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まともな国メアリアン
しおりを挟む私、メアリージュンは旦那さまに言いつけられて買い物をする帰り、いつもの道にいつもない花畑と小川があるのを見かけました。いつもの道が昨日とおんなじだったことなどありませんが。
すると、その花畑は不思議なことに“ふしぎ”がないことがわかりました。そんなこと、あるはずがありません。
花畑に足を踏み入れると、白いウサギの耳が見えました。まさか旦那さまがおサボりになってらっしゃる?
そう考えながらそのウサギさんの全身を見ようとすると、なんとそのウサギさんは服を着ていませんでしたし、四足歩行でした。非常識ですね。
「…服を着てみてはいかがでしょうか」
そんな風に言ってあげたのに、そのウサギさんは挨拶もなく大きな穴に飛び込んでいってしまいました。
なんだか追わなくてはいけない気がしたのです。
気がついたら私も穴に落っこちていました。
「…ッ!は、早…い」
私はは尋常じゃなく…いや、まともにとんでもない速度で底の見えない穴に落っこちてしまいました。気が利かない穴ですね。
落ちて落ちて落ちた先の世界はあまりに退屈で、それにとてもつまらなくて、あまりにもまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともでまともで、
まともな世界でした。
花や動物や魚やいもむしたちは沈黙し、へんてこなキノコもない。お茶会は開かれないし、党大会レースもクロッケー大会もない。
あまりにも、あまりにも退屈で、理想の世界でした。
そんな理想の退屈な世界から起こしてくれやがったのは、何を隠そう旦那さまです。
「メアリーアン!メアリアン!起きないか!遅刻してしまう!」
「…はい。申し訳ありません旦那さま」
よくも起こしてくれたなこのクソウサギ。
「フン…まあいいさ、時計と手袋を取ってきてくれ。 …わたしは君をこの世界ではまともさがマシと思って雇っているのだよ?ちゃんとしてくれたまえ」
「…はい。申し訳ありません」
これは、不思議の国に住むメアリーアンの話。
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