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 サークルに入って大智に出会って、あっという間に恋に落ちてから約一年。その間、仲間と一緒につるむことはあれど二人きりで会うなんてことは今までなかった。

 告白……できるのか? 断られたら気まずくなる。二人きりで同じ部屋にいて、想いを我慢できる自信がない。やはりここは断るのが最善か?

 俺の長い沈黙に、大智は気まずげな声を返した。

「あー、なんか用事あった? こんな時間に迷惑だったよな、いいやまた会った時にでも」
「用事なんてないよ、来いよ」

 気づいたら半ば反射で答えていた。大智に会える機会を逃したくないという欲望が、理性に打ち勝った。
 嬉しそうな響きの声が、スピーカー越しに俺の耳朶を震わせる。

「そうか、ありがとうな! お詫びと言っちゃなんだけど、なんかつまめるもの持ってくよ。メシまだだろ? じゃ、またな!」
「あ」

 返事を返す間もなく電話が切れた。ちょっとだけ口をつけたリップクリームの蓋を、煩悩を振り払って気合いで閉めた。掃除をしなければ。

 大智はすぐに来た。落ちた服を拾ってテーブル周りを片づけ終えたあたりで、ドアから呼び出し音が鳴る。

 電話を受けてから五分とたっていない。いくら近所に住んでるからって早くないか?

 ガチャリと扉を開く。大智はラフな白シャツにベージュのチノパンを身につけていた。シンプルだけど上品な雰囲気が、大智の繊細な美貌によく似合っている。

 元々色素が薄めの長めに伸びた髪の間から、ほんの少し視線を下ろしたところに茶色く透き通る瞳がある。大智の瞳は俺を見つめて微笑んだ。
 
「やあ、悪いね」
「いや、こちらこそ気使わせたな。何持ってきたんだ?」
「エビチリ、ポテサラ、ソーセージ、それからビール!」
「おおっ!」

 俺の好きなやつばっかじゃん。大智、俺の好みを知っててくれたんだ。嬉しい。テンション上がる。

「飲もう!」
「いいな、飲もう飲もう!」

 雑に盛り上がって二人きりの飲み会がはじまった。さっき片づけたばかりの小さなローテーブルが、ツマミと酒で埋まる。

 大智が座った場所と斜めになる場所に俺は座った。手を繋げそうなくらい近い。不自然に思われるかな。

 大智は楽しそうに商品のパッケージを開けていて、俺がどこに座ろうと気にしちゃいなさそうだ。

 はー、笑顔かわいいな……リップクリームじゃなくて直接キスしたい。

 あの少し乾燥してかさついた薄い唇に舌を這わせて、たっぷりディープなキスをした後はチノパンの中に手を入れて……

「ほい、準備できた。これお前の分な」
「っああ、ありがとう」

 肘をついて大智を見つめていた俺の目の前に、ドンっとビール缶が置かれる。

 やべ、こんな妄想してたら勃ってしまう。俺は軽く頭を横に振って気持ちを切り替えた。
 大智は早速缶を開けて腕を掲げている。

「カンパーイ」
「乾杯!」

 そして二十分後。俺は既にできあがっていた。頬が熱くなって体温が上がってきた。
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