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第5話
しおりを挟む私がにこりと微笑むと、ケルズ王子はそれはもう顔を青ざめて腰から崩れ落ちた。
私のほうを見てきたケルズ王子にもう一度微笑みかけてから、私は彼に片手を向けた。
……別に殺すつもりはないんだけど、そんなに怯えられるとは思っていなかった。
殺しちゃったら、本格的に国を敵に回すからね。まあ……聖女の力があればなんとかなりそうだけど、それでも殺人自体、私が嫌だからそこまではしない。
でも、散々馬鹿にされてきたんだから、ちょっとくらい呪っちゃってもいいよね?
「王子、一つ質問させてください。それに素直に答えてくれれば、命は見逃してあげましょう」
「……な、なんだ?」
「王子がこの世でもっとも嫌いな生き物はなんでしょうか?」
「……そ、それに答えればこ、殺さないんだな?」
「はい」
ケルズ王子は荒れた呼吸を繰り返していたが、やがて小さく言った。
「……カエル、だ。カエルが苦手だ」
「カエルですか……ありがとうございます。それでは、命は見逃しましょう。……『カーズ:変化』」
私はケルズ王子に向けて魔法を放った。ケルズ王子の体に光がぶつかった。
「き、貴様……っ!? だましたな!?」
ケルズ王子はゲホゲホとむせながら、しかし次には余裕そうに笑った。
「だ、だが魔法は不発に終わったようだな!」
ケルズ王子は驚いたような声をあげていた。周囲のみんなは驚いたように王子を見ていた。
……うんここまでうまくいくとは思わなかったかな。
聖女は、呪いを解除する力を持っているけど、それってつまりは呪いについて詳しくないとダメ。
つまり、相手を呪うこともできちゃうってわけ!
私が今かけた魔法は……体を変化させる魔法。私は片手を動かして、眼前に鏡を作り出した。
そこに王子を移すと……王子は顔を……というか全身を真っ赤にした。
「こ、これがオレだと!?」
そう、そこに移っているのは……カエルの姿になった王子様だ。
私は微笑を浮かべ、一礼の後に微笑んだ。
「お似合いですよ、ケルズ王子」
「こ、これが……オレ……おえぇぇ!」
ケルズ王子はショックのあまり吐いてしまったようだ。良かった。カエルになったおかげで大した量じゃない。
「さて、次は……あなたたちですかね」
私はちらとジャネット達を見た。彼女らは私を見てがたがたと震えていた。
そちらへと近づいた私はにこりと微笑んだ。
……さて、何の姿に変えようかしら? この国でもっとも嫌われているGと呼ばれる虫にしようかな? それとも、豚とか? それとも、やっぱり王子と仲が良いし、カエルにしてあげようか?
変化自体は色々できるんだけど、迷ってしまうなぁ。
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