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約束と運命の鎖
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「あー、ごめんな。もう起きれるのか、民人」
彼は幾分か、穏やかな目をしていた。
なにか、緊張がとけたような。
「大丈夫です、身体は丈夫なんで」
元通り椅子に座り、そして言う。
「佳代が見つかったよ。今、下の階で寝ているらしい」
彼女もやはり、気を失っていたらしい。
彼自身はまだ会っていないと言うが、身体に異常はないということだった。
杏奈ちゃんが、ほ、と一息ついた。
「無事でなによりです……」
「これから彼女は、どうなるんですか?」
僕が訊ねると、彼はそうだなあ、と天井を仰いだ。
「佳代ももし同じようなことを言ったなら、事情が事情だから処分がわかりにくくてなあ……処分が決まるまでは警察さんと話し合って、うちの協会が保護することになってる」
「じゃあ、施設はどうなるんですか? あの子達は?」
「協会が運営してるデカい所がある。しばらくは、そこにいてもらうしかないな……あいつらには、悪いが」
杏奈ちゃんも、そこへ?
僕がそう彼女に訊ねると、彼女はきょとんとして、それから「あっ!」と短く叫んだ。
「杏奈、まだ話してないのか?」
目を丸くして言う東さんに、彼女は、はい、と短く頷く。
もしかして、引き取り手が決まってしまったのだろうか?
杏奈ちゃんは少しごもってから、信じがたい言葉を口にした。
「――民人さん、私を貰ってくれませんか?」
「……は?」
わけがわからなくて、何故か東さんを見てしまう。
俺じゃないだろ、と東さんが呆れ気味に呟いたのが聞こえた。
「あ、あの……医術師になりたくて、でも私は裏天使だから、南西部じゃ医術師の勉強が充分にできないんです」
大きな目が僕を捉える。
白い頬は、若干赤みを帯びていた。
「南西部の外に、私を連れていって欲しいんです」
ああ、なんだそういう意味か、安心した。
――って。
「僕……で、いいの?」
彼女は強く頷いた。
「民人お前、目的忘れてるだろ。それ」
しびれを切らした東さんが声を荒らげた。
「ああ、そっか。これでいいんだ……」
色々ありすぎてすっかり忘れていた。
杏奈ちゃんが僕に付いてきてくれるというなら、これでひとまず僕の役目は果たせたってことだろう。
願ってもないことだ。
「つれていってもらう上に勉強させろなんて、図々しいとは思いますけど……よろしくお願いします!」
そういって彼女は、思い切り頭を下げる。
「ああ、全然そんなの気にしないでいいよ。君がそうしたいって言うんなら、出来ることには喜んで協力させてもらうよ」
僕を見上げる彼女の目は、輝いていた。
「――ありがとうございます!」
「よかったなあ、杏奈」
そう言い彼女の頭を撫でる東さんが少し寂しそうに見えたのは、気のせいだろうか?
