帰還した元勇者はVRMMOで無双する。〜目指すはVTuber義妹を推して推しまくる生活~

木嶋隆太

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 さっきから、通知が鳴り止まない。
 ……見てみると、チャンネル登録を告げる通知だった。
 
 宣伝したから多少は登録者数が増えてもいいとは思っていたが、なんか想定以上の速度で増えていた。

 え? もう登録者数5000人突破?
 ネットとか見ていたら、収益化できる1000人にいくのもわりと大変と聞いていたんだけど?
 マジで?
 まだルルラのショート動画しかあげていないのに?
 もうこれルルラチャンネルに変えていいんじゃね?

 ……これって、もしかして舞のおかげなのだろうか?
 それとも、助けたあの空城院って子か?

 空城院って子って有名な人とかだったのだろうか?
 舞以外のことはよく知らん。舞の友達の使っている武器については知っているが、誰が何を使っていたかはまったく覚えていないし。
 まあ、理由はなんであれラッキー程度に思っておこう。
 とりあえず、俺はルルラが何かを感じ取っていたのを確認するため、彼女に声をかける。

「ルルラ、あそこの石碑で何を感じたんだ?」
「……なんだか怪しい気配が感じられました。魔力がもっと満ちているときに行ってみたらいいと思います」
「魔力が満ちているときってのはいつなんだ?」
「満月のとき、です」
「……満月か」
「あと、三日後くらいだと、思います」

 次の満月までとりあえずレベル上げとか配信とかそっち方面をやっていくとするかね。
 しばらくレベル上げをしていてログアウトしようとしたら、空城院なつみと天海マナからフレンド申請がきていた。
 メッセージもついていた。

『あとで改めてお礼させてください』
『ウチもあとで何かお礼をさせてください』

 律儀な子たちだなぁ。
 とりあえず、チャンネル登録者数に関わるかもしれないコネなので、フレンド登録は許可しておいた。



 配信を終えた私は……小さく息を吐いた。
 それから……天井をじっと見ながら、ぽつりとつぶやく。

「……かっこよかったなぁ」
「なに……? ひょっとこの兄貴のことっすか?」
「うえ!?」

 私の近くにいたマナが、ニヤニヤと口元を緩めながら顔を覗き込んできた。

「な、なにかな!? 何のことかな!?」
「とぼけても無駄っすよー、さっきのなつみ、完全にメスの顔してたっすから」
「……め、メスの顔って……してないよ!」
「いやいや、してたっすよ。でもまあ、ひょっとこの兄貴、めちゃくちゃかっこよかったっすね」
「それは……まあ、うん。世間一般的に見てね! 私のピンチに颯爽と現れ、悪をほろぼしていく……王子様、みたいだった」
「ピンチに颯爽と、っていうより、ひょっとこの兄貴にピンチを押しつけた、というのが正解っすけどね」
「細かいことはいいの……うん。世間一般的に見てかっこいいね。うん、私の感情とかは関係なしにね!」

 私が見事に誤魔化すと、マナはちょっと呆れた様子に息を吐いてから答える。

「それなら、フレンド申請しておいたらどうっすか?」
「…………え? い、いやでも迷惑になったらいやっていうか……」
「ほら、仲良くなるチャンスじゃないっすか!?」
「そ、そうだけど……」
「それならウチは申請しておくっす。なつみの分まで、ウチがお礼伝えておくっすね」
「……そ、それは失礼になっちゃうね! 私もお礼を伝えないと! だから、お礼を伝えるために! フレンド登録しないとね!」

 あ、あくまでお礼をするために!
3
 一度、トイレ休憩するためにゲームからログアウトした俺は『リトル・ブレイブ・オンライン』のスマホアプリを起動する。
 これは自分のアカウントと連携してあれば、ゲームのデータなどを確認できるようだ。

 ミニキャラになった可愛らしいひょっとこと、その隣ではルルラがぷかぷかと浮いている。

『お兄様、どうしたの?』

 ホーム画面では、ルルラがそう問いかけてくる。
 ……AI技術を駆使した、AI彼女なるアプリが流行っていると聞いた。
 それは、スマホなどで対話や通話ができるらしいが、ルルラも恐らくそれと似たような技術なんだろう。

 ゲームプレイ中以外でも、楽しめそうだな。
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