なかゆびどれよ~?」
「あっ……な、なんでもないんよ~。ん~ふふ~ん♪」
どうやらそこまで統制は取れていないようだ。
ナナシの腹部をさっさと縫い終えた赤髪のレジオナが、ナナシの隣でふにゃふにゃと憤慨する。
「あんのクソ勇者、つぎにあったら容赦しないんだかんね~!」
「えっ、あれで死んでないんだ!? 復活の呪文みたいのがあるの?」
いまだ『蘇生』の存在を知らぬナナシが驚いて聞き返した。
「ま~、春の女神の大司教とかなら『蘇生』ってのがつかえるんよ~。あんま時間たったら魂がきえちゃうからヤバいんだけどさ~」
「へえ。それって魂が大いなるエネルギーに溶けちゃうみたいな?」
「ま~そゆこと~」
ナナシやエルフのようなエネルギー体と違い、生物の魂は世界のエネルギーとそこまで親和性が高くない。そのため、肉体が消滅しても1日程度ならばその存在を保つ事ができる。この間に『蘇生』等を使えば、再び肉体へと魂を呼び戻す事が可能なのだ。
そして、ナナシがふと疑問を口にする。
「もし魂が消滅してるのに『蘇生』を使ったらどうなるんだろ?」
「フヒヒ、おしえたげよ~か~。ナナシたん、哲学的ゾンビってしってる~?」
レジオナの口から、何やら不穏な単語が飛び出した。
「どっかで言葉だけは聞いた事あるような……」
「ま~簡単にいうと~、生きててちゃんと反応すんだけど~、実は意識がないってにんげんの事なんよ~」
「意識が無いのに反応するんだ?」
「それはま~りろん上の存在だけど~、ほら、こっちの世界は魂が実在しちゃうからさ~」
「つまり、魂が無くても蘇生は可能で、意識を持たない人間になるって事?」
「意識があんのかないのかは外からじゃわかんないけどね~。魔術師ギルドではゆ~め~な話があるんよ~」
「くわしく」
それはレジオナのふにゃふにゃとした説明によると、以下のような話であった。
昔ある高名な魔術師が、死んだ時の保険として自らの薬指を切り落とし、生かしたまま保管していた。その魔術師はとある探索行で命を落とすが、様々な不運が重なり、ギルドに連絡が届いたのは死亡してから3日後の事であった。
魔術師は多額の財産を春の女神に寄進しており、万が一の時は『蘇生』を行ってもらうよう約束していた。もはや日数的にも魂が残っている可能性は低かったが、一縷の望みにかけて『蘇生』が祈念される事となった。
その結果、魔術師は見事復活を果たしたものの、魔法をはじめとする全てのスキルを失っていた。日常生活には何の支障もなく、記憶も損なわれておらず、感情表現も生前と変わりなかったが、スキルはついに戻る事は無かった。
この事から、スキルや魔素を操る能力は魂に結びついて存在しており、なおかつ魂が無くとも人間は生きていられるのではないかという仮説が導かれた。しかしこの状態を再現するためには様々な倫理的、金銭的な壁が大きく、いまだ研究は進んでいない。
そして件の魔法使いは、自らに魂が無いという事実に耐え切れなかったのか、ほどなく失踪しその行方は杳として知れないままである。
この話を聞いて、ナナシは考え込む。
「魂が無くても魂の有無に関して悩むものなのかな?」
「そこなんよ~。魂がじっさい観測されちゃってるこの世界だとさ~、もし魂が無くなったらどうなるかって疑問もそんざいするわけでしょ~」
「ふむふむ」
「つまり~、脳の中にそ~いう思考回路が形成されちゃってれば~、魂がなくなったあとも反応する回路はのこってるでしょ~。そこに魂がないかも~って入力があれば~、なんらかの出力があっちゃうわけなんよ~」