「あ、そろそろ診察の時間だ……ごめんなさい、私、ちょっと行ってきます」
「ああ、行ってらっしゃい」
ニコニコと笑いながら出て行く彼女を、2人で見送った。
男だけが取り残された部屋の、数秒の沈黙。
「やっぱり、お前じゃなきゃ駄目だったのな」
ふと、東さんが呟いた。
茶色がかった黒い瞳、少しつり上がった目を見ても、何を考えるのかよくわからない。
ふと、頬を掠める左の髪が気になった。
そこだけ中途半端に短くなった、青い髪。
火事の直前の出来事を思い出した。
「東さん、この前の続きの話です。――僕と、会ったことあるんですよね?」
彼は、僕を真っ直ぐ見つめる。
思わず視線を逸らしたくなるほどに。
「ああ」
返ってきたのは、思いの外単純な返事だった。
「杏奈は随分昔の事だったから気付かなかっただろうが、俺がお前に最初に会ったのは、そうだなあ……4年前だ。髪の色くらいじゃ別人とは思わないさ」
不敵な笑みを浮かべる彼。
大助には劣るが、それなりに背の高く筋肉質な彼は、それでもものすごく大きく見えた。
「4年前……」
4年前といえば、僕が丁度記憶をなくした頃だ。
そして、確か施設に来るはずの教員が死んだのも、あの頃だと聞いた。
彼は、いつもより低い声で囁くように言った。
「死んだってのは騙されてたんだな、民人……いや、瀬戸綺羅(せときら)先生」
「……それ、」
僕の、本当の名前。
「朝倉民人って名前、お似合いだぜ」
「4年前に死んだ教員が……僕だったんですか」
彼は、満足そうに笑う。
「瀬戸綺羅、専門は数学。長く青い髪に同じく青い瞳。採用前に一度顔を合わせたが、童顔も背が低いのも、その割にはしっかり男の声してたのも、お前そのまんまだ」
南西部に、東さんの施設に僕はどうして教員として行こうとしたのか。
杏奈ちゃんの、ためなのか。
「4年前……僕に何があった?」
それは、考えないようにしていた疑問。
僕は一度死んで、新しく生まれてきたのだと言い聞かせてきた。
彼は、僕の震える肩に手を置いた。
「悪いが俺にはわからん。……どうして、名前は知ってる?」
「大助が、僕をそう呼んだから」
そうか、と今までになく優しい相づちを打つ。
「もし俺がお前の過去を知ってても、教えられないな。お前の友達が教えてないことを、他人の俺から言うことは出来ない」
――知りたいなら、自分で探せ。
――でも、友達はお前のために教えてないのかもしれないってこと、忘れるな。
彼はそう、流れるように言った。
「そう、ですね……東さん、ごめんなさい」
何故彼は、僕に優しくしてくれるのだろう。
いつもみたいに、けなしてくれればいいのに。
どうして、こんな時だけ。
「なんだ、いきなり」
「僕のせいで、東さん、施設を閉じなきゃいけなくなったんでしょう?」
彼は、むすっとした顔をして、僕の髪をぐしゃぐしゃかき回した。
「なーに、お前ごときが心配することじゃねーよ。今の仕事にも満足してる」
そういって、にっと笑った。
彼には、全く悪意など見られない。
あの時を除いて。
「東さん……あの時僕のこと、殺す気だったんですか?」
喉元に針が飛んできたときには、血の気が引いた。
もし避けていなかったら――
しかし彼は、けろっとして答えた。
「いや、あれは避けるだろう」
「はあ」
喉以外にも狙えるところはあったろうに。
しかしよく考えると、疑問はそれだけにとどまらなかった。
「あれって、高度な技ですよね? どこで覚えたんですか?」
天術でも似たようなものがあるが、相当の力がなければあれほどすんなりは出せない。
「まあ、頑張って覚えたんだよ」
彼は、僕と目を合わせない。
「実は相当、魔術使えますよね」
「それを買われて此処にいるようなもんだ。ほら、俺はこれ以上何も言わないからな」
必要以上に詮索する必要はないか。
「すいません、気になったんで」
「もっと他のことを気にしろ。そうだ、連絡しなくていいのか?」
「――あ」
またしても忘れていた。
2日もほったらかしでは、さすがに怒られるだろう。
「携帯は鞄の中か? とってやるから、ゆっくり叱られろよ」
彼は面白そうに笑う。
そうして、建物からとってきてくれたらしい鞄の置き場所へ歩み寄る。
その時、鞄の隣の内線が鳴り響いた。
「おっと、今度はどうしたんだ」
彼は軽い口調とは裏腹に、慎重に受話器をとった。
「もしもし――はい、今替わります」
携帯電話のかわりに、コードで繋がっていない受話器を差し出された。
「知り合いから、民人に電話だとさ。かける手間が省けたな」
「え? どうも……」
恐る恐る受話器を耳に当てた。
当たり前のように大助だと思っていたから、よくこの場所に連絡をよこしたな、と驚いた。
『やっぱりここにいたんだ、おにーさん』
しかし、電話の相手は意外な人物で、だからこそこの場所を探し当てたのが納得できた。
そのうれしそうな声は、僕と連絡がつながったものというより、自分の勘の鋭さを讃えてのものなのだろう。
「け、圭くん!?」
彼は幾分か、穏やかな目をしていた。
なにか、緊張がとけたような。
「大丈夫です、身体は丈夫なんで」
元通り椅子に座り、そして言う。
「佳代が見つかったよ。今、下の階で寝ているらしい」
彼女もやはり、気を失っていたらしい。
彼自身はまだ会っていないと言うが、身体に異常はないということだった。
杏奈ちゃんが、ほ、と一息ついた。
「無事でなによりです……」
「これから彼女は、どうなるんですか?」
僕が訊ねると、彼はそうだなあ、と天井を仰いだ。
「佳代ももし同じようなことを言ったなら、事情が事情だから処分がわかりにくくてなあ……処分が決まるまでは警察さんと話し合って、うちの協会が保護することになってる」
「じゃあ、施設はどうなるんですか? あの子達は?」
「協会が運営してるデカい所がある。しばらくは、そこにいてもらうしかないな……あいつらには、悪いが」
杏奈ちゃんも、そこへ?
