真夏の夜に冴え渡れ俺の本能!

西の果てのぺろ。

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真夏の夜に冴え渡れ俺の本能!

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 とある暑い夏の日のこと。

 俺は女性関係について百戦錬磨の友人木下と、飲みに出かける事にした。

 予定している居酒屋に行く途中、友人の木下が、

「男二人で飲むのも味気ないし、女の子引っ掛けてから行こうぜ」

 と、ナンパを提案して来た。

 俺は、この女性関係において百戦錬磨の木下がいれば、それも可能かと思い承諾、このナンパ最強木下の、実力を見せて貰おうと思ったのだった。

「じゃあ、じゃんけんな」

「じゃんけん?」

「勝った方が、ナンパする相手を選んで、負けた方がその相手をナンパするのさ」

「……おいおい。提案した百戦錬磨のお前がしてくれよ」

「俺がやったらつまらないだろ。それに人がするところ見てみたいし」

 どうやら、現在七股しているこの木下は、人のナンパしているところを参考にまだその技術を磨くつもりらしい。

 恐るべし、百人切りの木下!

 常に成長を怠らないようだ。

 ただの女癖が悪い男でない事がわかった俺は、勝っても負けても恨みっこ無しのじゃんけんに従う事にした。

「最初はグー。じゃんけんポン」

 チョキを出した俺は見事にグーを出した空気を読まない木下に敗北した。

「じゃあ、俺が選ぶな。そうだな……、おっ!あそこのお姉さんめっちゃ美人じゃん!あのレベルは中々出会えないぜ。あのお姉さんにしよう」

 じゃんけんに勝った女性の敵木下は、容赦なく普段出会うだけでもそうそうないレベルの美人を、沢山の人通りがあるところから見つけ出した。

 その女性は、通りの端で、スマホをいじっている。

 髪は茶髪のロング、鼻筋が通った小顔の美人で、腰がのぞくほど丈の短いTシャツにダメージジーンズという余程自分の体形に自信がないと出来ないシンプルで夏らしい恰好だ。

 その姿から絶対モデルだろうと、思った。

 小さいTシャツのせいで胸の大きさが際立ち、Tシャツの下から覗く腰のくびれは健康的に引き締まっている。

 足はすらっと長くダメージ部分から覗く白い肌が眩しい。

「……最低の木下よ。お前、普段自分でもナンパしないような女性選んだろ……」

「狙うならあのレベル行ってみたいじゃん」

「それを人にさせるのか」

「じゃんけん負けたんだから、とっとと行って来いよ」

 ズルい木下は、そう言うと俺の背中を押す。

 じゃんけんに負けた俺は、後ろに卑怯な木下が控えているから、何かあったらフォローしてくれる事を期待し、その女性に声を掛けた。

「やぁ、彼女。今、待ち合わせ?」

「……違うけど?」

 その女性の意外にハスキーボイスに、声を掛けた俺はぞぞっとした。

 ハスキーな声って良いな!

 そう思いながら、俺は話を続ける。

「彼女、もしかしてモデルさん?」

「違うわよ。そんな風に見える?」

「違うの!?絶対モデルさんだと思ったよスタイル良いし。俺なんかより全然足長いじゃん!」

 俺はそう褒めると自分の足の長さと彼女の長さを比べておどけて見せた。

 そして、続ける。

「今から友人と二人で飲みに行くんだけど、一緒にどう?」

 もう、何を言っていいかわからない俺は、無双の木下のフォローをあてに当初の目的を口にした。

「うーん……。あなたいくつ?」

「俺?21だけど」

「あっちの彼は、同い年?」

「そうだよ。君は?」

「私は24。年下かぁ。まあ、未成年じゃないなら、……いいか」

「え?いいの!?」

 まず、成功するとは思っていなかった俺は、思わず聞き返した。

 こんな美女が自分相手にOKするわけがないという確信があったのだ。

「いいわよ。まだ時間あるし」

 ハスキーな声でそう答える美女。

「よっしゃー!木下、OKだってよ!」

 向かいで待つ役に立たなかった木下を手招きして呼ぶのであった。



 それから俺達3人は予定していた居酒屋に入り、すぐ意気投合した。

 彼女は、キャバクラで働いているらしい。

 源氏名はミホというそうだ。

 今日は休みで、夜、友人と会うらしく、早くから街に遊びに来ていたそうだ。

 話をしていると、男心をよく理解していて、聞き上手、さすが客商売のプロと言う感じだ。

 お互いお酒が入っていい雰囲気になってくると、下心丸出しの木下は、下ネタオンパレードの会話に突入した。

 おいおい、流石にそれは狙ってるの丸わかりだぞ?

 と思う俺だったが、意外にもその下ネタにもそのミホさんは乗って来た。

 ここで俺の本能がざわついた。

 ここまでの美女が、何で俺達のナンパに付いて来たのだろうか?と。

 まさか美人局?

 いや、21歳のガキ相手に美人局はないだろう。

 それなら、中年相手が確実だ。

 ドッキリか!?

 いや、ここの居酒屋は俺達が選んだお店。

 そんなわけがない。

 じゃあ、なんだろうこのざわつきは……。

 何か引っ掛かるものを感じながらも、何かは確信できない俺。

 絶好調の木下がトイレで席を立つと、ミホさんが俺に声を掛けて来た。

「ねぇ。この後、二人で抜け出さない?」

「ええ!?それって……」

「そう。ホテル行こう♡」

「……俺には荷が重いです……。(くそー!あまりの美女過ぎて、俺のアレが勃つ自信ない!)」

 完全に怖気づいた俺はミホさんの誘いを断ってしまった。

「そう、残念。じゃあ、友人の木下君、誘ってみるわね?」

 と、ミホさんは気軽に答えた。

 普段からこんな感じなのかな……?

 ちょっと、目の前の美女に幻想を抱いてしまっていた俺は、ちょっと残念な気分になったが、断った手前、反対するわけにもいかず頷くのであった。



 そして、1時間後、俺は二人と別れ、俺は孤独に帰宅、二人はホテル街へと消えていくのであった。




 数日後。

「よう、木下。ミホさんはどうだった?」

 木下が話があるというので、俺は待ち合わせ場所に付いた早々、その話を振った。

「……ヤられた」

 ……?──ああ!ミホさんが積極的過ぎた感じか。

「それはそれは、お前の百人切り伝説に新たな1ページが刻まれたな」

 俺は情けないくらい負け惜しみを口にする。

「ミホさんな……。彼女……、男だったんだよ!」

「はっ?──いやいや、あの人、ボンキュッボンの美女だったじゃん!」

「胸は整形した偽乳、下は工事してなかったんだよ!」

「ええ!?……じゃあ、お前……」

「カマ掘られた……」

 マジでか!?

 そう、俺の彼女(彼)に対する疑念は、男心を分かり過ぎている事だったのだ。

 それが俺の本能に、危険信号を送っていた。

 確かに美女過ぎて怖気づいたのも事実だが、本能が拒否していなかったら……、俺の夏は、黒歴史としてずっと忘れられないものになっていただろう。

 ありがとう、自業自得の木下。

 お前の犠牲は忘れない。
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