「じゃあ最初から魂のない世界だと、そもそも魂についての疑問がわかないのかな? それだと、魂の存在が思考によって逆に証明されちゃうんじゃ?」
「なかなか掘りさげてくんね~、ナナシたん。こ~ゆ~のきょ~みあんなら、こんどモニカちんもいっしょに語りあかしちゃう~?」
「そうだ、モニカといえば、城下町の方は大丈夫だったのかな」
「うんにゃ、ぜ~んぜんだいじょ~ぶじゃないんよ~。ナナシたんへの貢ぎ物の列を捌くのにめっちゃ手間かかってんだから~。目録がわりにモニカちんに記憶させてるから、だいぶ時短できてるけどね~」
「あれって、そのまま有耶無耶にならなかったんだ……」
「んま~、目の前でかつやくしちゃったかんね~。しゃ~ないでしょ~。貢ぎ物は私たちがあずかっとくからさ~、てあてがおわったらちょこっと顔みせてあげれば~? みんな喜ぶとおもうんよ~」
和気あいあいと治療を続けるナナシたちに、戦闘の後始末を差配し終えた魔王ロックが声をかけた。
「ナナシ、今回は世話になったな。我が領民を救ってくれた事、心より感謝する」
それを聞いたナナシは無事な方の手をはたはたと振る。
「いえいえ、自衛のためにやっただけなんで、お気になさらず」
「戦争に関わるなと言っておいて何だが、大きな借りが出来たな。私に出来る事があればいつでも言ってくれ、力になろう」
「あっ、じゃあ戦争やめてもらってもいいですか?」
さらっと答えたナナシの言葉に、レジオナがけらけらと笑う。ロックはそれを横目で睨みつけるが、やがてため息を吐くと首筋をさすりながら苦笑した。
「まあ、さすがにそれは無理だな。今回、我が軍には300人以上死傷者が出ている。フレッチーリ王国と勇者の思惑がどうあれ、こちらとしては先に戦争を仕掛けられたと言っても過言ではない」
「でも、それは魔王軍がこんなに集結して戦争の準備をしていたからじゃ……」
「違うな、今は魔族そのものが甘く見られている状態なのだよ。ジルバラント王国が国境付近に兵を集めたとして、いきなり勇者が襲い掛かったりすると思うか?」
「うーん、どうだろ。あんなに血の気が多そうな勇者ならやっちゃうかも」
「……まあ我々の転生前の世界を考えても、独裁者がとんでもない戦争を引き起こす事はあったからな。ともかく、その根底にあるのは相手に対する侮りだよ。攻め込んでしまえばどうとでもなるという驕りがあるからそういう行動に出る」
「確かに、負けると思ってたらやらないかも」
「今回の急襲も、魔王軍なんぞ簡単に蹴散らせると思っているからこその行動だろう。しかも戦略級殲滅魔法の使用に至っては、こちらが同じ手で報復する可能性すら念頭にない」
「まさか……」
魔王ロックの不穏な言葉に、表情を険しくするナナシ。ロックは肩をすくめると言葉を続ける。
「やらんよ。今回の戦争の目的は、領土の奪還だけじゃない。我々の戦力を誇示する事によって、魔王領を西方諸国に国家として認めさせる事も大きな目的のひとつだ。後々あまりに大きな遺恨を残す様な虐殺をするべきではない」
ロックの言葉を全面的に信用する事は出来ないが、それでもナナシはホッと肩の力を抜く。軍隊同士の殺し合いはまあ仕方がないとはいえ、民間人、ましてや子供たちが犠牲になるのは見過ごせない。
ナナシとロックの話がひと段落したのを見て、レジオナがふにゃふにゃと提案する。
「ナナシたんさ~、鬼切玉宿壊れちゃったから、なんかい~い武器でもせしめたら~?」
「あっ、そういえばこれ……」
ナナシは傍らに置いていた鬼切玉宿をおずおずと差し出した。成り行きで手に入れた武器ではあるが、元はと言えば魔王の所有物である。ロックは綺麗に両断された鬼切玉宿と、ナナシの脇に置かれた突剣キシフォイドを見比べ、言う。