僕がそう彼女に訊ねると、彼女はきょとんとして、それから「あっ!」と短く叫んだ。
「杏奈、まだ話してないのか?」
目を丸くして言う東さんに、彼女は、はい、と短く頷く。
もしかして、引き取り手が決まってしまったのだろうか?
杏奈ちゃんは少しごもってから、信じがたい言葉を口にした。
「――民人さん、私を貰ってくれませんか?」
「……は?」
わけがわからなくて、何故か東さんを見てしまう。
俺じゃないだろ、と東さんが呆れ気味に呟いたのが聞こえた。
「あ、あの……医術師になりたくて、でも私は裏天使だから、南西部じゃ医術師の勉強が充分にできないんです」
大きな目が僕を捉える。
白い頬は、若干赤みを帯びていた。
「南西部の外に、私を連れていって欲しいんです」
ああ、なんだそういう意味か、安心した。
――って。
「僕……で、いいの?」
彼女は強く頷いた。
「民人お前、目的忘れてるだろ。それ」
しびれを切らした東さんが声を荒らげた。
「ああ、そっか。これでいいんだ……」
色々ありすぎてすっかり忘れていた。
杏奈ちゃんが僕に付いてきてくれるというなら、これでひとまず僕の役目は果たせたってことだろう。
願ってもないことだ。
「つれていってもらう上に勉強させろなんて、図々しいとは思いますけど……よろしくお願いします!」
そういって彼女は、思い切り頭を下げる。
「ああ、全然そんなの気にしないでいいよ。君がそうしたいって言うんなら、出来ることには喜んで協力させてもらうよ」
僕を見上げる彼女の目は、輝いていた。
「――ありがとうございます!」
「よかったなあ、杏奈」
そう言い彼女の頭を撫でる東さんが少し寂しそうに見えたのは、気のせいだろうか?
「あ、そろそろ診察の時間だ……ごめんなさい、私、ちょっと行ってきます」
「ああ、行ってらっしゃい」
ニコニコと笑いながら出て行く彼女を、2人で見送った。
男だけが取り残された部屋の、数秒の沈黙。
「やっぱり、お前じゃなきゃ駄目だったのな」
ふと、東さんが呟いた。
茶色がかった黒い瞳、少しつり上がった目を見ても、何を考えるのかよくわからない。
ふと、頬を掠める左の髪が気になった。
そこだけ中途半端に短くなった、青い髪。
火事の直前の出来事を思い出した。
「東さん、この前の続きの話です。――僕と、会ったことあるんですよね?」
彼は、僕を真っ直ぐ見つめる。
思わず視線を逸らしたくなるほどに。
「ああ」
返ってきたのは、思いの外単純な返事だった。
「杏奈は随分昔の事だったから気付かなかっただろうが、俺がお前に最初に会ったのは、そうだなあ……4年前だ。髪の色くらいじゃ別人とは思わないさ」
不敵な笑みを浮かべる彼。
大助には劣るが、それなりに背の高く筋肉質な彼は、それでもものすごく大きく見えた。
「4年前……」
4年前といえば、僕が丁度記憶をなくした頃だ。
そして、確か施設に来るはずの教員が死んだのも、あの頃だと聞いた。
彼は、いつもより低い声で囁くように言った。
「死んだってのは騙されてたんだな、民人……いや、瀬戸綺羅(せときら)先生」
「……それ、」
僕の、本当の名前。
「朝倉民人って名前、お似合いだぜ」
「4年前に死んだ教員が……僕だったんですか」
彼は、満足そうに笑う。
「瀬戸綺羅、専門は数学。長く青い髪に同じく青い瞳。採用前に一度顔を合わせたが、童顔も背が低いのも、その割にはしっかり男の声してたのも、お前そのまんまだ」
