息子の彼氏にクレームをつけにいったら、そのパパに美味しくいただかれました

兎騎かなで

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第四章 海へ

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 結果的に大吾に張りあおうとしたのは悪手だったというか、若い彼らのはしゃいで泳ぐスピードに僕は追いつけず、早々に砂浜に帰還することになった。

 邪魔してやるどころじゃなかった……波をかき分けた腕が痛い。

 疲れきって帰ってきた僕の濡れた肩に、巽がタオルをかけてくれる。

「ありがとう」
「いえ、もういいんですか?」
「いやあ、あいつら若いよな。僕はもう十分泳いだからいいよ」
「そうですか」

 巽は本を荷物にしまってストレッチをし始めた。おお、泳ぐのか?

「郁巳さん、しばらくここで待機をお願いしてもよろしいですか」
「いいよ、行ってこい」
「ありがとうございます」

 なんだ、巽も泳ぐ気があるのか。眼鏡の代わりにゴーグルをつけて颯爽と砂の上を歩いて海に入った巽は、息子達への挨拶もそこそこに遠泳しはじめた。あいつ泳げるんだな、なかなか上手いじゃないか。

 じりじりと焼けるような日差しが、目の前の白砂を焼いている。はしゃぐ観光客の声と打ち寄せる波の音を聞きながら、ぼーっと巽の行く先を目で追っていると、女性から声をかけられた。

「すいません、隣いいですか?」
「ええ、どうぞ」

 男女二人組がすぐ隣にラグを敷きはじめた。聞こえてくる会話を小耳に挟んでいると、彼らが兄妹であることがわかる。女性の方は人懐っこい性質のようで、僕に話しかけてきた。

「暑いですねー、今日はどちらからいらしたんですか?」
「関東から車で来ました」
「へえ、私ら地元なんですよ。もしかして東京?」
「ええ、まあ」
「やだー、やっぱ都会の人ってかっこいいんだ」

 もしやナンパか? 女性は大きな胸を寄せるようにして膝に両手をついている。悪いけど若い男子じゃないんで、色仕掛けされてもそんな簡単には引っかからないぞ。

「おい莉緒、絡むな」
「えー、ちょっと話してただけじゃん」
「ほら、もう行くぞ」

 莉緒と呼ばれた女性は兄に手を引かれて、海の方に連れられていった。入れ違いで巽が戻ってくる。

「先程の二人はお知り合いですか?」
「いや、初対面だよ。世間話してただけ」
「そうですか。世間話ね……」

 何やら意味深に声を潜められたけど、僕は何もやましいことなんてしていないぞ? 戸惑っているうちに、ようやく体力が切れたのか、息子達が海から上がってきた。

「親父、腹減った」
「父さん、僕もお腹空いた。何か食べようよ」
「じゃあ海の家にでも行って食べ物を調達するか」

 この時期は観光客向けの軽食を販売している小屋が開いているので、列に並んで焼きそばやかき氷を買って食べた。今度こそ料金は支払ったぞ。

 そのへんのベンチで焼きそばを食べる巽は、優雅で知的なイメージとそぐわなくて、ニヤニヤしながら見つめてしまう。

「どうしました? 何か顔についていますか」
「別に?」

 巽のギャップを楽しんでいるうちに、大吾はとっくに昼食を食べ終えたらしい。再び海に行ってくると告げて、同じく食べ終えた和泉を連れて海の方へと走っていった。

「若いなあ」
「高校生ですからね」

 食事を終えて、再びパラソルの下へと戻る。僕も巽から本を借りて読書をした。普段読むことのない経済書に目を滑らせていると、早い段階で息子達がパラソルの下に戻ってきた。

「親父、そこ代わってくれ。疲れたから休憩する」 
「ああ、どうぞ」
「僕も休みたい。父さん、隣いい?」
「ここに座りな和泉、僕は十分休んだから」
「そう? ありがと」

 時間を確認すると、すでに午後四時近くになっているようだ。息子達も疲れたらしいしそろそろ引き上げ時かなと巽の様子をうかがうが、彼はまだ泳ぐ気でいるらしく海の方へと歩いていく。