「剣が壊れたのは構わんが、さすがにその神骨金の剣よりいい武器は所有してないぞ」
「あ~、これは借りもんなんよ~。10分で金貨10枚もすんだかんね~」
「えっなにそれ聞いてない」
いきなり飛び出した驚愕の料金設定に慌てるナナシ。のんびり治療している場合ではない。
「神骨金の剣をその値段で借りれるなら安いものだな。まあ、新しい武器が必要と言うなら借りを返す意味で提供しよう。ドワーフ地下工房への紹介状を出すから、そっちで見繕ってもらうといい」
ロックの言葉に、レジオナがふにゃふにゃと喜ぶ。
「やった~! め~っちゃすごいの注文して国庫破綻させちゃおうぜえ~! いえ~い!」
「馬鹿を言うな、予算は金貨千枚までだ」
「え~、何万人たすけたとおもってんの~。いのちは地球よりおもいんよ~!」
「この世界ではそこまで重くはないな。なんにせよ無い袖は振れん」
「ちえ~、けちくさいでやんの~。ね~ナナシたん」
勝手に盛り上がったレジオナに同意を求められ、ナナシは慌てて手を振りながらロックに言う。
「いえいえ、十分ですから! ホントありがとうございます、助かります!」
「君は実によくできた人物だな。レジオナに爪の垢でも煎じて飲ませてやってくれ」
「ま~、ナナシたんはチームレジオナの良心だかんね~。人気が出るのもとうぜんなんよ~」
そんなやり取りをしているうちに、レジオナたちによるナナシの治療が終わる。ロックの指示によりドワーフ地下工房への紹介状を受け取ったナナシは、城下町で待つ仲間の元へと向かった。
頭部の半分が白髪、半分が黒髪のレジオナが3人、ナナシの切り飛ばされた脚を接合している。骨をプレートで固定し、血管や神経、筋組織を丁寧に縫合してゆく。腕の横では黒髪をふたつお団子に結ったレジオナたちが4人、同様に作業していた。
意識の共有が可能なレジオナたちは、一糸乱れぬ正確さで作業を進めている。
「んも~、そこジャマなんよ~。うでがあ~た~る~!」
「ちょ~やめて~。ほら~も~ずれたじゃんよ~」
「あ~も~、これくすりゆびじゃん! なかゆびどれよ~?」
「あっ……な、なんでもないんよ~。ん~ふふ~ん♪」
どうやらそこまで統制は取れていないようだ。
ナナシの腹部をさっさと縫い終えた赤髪のレジオナが、ナナシの隣でふにゃふにゃと憤慨する。
「あんのクソ勇者、つぎにあったら容赦しないんだかんね~!」
「えっ、あれで死んでないんだ!? 復活の呪文みたいのがあるの?」
いまだ『蘇生』の存在を知らぬナナシが驚いて聞き返した。
「ま~、春の女神の大司教とかなら『蘇生』ってのがつかえるんよ~。あんま時間たったら魂がきえちゃうからヤバいんだけどさ~」
「へえ。それって魂が大いなるエネルギーに溶けちゃうみたいな?」
「ま~そゆこと~」
ナナシやエルフのようなエネルギー体と違い、生物の魂は世界のエネルギーとそこまで親和性が高くない。そのため、肉体が消滅しても1日程度ならばその存在を保つ事ができる。この間に『蘇生』等を使えば、再び肉体へと魂を呼び戻す事が可能なのだ。
そして、ナナシがふと疑問を口にする。
「もし魂が消滅してるのに『蘇生』を使ったらどうなるんだろ?」
「フヒヒ、おしえたげよ~か~。ナナシたん、哲学的ゾンビってしってる~?」
レジオナの口から、何やら不穏な単語が飛び出した。
「どっかで言葉だけは聞いた事あるような……」
「ま~簡単にいうと~、生きててちゃんと反応すんだけど~、実は意識がないってにんげんの事なんよ~」
「意識が無いのに反応するんだ?」
