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第五章 歴史
第45話 スコットランド国 1485年 聖属性
しおりを挟むマシューを先頭に、警戒しながら前方へ進む。バレリアが念話モードで告げた。
「前方の建物屋根からこちらを監視しています。刃物を所持しています。中に二名、一人は中央、もう一人は左。刃物持ちは左です。屋根の人物は私が確保します。」
そう言うや、バレリアは迷彩モードで走り去り、裏から屋根へ駆け上がって一人を拘束した。マシューは玄関ドアを乱暴に蹴り開け、ドアが軋む音とともに木片が飛び散り、男の目が驚愕に見開かれ、その一瞬で男の喉元へ剣先を突きつける。
「武器を捨てろ!」
怒鳴られた男は武器を落とし、両手を上げた。バレリアは迷彩を解いて中へ入り、中央のドアを開ける。
そこは納戸で、裸の女性が壁にもたれて背を向け、震えていた。その瞳は焦点を失い、ただ怯えの色だけが残っていた。
二人の土エルフをバレリアが尋問している間、私たちは女性の汚れを洗濯魔法で落とし、服を与え、暖かい飲み物を飲ませて事情を聞いた。
彼女は近くの村の娘で、山賊に襲われて連れ去られたという。今日で三日目。山賊たちはここで見張りをしていたが、近くで争う声や悲鳴が聞こえ、恐ろしくて隠れていたらしい。彼女は雑用係にされていた。
マシューが言う。
「山賊はギルドか衛兵に突き出せば、賞金がもらえるはずだが?」
エラが冷笑して答えた。
「衛兵に突き出しても死刑か奴隷だ。ここで片づけたほうがいい。」
それを聞いた山賊は泣き出し、必死に叫ぶ。
「何でもします!助けてください!お願いいたします!」
エラは冷たい声で言い放った。
「ほう、面白いことを言うじゃないか……。山賊が……あの子もそう言ってお願いしなかったか? おらぁ!」
怒声とともに麻痺魔法を掛け、山賊を大人しくさせた。
エラは鼻を鳴らす。
「山賊のアジトにはお宝があるはずじゃ」
そう言って探し始め、バレリアに向かう。
「お宝はどこにある?」
山賊は震えながら答えた。
「奥のベッドのある部屋の、衝立の裏に宝箱が……」
エラは急いで奥へ向かい、宝箱を開けようとしたが鍵が掛かっていて開かない。戻って報告すると、バレリアがヒンジを破壊して開けた。蓋が外れると、中には金貨や銀貨、宝石、魔道具、魔法書、細工された豪華な短剣――価値ある品々がぎっしり詰まっていた。
エラは大喜びしたが、周囲が盛り上がらないので少し引いて言う。
「お前ら、お宝が嬉しくないのか?」
「魔法書くらいじゃ、あまり価値がないよ。エラ、そんなにお金が大事か?」
「当然じゃ!甘味はものすごく高いし、残らんしな!」
「家で毎日食べてるのに、まだ足りないのか?」
「……足りん!」
魔法書は治癒魔法と聖魔法のものだった。エラは言う。
「教会の者を襲って手に入れたに違いない。このレベルは一般に出回ってない。内部資料みたいなもんだ。売るなら裏ルートだな。」
バレリアは興奮してページをめくる。
「イザベル、これは聖属性がないと使えないと書いてあるけど、巫女の属性と関係がありそう。エラはどう思う?」
「教会の者は皆、聖属性持ちだ。巫女とはなんだ?」
「私の国では、シスターを巫女と言うんだ。」
ほう、と納得したエラが言う。
「ならこれは、イザベルが使える魔法になるはずだ。」
保護した娘は村に帰りたくないと言った。皆で相談し、エラが言う。
「イザベルが面倒を見ろ。わしはごめんじゃ。」
他の者も頷いた。
「バレリア、オマジナイ(機密漏洩防止)を頼む。」
こうして娘――ハンナは鍛冶場で保護されることになった。
イザベルはハンナの村を確認した。七軒の住宅があり、畑と家畜の跡が残っていたが、生存者はなく、一軒は全焼していた。悲惨な村を後にし、マシューはギルドへ盗賊二人を届け、熊の討伐と盗賊の経緯を報告して解散となった。
鍛冶場に戻ると、バレリアから治癒魔法と聖魔法の使い方をレクチャーされた。巫女の属性のせいか、簡単に発動できるようだ。近くに怪我人や幽霊がいれば効果が分かるのだが……。
エラが怒鳴る。
「なんだお前ら、そんな簡単に……おのれ!」
バレリアが笑って言う。
「治癒魔法はエラもできますよ。これとこれは……」
「ほう、発動した! やったぞバレリア! 貴様、大したものだ!」
その日は、エラが三十年ぶりに新しい魔法を覚え、興奮して大騒ぎだった。その夜、エラは子供のように笑い続け、エラの無邪気な一面を見た。
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