南西部に、東さんの施設に僕はどうして教員として行こうとしたのか。
杏奈ちゃんの、ためなのか。
「4年前……僕に何があった?」
それは、考えないようにしていた疑問。
僕は一度死んで、新しく生まれてきたのだと言い聞かせてきた。
彼は、僕の震える肩に手を置いた。
「悪いが俺にはわからん。……どうして、名前は知ってる?」
「大助が、僕をそう呼んだから」
そうか、と今までになく優しい相づちを打つ。
「もし俺がお前の過去を知ってても、教えられないな。お前の友達が教えてないことを、他人の俺から言うことは出来ない」
――知りたいなら、自分で探せ。
――でも、友達はお前のために教えてないのかもしれないってこと、忘れるな。
彼はそう、流れるように言った。
「そう、ですね……東さん、ごめんなさい」
何故彼は、僕に優しくしてくれるのだろう。
いつもみたいに、けなしてくれればいいのに。
どうして、こんな時だけ。
「なんだ、いきなり」
「僕のせいで、東さん、施設を閉じなきゃいけなくなったんでしょう?」
彼は、むすっとした顔をして、僕の髪をぐしゃぐしゃかき回した。
「なーに、お前ごときが心配することじゃねーよ。今の仕事にも満足してる」
そういって、にっと笑った。
彼には、全く悪意など見られない。
あの時を除いて。
「東さん……あの時僕のこと、殺す気だったんですか?」
喉元に針が飛んできたときには、血の気が引いた。
もし避けていなかったら――
しかし彼は、けろっとして答えた。
「いや、あれは避けるだろう」
「はあ」
喉以外にも狙えるところはあったろうに。
しかしよく考えると、疑問はそれだけにとどまらなかった。
「あれって、高度な技ですよね? どこで覚えたんですか?」
天術でも似たようなものがあるが、相当の力がなければあれほどすんなりは出せない。
「まあ、頑張って覚えたんだよ」
彼は、僕と目を合わせない。
「実は相当、魔術使えますよね」
「それを買われて此処にいるようなもんだ。ほら、俺はこれ以上何も言わないからな」
必要以上に詮索する必要はないか。
「すいません、気になったんで」
「もっと他のことを気にしろ。そうだ、連絡しなくていいのか?」
「――あ」
またしても忘れていた。
2日もほったらかしでは、さすがに怒られるだろう。
「携帯は鞄の中か? とってやるから、ゆっくり叱られろよ」
彼は面白そうに笑う。
そうして、建物からとってきてくれたらしい鞄の置き場所へ歩み寄る。
その時、鞄の隣の内線が鳴り響いた。
「おっと、今度はどうしたんだ」
彼は軽い口調とは裏腹に、慎重に受話器をとった。
「もしもし――はい、今替わります」
携帯電話のかわりに、コードで繋がっていない受話器を差し出された。
「知り合いから、民人に電話だとさ。かける手間が省けたな」
「え? どうも……」
恐る恐る受話器を耳に当てた。
当たり前のように大助だと思っていたから、よくこの場所に連絡をよこしたな、と驚いた。
『やっぱりここにいたんだ、おにーさん』
しかし、電話の相手は意外な人物で、だからこそこの場所を探し当てたのが納得できた。
そのうれしそうな声は、僕と連絡がつながったものというより、自分の勘の鋭さを讃えてのものなのだろう。
「け、圭くん!?」
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