「それはま~りろん上の存在だけど~、ほら、こっちの世界は魂が実在しちゃうからさ~」
「つまり、魂が無くても蘇生は可能で、意識を持たない人間になるって事?」
「意識があんのかないのかは外からじゃわかんないけどね~。魔術師ギルドではゆ~め~な話があるんよ~」
「くわしく」
それはレジオナのふにゃふにゃとした説明によると、以下のような話であった。
昔ある高名な魔術師が、死んだ時の保険として自らの薬指を切り落とし、生かしたまま保管していた。その魔術師はとある探索行で命を落とすが、様々な不運が重なり、ギルドに連絡が届いたのは死亡してから3日後の事であった。
魔術師は多額の財産を春の女神に寄進しており、万が一の時は『蘇生』を行ってもらうよう約束していた。もはや日数的にも魂が残っている可能性は低かったが、一縷の望みにかけて『蘇生』が祈念される事となった。
その結果、魔術師は見事復活を果たしたものの、魔法をはじめとする全てのスキルを失っていた。日常生活には何の支障もなく、記憶も損なわれておらず、感情表現も生前と変わりなかったが、スキルはついに戻る事は無かった。
この事から、スキルや魔素を操る能力は魂に結びついて存在しており、なおかつ魂が無くとも人間は生きていられるのではないかという仮説が導かれた。しかしこの状態を再現するためには様々な倫理的、金銭的な壁が大きく、いまだ研究は進んでいない。
そして件の魔法使いは、自らに魂が無いという事実に耐え切れなかったのか、ほどなく失踪しその行方は杳として知れないままである。
この話を聞いて、ナナシは考え込む。
「魂が無くても魂の有無に関して悩むものなのかな?」
「そこなんよ~。魂がじっさい観測されちゃってるこの世界だとさ~、もし魂が無くなったらどうなるかって疑問もそんざいするわけでしょ~」
「ふむふむ」
「つまり~、脳の中にそ~いう思考回路が形成されちゃってれば~、魂がなくなったあとも反応する回路はのこってるでしょ~。そこに魂がないかも~って入力があれば~、なんらかの出力があっちゃうわけなんよ~」
「じゃあ最初から魂のない世界だと、そもそも魂についての疑問がわかないのかな? それだと、魂の存在が思考によって逆に証明されちゃうんじゃ?」
「なかなか掘りさげてくんね~、ナナシたん。こ~ゆ~のきょ~みあんなら、こんどモニカちんもいっしょに語りあかしちゃう~?」
「そうだ、モニカといえば、城下町の方は大丈夫だったのかな」
「うんにゃ、ぜ~んぜんだいじょ~ぶじゃないんよ~。ナナシたんへの貢ぎ物の列を捌くのにめっちゃ手間かかってんだから~。目録がわりにモニカちんに記憶させてるから、だいぶ時短できてるけどね~」
「あれって、そのまま有耶無耶にならなかったんだ……」
「んま~、目の前でかつやくしちゃったかんね~。しゃ~ないでしょ~。貢ぎ物は私たちがあずかっとくからさ~、てあてがおわったらちょこっと顔みせてあげれば~? みんな喜ぶとおもうんよ~」
和気あいあいと治療を続けるナナシたちに、戦闘の後始末を差配し終えた魔王ロックが声をかけた。
「ナナシ、今回は世話になったな。我が領民を救ってくれた事、心より感謝する」
それを聞いたナナシは無事な方の手をはたはたと振る。
「いえいえ、自衛のためにやっただけなんで、お気になさらず」
「戦争に関わるなと言っておいて何だが、大きな借りが出来たな。私に出来る事があればいつでも言ってくれ、力になろう」
「あっ、じゃあ戦争やめてもらってもいいですか?」
さらっと答えたナナシの言葉に、レジオナがけらけらと笑う。ロックはそれを横目で睨みつけるが、やがてため息を吐くと首筋をさすりながら苦笑した。
