裏でこっそり最強冒険者として活動していたモブ職員は助けた美少女にめっちゃ見られてます

木嶋隆太

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第30話

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 五月二十九日。
 Gランクの試練迷宮が解放された。
 ……この日のために、レールゴルの街に集まった冒険者は多い。

 異世界の各街からだけではなく、地球の各国の冒険者たちもだ。

 その数は、かなりのものになっていて、迷宮近くにある街のギルドは、それはもう大忙しの日となる。
 だからまあ、専属契約のない職員はそれはもう大変なんだよな。

 俺はというと、今日は特に大きな問題はない。
 自宅にて、アイフィの支援をするための環境づくりもすでにできている。
 迷宮に入ってからも、通信設備などは問題なく通じるので、試練迷宮に挑戦するときはカメラなどを通じて遠隔での管理を行うのが基本だ。

 カメラが搭載された自動追従型のドローンとアイフィとの通話用のマイクもすでに準備はできている。
 その時、部屋のリビングにアイフィがやってきた。
 いつもと格好に大きな変化はない。
 ただ、いつもとは違い、片耳を塞がないようにイヤホンがついているくらいだ。

「準備、できましたよ」
「よし、いくとするか」

 家で待機していてもいいが、今日はアイフィが初めて試練迷宮に挑戦する日だ。
 行けるところまでは一緒にいて、彼女を応援してやりたかった。
 部屋を出て、迷宮へと向かって歩いていく。

 俺たちと同じような様子の冒険者たちの姿がいくつもある。
 職員と冒険者が一人ずつの場合もあれば、職員が複数の冒険者とともに歩いていることもある。
 一人で数名見ていることもあれば、例えば仲の良い職員に遠征をお願いしたというケースもあるだろう。

 ……そして、一人で行動している冒険者の姿もわずかだがある。
 職員が何かしらの理由で同行できないという場合もあるが……もう一つの可能性としては専属契約期間が終了してしまった子たちだ。

 一年の間にGランクの試練迷宮が攻略できない場合、あるいはその前に冒険者活動が厳しいと判断された場合は、専属契約が打ち切られることになる。
 目安としては、半年からだ。

 ……だが、多くの冒険者はその後も諦めきれずに活動することも少なくない。
 それだけ、多くの人にとって冒険者は憧れの存在なんだろう。

 ……まあ、今の時代、元冒険者の上位の人たちってキラキラしている人が多いからな。
 いわゆる、芸能人みたいな立場であり、地球でもよく元Sランク冒険者という肩書の人がテレビなどに出ているものだ。

 だが、現実としては、Gランク冒険者になることだって難しい人だって多くいる。
 上の方ばかりが見られていて、平均年収が押し上げられているのだが、中央値はけっこう少ないというのが冒険者だ。

 街の外へと出ると、迷宮までずらずらと人が歩いているので迷うということはなさそうだ。
 俺たちもその列に混ざるようにして歩いていくと、ボルドルに声をかけられた。

「おっ、ショウじゃねぇか。なんだよ、ようやくGランク迷宮に挑戦するのか? おそくねぇか?」

 ボルドルが馬鹿にしたようにこちらを見てくる。彼の隣には控えめに会釈をしてきたルーナの姿があった。
 ボルドルがルーナの担当になっていたのは知っていたが、まさか今日同じように挑戦するとはな。

「色々と適正を見ていたからな。そっちも……今日挑戦するんだな」
「まあな。さっさとGランク冒険者くらいにはしてやらねぇといけないからな」

 まあ、ボルドルが見ているという不安はあるけど、俺よりも指導実績はあるからな。
 そのボルドルが、行けると判断しているんだから、俺がとやかくいうことではない。

「おまえには負けないからな!」
「勝ち負けじゃなくて、お互い無事に戻ってくることを祈るぞ」

 ……ボルドルは、どうにもルーナじゃなくて俺を見ているようだ。
 それだけ、アイフィを取られたことを根に持っているんだろう。

 まあ、今はそちらよりも……アイフィだな。
 外に出てから、彼女はずっと静かだ。

 今日のアイフィはいつもよりも気合いが入っている。
 いや、入りすぎてしまっている。
 緊張、というよりもそのやる気が空回りしてしまわないことが心配だ。

 迷宮へと到着すると、到着した順番に入っていく。
 一言、二言かわしてから皆が迷宮へと入っていく。
 職員たちは迷宮の近くにて、持ってきた椅子とノートパソコンを取り出し、すぐに担当の子と通話を始めている。

 俺たちの番が近づいてきた。
 アイフィをちらとみると、彼女はやる気満々だった。
 ……まだ、力は抜けていないな。

「アイフィ。リラックスしろ」
「……落ち着いていますよ?」
「肩の力、入りすぎだ。……やる気があるのはいいけど、ありすぎてもダメだぞ? いつも通りやれば、いいんだ」

 色々なGランク迷宮に入って、今日まで体を慣らしてきた。
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