「なあ、そろそろ宿に戻ってゆっくりしないか」
「あと少しだけ海で過ごしてもいいですか? 郁巳さん、貴方に見せたい場所があるんです」
「ええ……それって遠いのか? 僕はあまり泳ぐのが上手くないんだ」
「心配いりません、歩いていける場所にありますから」

 どうせ座る場所もないしと、暇つぶしがてら海岸沿いを歩いて岩場の方へと移動していく。途中で莉緒さんが海の中から手を振ってきたので振り返した。

 彼女は何か用事でもあったのか近づいてこようとしていたが、兄に声をかけられて断念したようだ。

「なんだったんだろ」
「さあ。大切な用があれば、また声をかけてくるでしょう」

 塩対応な巽は意外だなと感じたけれど、そういえば彼が他人と関わるところをまともに見た試しがないなと思い直す。もしや女性嫌いだったりするのだろうか。

 だとしたら、元奥さんとはどのような経緯で結婚に至ったんだろう……

 聞いてみたいけど、それでまた私に興味があるのですねとか揶揄われるのは、ちょっとな…… 

 巽の影を目で追いかけながら色々と考えているうちに、ひと気のない場所にまで誘導されていたようだ。

 気がついた時にはそびえ立つ岩場の陰で壁ドンされていた。

 ゴーグルで前髪を後ろにまとめた巽は、いつもよりも野生的に見えて背筋がぞくりとする。

「郁巳さん……ようやく二人きりになれましたね」
「へ? あ、森栄さん?」
「そうじゃないでしょう郁巳、私のことは巽と呼ぶように伝えましたよね」
「んっ!?」

 前開きのパーカーの襟部分をずらされ、首筋に口づけられる。チクッと走った痛みに顔をしかめるが、巽は離してくれない。

 抵抗しようと突っぱねた手は、簡単に捕らえられて岩壁へと押しつけられた。

「あ、やめろ!」
「どうして私からの連絡に出てくれなかったんですか?」
「だから、もう関わるつもりはないって言った!」
「私は納得していませんよ。酷い人ですね、あれほど私を夢中にさせておいて捨てるだなんて」

 くそ、迂闊だった……! 二人きりにならないように気をつけていたのに、まさか海で襲われたりはしないだろうと巽の言葉にホイホイ乗せられた僕が馬鹿だった!

 首筋から鎖骨を辿った舌は、与えられた快楽に反応して尖った乳首へと辿りつく。音を立てて吸われて悲鳴が喉からほとばしった。

「ぃやあっ!」
「嫌だなんて、嘘をつかないでください郁巳さん。私が触れる前から期待で尖っていたのに、本当は私に触れられたかったのでしょう?」
「そんな、わけ……」
「もう関わらないなんて言ってしまった手前、私に会うのが気まずかっただけなんですよね? 今なら謝れば許してあげましょう」

 もう片方の乳首も指先でコリコリと刺激されて、喉を仰け反らせながら反論する。

「誰がっ、そんなこと!」
「強情ですね。あまり私を拒否し続けるのであれば、こちらにも考えがあります」
「あっ!?」

 くるりと体を反転させられて、後ろから抱きしめられる。固く隆起した剛直が尻の狭間に当てられ、ブルリと体が震えた。

 とにかく拘束から抜け出さなければと腰を引いたり押したりすると、背後から淫靡なささやき笑いが聞こえた。

「ふふ、待ち切れないのですか? 自分から腰を押しつけて」
「ち、違う!」
「お望み通りに可愛がってあげますよ」
「ばか、やめろ! こんなところで!」

 片手で海パンを引きずり下ろされて、羞恥で顔が真っ赤になる。赤く染まった耳に、巽は唇を寄せた。

「大丈夫、誰も来ませんから」
「そんなこと、なんでわかる……ひぅ」

 緩く勃ち上がった屹立に触れられて、いよいよ身動きが取れなくなった。指の輪っかで規則的に擦られて、出そうになった喘ぎ声を慌てて押し殺す。

「ぁ、ん、んっ」
「外でするのも、開放感があってたまにはいいですね」

 そんなことを言われたら、余計に外であられもない格好をしていると意識してしまって、恥ずかしくてたまらなくなった。
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