「まあ、さすがにそれは無理だな。今回、我が軍には300人以上死傷者が出ている。フレッチーリ王国と勇者の思惑がどうあれ、こちらとしては先に戦争を仕掛けられたと言っても過言ではない」
「でも、それは魔王軍がこんなに集結して戦争の準備をしていたからじゃ……」
「違うな、今は魔族そのものが甘く見られている状態なのだよ。ジルバラント王国が国境付近に兵を集めたとして、いきなり勇者が襲い掛かったりすると思うか?」
「うーん、どうだろ。あんなに血の気が多そうな勇者ならやっちゃうかも」
「……まあ我々の転生前の世界を考えても、独裁者がとんでもない戦争を引き起こす事はあったからな。ともかく、その根底にあるのは相手に対する侮りだよ。攻め込んでしまえばどうとでもなるという驕りがあるからそういう行動に出る」
「確かに、負けると思ってたらやらないかも」
「今回の急襲も、魔王軍なんぞ簡単に蹴散らせると思っているからこその行動だろう。しかも戦略級殲滅魔法の使用に至っては、こちらが同じ手で報復する可能性すら念頭にない」
「まさか……」
魔王ロックの不穏な言葉に、表情を険しくするナナシ。ロックは肩をすくめると言葉を続ける。
「やらんよ。今回の戦争の目的は、領土の奪還だけじゃない。我々の戦力を誇示する事によって、魔王領を西方諸国に国家として認めさせる事も大きな目的のひとつだ。後々あまりに大きな遺恨を残す様な虐殺をするべきではない」
ロックの言葉を全面的に信用する事は出来ないが、それでもナナシはホッと肩の力を抜く。軍隊同士の殺し合いはまあ仕方がないとはいえ、民間人、ましてや子供たちが犠牲になるのは見過ごせない。
ナナシとロックの話がひと段落したのを見て、レジオナがふにゃふにゃと提案する。
「ナナシたんさ~、鬼切玉宿壊れちゃったから、なんかい~い武器でもせしめたら~?」
「あっ、そういえばこれ……」
ナナシは傍らに置いていた鬼切玉宿をおずおずと差し出した。成り行きで手に入れた武器ではあるが、元はと言えば魔王の所有物である。ロックは綺麗に両断された鬼切玉宿と、ナナシの脇に置かれた突剣キシフォイドを見比べ、言う。
「剣が壊れたのは構わんが、さすがにその神骨金の剣よりいい武器は所有してないぞ」
「あ~、これは借りもんなんよ~。10分で金貨10枚もすんだかんね~」
「えっなにそれ聞いてない」
いきなり飛び出した驚愕の料金設定に慌てるナナシ。のんびり治療している場合ではない。
「神骨金の剣をその値段で借りれるなら安いものだな。まあ、新しい武器が必要と言うなら借りを返す意味で提供しよう。ドワーフ地下工房への紹介状を出すから、そっちで見繕ってもらうといい」
ロックの言葉に、レジオナがふにゃふにゃと喜ぶ。
「やった~! め~っちゃすごいの注文して国庫破綻させちゃおうぜえ~! いえ~い!」
「馬鹿を言うな、予算は金貨千枚までだ」
「え~、何万人たすけたとおもってんの~。いのちは地球よりおもいんよ~!」
「この世界ではそこまで重くはないな。なんにせよ無い袖は振れん」
「ちえ~、けちくさいでやんの~。ね~ナナシたん」
勝手に盛り上がったレジオナに同意を求められ、ナナシは慌てて手を振りながらロックに言う。
「いえいえ、十分ですから! ホントありがとうございます、助かります!」
「君は実によくできた人物だな。レジオナに爪の垢でも煎じて飲ませてやってくれ」
「ま~、ナナシたんはチームレジオナの良心だかんね~。人気が出るのもとうぜんなんよ~」
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